Roland Cloud “Concerto”

Roland Cloud Concerto とは、往年のRolandのサウンドをソフトウェア音源として蘇らせるもの。
…そんなお触れを見て、AOR隆盛期を眺めてきた自分は「何だと?」と。

Roland does subscription plug-ins and cloud rendering

さっそく2つのインストーラをダウンロードし使ってみると、長年待ち望んでいたあの音が高品質のままやっとプラグインシンセの形で使えるようになったようだ。
今と違ってパワーの劣る当時のシンセはあの手この手で新たな音の世界を作り出していたわけで、今のテクノロジーで
生々しくローファイ感が再現されてしまった場合、逆にハイクオリティになり過ぎた場合、どうなってしまうのか、そんな懸念があった。

Fantasia。
これはRolandが初めて世に送り出した瞬間から多くの人を魅了し、ロングヒットとなっている音色の名で、シンセベルの音色としていまだに王者の扱いを受け歓待されているといってよい。さすがに言い過ぎか?
でもいまだにその音を模したサウンドが草の根を含むさまざまなソフトシンセに収録されていたり、サンプリングされて配布されていたりする。
とはいっても僕のように、これまでRoland自身からこれらの古き良き音色が提供されないことに釈然としない人も多かったのじゃないだろうか。

以前RolandのハードウェアシンセとしてFA-06を購入したのもその音色欲しさだったが、実際に収録されたものを聞くとかなりダウンサイジングされていてコレジャナイ!と落胆したものだ。
「ああ、販売員のススメを聞いてINTEGRA-7にするべきだった」と一瞬思ったものの、ラックマウントの音源とMIDIキーボードという、あの時の自分(Gypsy Romanceというバンドで演奏していた頃)から進化のない演奏環境が欲しかったのではなく、10年以上経ったからこそ当時のサウンドをもっともっと手軽に持ち運びたかったのだ。自分の希少なニーズを跨ぎ飛ばされて無念さを覚えた。
まあ、なので今の自分としてはこうして本家からソフトウェアで提供されたことに歓迎以外の言葉はない(EnsoniqとKurzweil辺りも参画してくれないもんだろうか)。

昨晩、とある打ち合わせにて、僕らの世代の音楽の感覚の教科書となっているAORを今さらながらもう一度再現してみるのも悪くないかね、なんて話をした。
打ち合わせをしていたDOUTORの店内で延々とAORミュージックが流れていた影響である。
まさしくその時代に熱かった音なのだ。
とはいえ、同じシンセを取り揃えても当時の音にはならなかった。
やはり当時(も)、こだわりのあるアーティストが最高の環境で何重にも重ねてレコーディングしたからあのサウンドになっていたのであって、機材を含めて完コピしたバンドでもなかなかライブで細密に雰囲気を再現しきれなかった。
無駄に(失礼)厚いハーモニー、無駄に深いリバーブ、無駄にテンションの多いコードトリックはそのアイデンティティでもあって、当然自分自身大きく影響を受けたものだが、10コ上くらいの世代の人と付き合いの多かった自分はあんなものはゴミだなんだと愛着を否定され続けてきたもんだ。

Concerto画面

Concerto画面

Anthologyを読み込んだところ

Anthologyを読み込んだところ

果たして、以降このConcertoと名の付いた言わばポータルがどのように部品を取り揃えていくかは不明なのだが、最初にこう再現度が高いだけでなく粒度の細かいものを提示されてしまったならば、期待するしかないじゃない。

さて、実は記事を書きかけでやめてしまった話題が一つあって、今回のNAMMショーからちょっと変わったプラグインソフトが2,3コ発表されている。
Noiiz、Loopcloudはどうも、いずれもDAWのプラグインとして動き、音素材をダウンロードしてきてソングファイルに貼り付けられる仕組みっぽい。
素材をそのままのピッチで鳴らせることなどあまりないので、だとすればサンプラーとしての機能も備わっているのではと期待したのだが、どうやらそこまでではなさそう。

似たものとしては僕の古巣クリプトン社がWindows向けにVSTiのMUTANTを既に提供していて、ほとんど使ってないので現状どうなっているか正直わからないのだけれど、あれは音素材サイトであるSONICWIREにプラグインウィンドウから接続し閲覧してコンテンツをダウンロードできる程度のものだったと思う。

Loopcloudのほうは詳細を見てないのでわからないけれども、NoiizはサブスクリプションのスタイルとRekkard.orgには記されていた。
ここで取り上げたConcertoもこのおためし月間を過ぎるとサブスクリプションスタイルになるらしい。
最も安いプランが$19.95/M、おそらく日本円だと¥2,500/月程度、Stormと呼ばれる最上級プランで$39.95/M、¥5,000/月くらいかな。あー、でも大体ここからさらに2割増くらいの価格になるからそれぞれ¥3,000と¥6,000くらいになって、最初の半年は30%OFFとかそういうパターンかもしんない。

Cakewalkがきっかけかわからないが、この業界にも徐々にサブスクリプション形式が浸透していくのかなと思った。

ちなみに今どきの音楽にサウンドが合うかというと、アイドルポップ以外との相性はあまりよくないと思う。