Minimal Audio “Current” , etc.

Minimal Audio “Current”

先日X(旧Twitter)で少し触れたMinimal AudioのCurrent。やっと触る時間ができたので触ってみました。
多くの方がきっと感じられたと同じく、第一印象はSerumとVitalとPigmentsを合体させたってとこですが、ざっと数十分触っただけでも各機能の奥行きがかなりあって、波形変形のアルゴリズムの多さやサブオシレータの作り込みなど、音作りの幅が予想より遥かに大きいと感じました。サウンドクオリティも(デジタル臭が強いといえばそうだけど)全然悪くない。UIもよく出来てるほうで、動作も安定しています。
SAMPLER部なんかはデフォルトがFlexモードになっていて、たぶん手持ちのファイルを放り込んだ場合でも解析プロセスを挟んだ上で鳴らしてくれると思われます。GRANULAR部も「なんちゃって」ではなく、必要なパラメータをきちんと持ってます。
だいぶシンプルながらアルペジエイターやスケーラーも搭載しており、EDM系を中心に作る人にとっては便利なアイテムかなと。

デフォルトで備わっているプリセットは決して多くなく、むしろ少なくてピンと来ない印象すらありますが、コミュニティでしょうか、Cloudで共有されたらしきプリセットに簡単にリーチできるので、コミュニティが育てば育つほど選び放題になっていきそう。

負荷面は軽いと言いにくいけれども使う機能次第ってとこもあり、ほかに自分が使っていて重さや遅さに不満のあるシンセがあれば、取って代わる可能性がありますね。OmnisphereとかHALionの類いなど。見た目は変わっても操作性が改善しないアップデート、近年多いですし、イライラを感じてるなら乗り換えるのも吉。

こちら、現在料金体系が見直されているらしく、詳細はMinimal Audioのページでご確認ください。あと、次項にも関連する話題を記します。

追記

10末の現在、提供を一時中断しており、11月の早い時期から永続ライセンスおよびRent to Ownとして提供を再開するとのことです。


Cymatics “Deja Vu”

CymaticsからフリーウェアでDeja Vuが配布されています。
機能としては単純で、入力されたオーディオの半分速やさらにその半分速などにスピードダウンするもの。即座に効くってのがいいですね。
出力音の帯域を限定したり、それを原音と混ぜたり、切り出す長さを設定できたり、On/Offを切り替えた際のFade inとFade Outを設定できたり。
似たようなソフトはなくもないのですが、フリーなのに実用性としてはそれらを凌いでると思いました。


サブスク云々

この間、Xで触れたそのうちの1つがこれ。

比較的トライアル期間から課金までに猶予のあるサービスなら構わないんですが、以前マニュアルの翻訳を依頼されて、別件の飛び込み等で忙しくしてる間にトライアル期間が終わってしまって引き落としが開始されたしまったことがあり、少し悶々としてます。運悪くまあまあの金額でした。

サブスクってのが登場した当初、定期的な支払いを受け取る代わりにソフトであれば定期的に新製品を開発するとか、あるいは使い放題にするとかいった理解で広まっていったんですが、パトロンのような扱いをするとこも現れ始めてからユーザー側も少し疑心暗鬼になり始めてる気がしますね。

Minimal Audio has backtracked on its controversial subscription-only pricing model for its new soft synth, Current, following user backlash.

この記事では、上で取り上げたCurrentのサブスクがユーザーコミュニティで物議を醸し、Minimal Audio側が詫びた(日本だと「謝罪」って言葉が流行り過ぎてますが、「詫び」くらいの解釈でいいと思う)と伝えられています。
ユーザー側の言い分はシンプルで、サブスクやめたら使えなくなるのは困る、ってだけ。なので、Currentのページに今はRTO(Rent-to-Own; 購入に至るまで定期的な支払いで使い続け、購入時は差額の支払いになる)と明示されています。永続ライセンス(=購入した場合の金額)についてはまだ記されてないっぽいので、もうちょっとだけ待ったほうがいいかもしれませんね。ユーザー側はひとまずサブスク登録で、30日間だけ使い続ける姿勢でいいんじゃないかと。

ちなみに、

Subly brings all your subscriptions in a single place so you never lose track of what you're paying for.

自分のサブスク登録状態を管理するためのウェブサービスがあります。ただし、こういうサービスが自分のプライバシーにとって脆弱性になる可能性もあるよなと思ったので、うちでは使ってません。