Torsion Audio “Scyclone”

Torsion Audio “Scyclone”とAIツール徒然

BPBで取り上げられていたTorsion Audio “Scyclone”。
どこまでの機能が備わっているのか自分には把握できていませんが、非常に雑に言うと見本としてネットワークに食べさせたリズムパターン(等)を、別の楽器サンプルに転写できるようなもの。

AI/機械学習を音楽の何に対して用いるかの模索は、周知の通り、この数年本当にあちこちで実験されています。なるほどと思うものもあれば未完成に感ずるものもあり、ゴールのように見える成果でも通過点に過ぎない(限った話でもないけれども)、これはAIにまつわるエトセトラに対してもそう考えるべきでしょうね。

で、このScyclonは、それを試す上の動画で人間側が試されていて、とてもアリだと思いました。言い換えるとAIツールに使われるか、AIツールを使うかの後者にあたる成果だという点でアリ。

AI絵師云々の議論が先日も話題になっていましたが、僕個人の考えでいえば、プロンプト書いてもワケわからんものが生成されていた頃のほうがよほど刺激的でした。
ただ、それもプロンプトが研究されてナイスなイラストが生成されるようになってイカン、って話ではなくて、だったらそれをさらに上回るユニークな使い方に挑める段階に至ったととらえるべきだろうと思うのです。
構造が違うから安易に引き合いに出すべきでないことを承知の上で例えると、打ち込みで生々しく表現できるようなリアルなサンプリングライブラリが登場して、本物と聞き紛う打ち込み音楽を作りましたでゴールとするか、それともそうしたツールでまた別の途轍もないものを作り上げるかみたいなの。
要は表現できる範囲ががぜん広まって、使う側がそれをどう享受するか。表現の限界がまたとんでもなく遠くまで追いやられてしまったときに、たしかにそこに挑める人は限られてくると思うのですが、特定のレベルに達した人が増えたら、そうした人たちの中で輪をかけて素晴らしい能力/認知/発想を持った人が飛び抜けてゆくのは今までだってそうでしたからね。
ハイコンテクスト過ぎてわからないものであっても、いずれある程度大衆も追いつく(それには条件が必要だが)と自分は思ってて、まだそこに達するには時間がかかるとこにいるんだなと徒然と思った次第。

あ、でもハイコンテクストのものであるとも限らないか。まだ見つかっていない、複雑でないけど面白い(ニーズのある)ものが掘り出される可能性もありますもんね。