Delta-V Audio (販売はTracktion)によるiOS用のシンセ、 “SpaceCraft Granular Synth”がMac, PCのAU, VSTに対応しました。Linux用VSTへの対応も近々。
iOSの音楽アプリは今まったく使ってないので「う〜ん」と思ってたんですが、ためしに触ってみれば随分とよくできたソフトでした。
ハードウェア隆盛の昨今、MPEだけがソフトウェア界の救いといえる中、MPEを積極的に活用するスタイルにも好感が持てます。
ほしいものが全て整ってる…とまではいいませんが、それが無くとも欲しい効果はきちんと得られます。
ほとんどの操作がピクトグラムチックに表示されているのでわかりにくいといえばわかりにくい。だけどそれを見越してたようで、右上の?マークをクリックすればヘルプ画面に切り替わります(スクショの2つ目)。
アイコンといえば、Ample Soundのver.3以降の機能アイコンの改悪っぷりが思い出されます。紛らわしい上に配置変更し、挙げ句ヒントも出ないという独善っぷり。せっかくいい音してるのにねえ。
ちなみに1枚目のスクショの左端の小さな2つのアイコンは、このヘルプだとヒントが表示されず、マニュアル(Training User Manuals – Tracktion Software)によればパニックボタンとLatchモードボタンらしい。
各操作の設定も左上の歯車マークで簡単に変更可能(スクショの3つ目)。
特に妙案だと感心したのはリバーブとフィルターをXYパッドに割り当てちゃってるところで、一般的にはリバーブの長さや帯域の減衰をXYパッドに割り当てるのに、それとはまったく別の”フィルター”とまとめちゃってます。
リバーブの質さえよければたしかにこの設計でいいんだな。妙案。
サンプルの入れ替えはドラッグ&ドロップに対応。良き。
それと、これも大事なとこで、オートメーション対応項目多いです。ざっと試した限りほぼ全ての項目がオートメーション対象になってるっぽい。
あとサイドチェーンは何に使うのかと思ったら、サイドチェーン元の音をキャプチャーする用と考えたらよさそう。
もしくはスクショの4つ目のように、SpaceCraft FXとしてインサートエフェクトに挿してレコーディングするのもあり。
OmnisphereやGraniteなど、うちでもはグラニュラーシンセシスをちょくちょく使うんですが、扱いやすさ、結果のわかりやすさとしては群を抜いて優秀じゃないでしょうか(Twitterで言及あったので、エクスキューズを書き足しておきますが、フランス産は別格です)。
こういう淡白な画面が嫌いって人もいるので万人にお勧めはしないのですが、さくさくと作業を進めるために機能へのアクセスしやすさを求める人にはちょうどいい。
こちら、VSTでの動作はどうかなと思ってAbleton Liveで立ち上げてみたもので、VSTエフェクトとして作られてるはずのSpaceCraft FXはどうもVSTiと認識されてしまい、立ち上げられませんでした(スクショはAU版)。
Cubaseでは確認してませんが、Known Issueであればアップデートで解消されると思われます。しばし待つべし。
それから、某Piapro Studioを開発した会社の公式ではたぶん説明されてないと思うのでこの日記でも書かずにいたんですが、Logic(またはAudio Unitsの仕様?)においてはプラグイン側からDAWの再生/停止状況を確認するのが至難の業のようで、スクショの1つ目のような「DAWは停止中だぜ」ってメッセージはLogic上だと確認できません。…もしかしたら環境によるかも知れませんが。これが原因でLogicにおけるPiapro Studioは時たま誤動作するそうです。参考まで。
バグ的な話が続いたのでついでに記すと、SpaceCraftのノート(鍵盤)画面つまり碁盤の目のようになってる部分が少し細かい目の状態のときヘルプの文字が読めなくなります(スクショの2つ目)。これも近いうちに問題解消されるでしょう。
紹介動画は地味ですが、環境音楽やドローンに限らず、素材次第で幸せな感じから不穏な感じまで劇伴OR音効用途にと活用を期待できますし、そもそもそこまで高価でもない(エデュケーション価格だと半額になる)ので、気が向いたら手を出してみてはどうかなと思いました。
アフィ目的の提灯記事ではないので、リンククリック時の心配は無用です(最近はやっとその辺りを気にする人も少なくなったようで…)。