ミュージックプロダクションにおけるAI

AI in Music Production — Tools, Terminology and Implementation — Pro Audio Files
AI in Music Production — Tools, Terminology and Implementation — Pro Audio Files

現在のAI技術/文化と、音楽における過去現在未来という論点で、典拠も踏まえ非常に的確にまとまっていると思いました。初耳のサービスも紹介されており、発見も多い。
記事にも記されているとおり、AIにプロンプトを与える立場、生成されたものを整える立場の人材は当面たしかに必要であり、クリエイティビティがその領域にフォーカスされていくのではと思います。その面でも、持論ではありますが「思いつき」を出せない人はこのさき厳しく、とはいえそうしたアイディア出しの領域も既にAIにあっさり侵食を許しているので、もっと言ってしまえばイメージを言語化する語彙力を培ったり、目指す完成形と提示された案とのギャップを具体的に示せる人を目指す必要がありそう。

やや本筋から逸れる駄文。
テキストやイラストより音楽がAIに持ち場を奪われにくい、と少なくとも自分に思えるのは、スポーツほどでないにしても音楽が他より肉体性(cf.ゴスペルチョップ、速弾き、特殊奏法など)に依存していてそれとのフィードバックが大きな役目を果たしているのと、作品とその設計図との間にまだ大きなギャップがあるように思えるから。後者、たとえば譜面やMIDIあるいはステムが生成されたとて、それではまだ完成形の3〜5割程度に過ぎず(と思う)、早晩そのギャップも埋められるだろうとは思うけれど、そここそが大きな大きなブラックボックスなのです(と思う)。
(イラストやテキストもそうではあるけれど)消費目的のものはそれでもAIでカバーされやすいので、多かれ少なかれ消費目的のもう一歩先を考えてプロダクションする必要があるんだろうなと。とはいっても、言うまでもなく、ほぼすべての創作者は無意識的にせよ消費で済まない創作活動を念頭に置いてるので、容易にそこが侵食されることはないんじゃないかなと。一方で一般的な鑑賞、消費から遠ざかることにもなりかねない気もしますが。
いずれにせよ、AIが何をし、何を目指してるのか見つめておかないとダメそうよね。