Logic Pro : Jew’s Harp っぽい音を作る

ボコーダーがフィルターであるのに対し、トークモジュレーター(Talkbox)がレゾネーターだって話は以前記しました(ボーカルのtalkbox化 – makou’s peephole)。
レゾネーターだったらフィルターのレゾナンスを強めに設定して Jew’s Harp っぽい音も作れんじゃね?と。
今回はただそれだけの思いつき企画。
ジューズハープは由来が諸説あるらしいけど、音は聞き覚えのあるであろう「ぼよよ〜ん」の音。とはいっても、この「ぼよよ〜ん」の音の記憶にも人により多少揺れがありそう(僕自身も、カートゥーン・ライクな低く平べったい「ぼぇお〜ん」と、もう少し高めで浅い「ぼぃお〜ん」の2通り脳内アーカイブあります)。

Jew’s Harpの演奏で気に入ってるのはリトアニアのTEDxでのデモンストレーションであるこちら。

そのまま硬い芯を弾くとビンと鳴るだけの仕組みなので、オシレーターはSaw Waveか、あえて歪み気味に聞こえるSquare Waveでいいかな。

SquareとSaw BIをチョイス
SquareとSaw BIをチョイス
弾き感を出すため速めのピッチEGを設定
弾き感を出すため速めのピッチEGを設定
各オシレーターのPhaseはRandomではなく0に設定
各オシレーターのPhaseはRandomではなく0に設定

デフォルトでPhaseがRandomになっているのを0に揃えて発音を安定させました。好みに応じて音量バランスを調整したりPhaseをズラしてもよさそう。
アタック感が今ひとつ弱いので、Coarseに対してピッチEGを速めに設定。具体的にはDecayが0.036sec。
この、アタック感を出すためのピッチEGは困ったときの手法としてすごく有用で、たとえばキックのアタック感を出すために際限なく音量のEGを上げていったりコンプ等をキツく設定すると他のパートの鳴らせる余地が削られていってしまうのだけど、ピッチEGなら音を潰さないので充分に帯域を残せます(今のところコレが最も有効に効くのはSteinbergのGroove Agentで、競合製品はだいたいEGの解像度が粗い)。生録の楽器で似たようなことを行うには、oeksoundのSpiffが役立つかも。使ってる人を見たことないけど。

FILTER 1はBPを300Hzくらいにし、XY Pad1でコントロール
FILTER 1はBPを300Hzくらいにし、XY Pad1でコントロール
FILTER 2はBPを900Hzくらいにし、XY Pad1でコントロール
FILTER 2はBPを900Hzくらいにし、XY Pad1でコントロール
高域を出したいのでFILTER 3に400HzほどのHPを設定
高域を出したいのでFILTER 3に400HzほどのHPを設定

2点のレゾナンスがかかれば大体フォルマントっぽくなるので、2基あるメインのフィルターを使えばいいかなと思っていろいろ試したところどうもしっくり来なかったので、少し面倒ですがそれぞれのオシレーター内に3基ずつあるフィルターを使う(つまり計6基)ことにし、それぞれBandPassを2つとHighPassを1つとで並列に設定しました。
フィルターを3基以上持ってるソフトシンセは少ないので、Alchemyを使って結果的によかった。
成人男性の母音のフォルマントはググればいくらでも見つかるのでそれを参考にして2つのBandPassの周波数を設定します。
1つ目のBandPassは300Hz。これをXYPadのX軸でコントロールできるように設定。Depthは10%程度。
2つ目のBandPassは900Hz。こちらはXYPadのY軸でコントロールできるように設定。これもDepthは10%程度。
3つ目は高域をリークさせるためだけのもの。
1つ目または2つ目のフィルターをHighPassで作るのも一手ですが、こちらのほうが雰囲気が近かった。

Jew’s Harpっぽい音をシンセで作ってみる

良くも悪くもなくですなあ。
いわゆるサンプリングライブラリーとしてはJew’s Harpが地味すぎてほとんど見かけません。まして鳴り方を制御できるものってのもね…。
残念なことにXYPadをマウスでグリグリとオートメーションを記録してヌルヌル変化する音にするには、ちとAlchemyかLogic側の分解能が粗すぎるので、結果オートメーションを手で描いたものをバウンスしました。

作ってから思ったけど、ほぼ仕組みはReasonのThorのFormantフィルターなので、それで作ったほうが早かったかもしれない。
とはいえThorのFormantフィルターは高域のヌケが乏しく、そうしてカットされちゃった帯域はEQをどうかけようが取り返せないので、今回の作り方のほうが、使うときには使いやすいのかなと思います。
レゾナンス値ももっと母音によって左右されつつ、なおかつMODMAPでバイアスを作ってやるとリアリティは増しそう。でも、AlchemyのMODMAPってどうも並列で動かないっぽいのよね(バグ?)。

fxpansionのvocoderっぽいシンセAmberは、周波数を制御しようとしたら重かった。
fxpansionのvocoderっぽいシンセAmberは、周波数を制御しようとしたら重かった。
ReasonはオシレーターのPhaseリセットを使うためにEuropeを使ってみた。
ReasonはオシレーターのPhaseリセットを使うためにEuropeを使ってみた。
(続き)Thorのオーディオ入力に突っ込んだが、レゾナンスが弱かった。
(続き)Thorのオーディオ入力に突っ込んだが、レゾナンスが弱かった。

トーキング・モジュレーターも今回のJew’s Harpも直線的(1次元)にではなく自由(2次元)に母音をわたっていきたいもので、2つのフォルマントをXY軸にバラして設計できると都合いいですね。
だけどもし第3フォルマントまで拾うならXYZ軸にバラす必要あります。この場合、iPhoneをうまく使ったり、その他の何らかのデバイスを空間座標で拾えないとダメかも(昔はKinect使ったインスタレーションをよく見かけました)。
空間で派手にコントローラー振ってるのに、鳴ってる音は地味なトーキング・モジュレーターやJew’s Harp、ってのもなんかシュールで面白いかもしれない。