Toontrack “Stories SDX”

Toontrack “Stories SDX”

Toontrack Superior Drummer 3(以下SD3)用の新しい拡張パックStories SDXですね。
NFRをいただけることになっているもののまだ受け取れていないので、製品ページの詳細や動画を見ての感想になりますが、これまで幾つかEZXの拡張パック、SDX拡張パックを見てきた中では、ダントツでいいと思いました。
価格も(為替を抜きにして言えばですが)やや抑えめなわりに内容が豊富。

純正ドラム音色含め、EZX、SDXで今までどうもしっくり来なかったのは、スネアやタムの余韻がほしいときにカットされていたことや、SD2に比べてハイハットやライドカップのヌケが芳しくなかったこと。
ついでに言えば、やっぱり重いよ、ってのもあります。最近になって重量級のギター音源やピアノ音源を忌避するようになって、やっとSD3を使ってみようかなって気にはなってきてますが、思い切って使ってみたわりには曲に馴染ませにくく感じる場面も多いんですよね。

製品ページで音源の試聴できるので聞いてみたところ、ドラム単体では正直「うーん…」って感じなのだけど、ギターを交えたトラックはちょっとビックリしました。馴染んでる上にヌケがいい。ミックスが上手いってのも可能性として考えてはおきますけども。

使用しているドラムセットも6種類で、いわゆるビンテージなものからオーソドックスなものまで網羅しており、ついでにティンパニやらドラやらパーカッションも収録されています。パーカッション類をSD3上に立ち上げることはたぶんウチじゃ無いと思いますが、選択肢が増えるのは嬉しい。

製品自体も面白いのだけど、見入ったのがMic Walkthroughと題された動画。

「耳が良いって言われてエンジニアリングし始めたんよ」とか「このマイクはプロトタイプで、実際には手に入らないのだけど気に入っていて、メンテしながら使い続けている」とか「キックの音をギターアンプから出して拾っている」とか、技法の探求姿勢も含めて興味深く拝見したのでした。

ここまで何作か、EZXシリーズ等はスウェーデンのスタジオで収録されたものが続いていて、それが悪いとは思わないのだけど、今回アメリカの、それもコネチカット州のスタジオで収録されたものがリリースされたことで、製品棚が豊かになった感じがしますね。サウンド的に。

ヌケがいいってことと、音の据わりがいいことと、なおかつサウンドバリエーションがずいぶんと広いこととで考えると、このSDXはJ-Pop系の音楽ともすごく相性がいいんじゃないかと思いました。

(追記230922)使用感、操作性

NFRが届いていろいろ試した結果を記してませんでした。
いい点として、やはりヌケがよい。おそらくドラムテクニシャン(これ職業名なので勘違いしないように)も優れてると思われるのと、マイクのチョイスも絶妙なんだろうと思います。上でも述べましたが、スウェーデンのスタジオで収録された姉妹製品がねっとりOR乾いて上ずり感あるのと比べて、バランスがいい。プリセットもバリエーション豊かですが、若干幅があり過ぎな気も。
惜しい点として、SD3のサブマスターから出力される以上結局Toontrackの音になる(悪いわけじゃないのだが)ので、収録サンプルの質感をフルに活かそうとしたらマルチ出力でDAWの各チャンネルに立ち上げた上で適性なサウンドメイクをする必要がありそう。楽器の収録数については、各個性の幅がやたら広いせいか思ったより数多く感じませんね。SD3デフォルトで備わっているものやその他のライブラリに収録されたものとの混ぜ合わせでお気に入りキットを作っていく時間を持っといたほうがよさそうです。