🆓 Green Oak Software “Tungsten”, “Cesium”
はるか昔にCrystalなるVSTシンセが好評を博したGreen Oak Softwareから、スチームパンクを思わせるビジュアルのテクスチャディレイTungstenとラッシュコーラスCesium(春前のこの時期には嬉しくない文字列ですが)がリリースされています。
Win, mac、AU, VST3対応。Macではインストール時に「VSTはCubaseを使う人のみ選択するように」と記されていますが、うちではAbleton Liveできちんと動作しました。
Tungstenのほうはディレイ・エフェクトが基本なのですが、Smearで残響感、Wearでフィルタ感、Granでグラニュラー、Reverseでリバースシェイプのグラニュラー、こういった追加コントロールが面白い効果を付加し、長めのFeedback値(半分を上回るとかなりクるので注意)によるエンドレスな残響でWearをいじると、蒸気が噴出するような響きも得られます。これをヒントにスチームパンク風のデザインなのかと思わされます。
有償ソフトですら特徴のない製品が多い昨今、シンプルな仕組みの中に他にはない個性があって、正気に引き戻されるような気分です。
ただ、ほんの少し負荷が大きめかも。
一方Cesiumは、基本に忠実なコーラス・エフェクトで、LFOの形状が3種類選べるほか、ThickとInvertのスイッチが便利です。Depthが右上という少々変則的な配置になっています。
80年前のディズニー映画での音効

フォーリーの話題のときに似たような動画を取り上げたことがありますが、80年前の音効が映像として見られるのは貴重ですね。
興味深いのは、先のProduction Expertの記事でも紹介されているように、女性が演じる「Help!」という声。初期のVocoderが映像の3年前に発明されているものの、VocoderかSonivoxかハッキリしないとのこと。Sonivoxって書かれてますが、Sonivoxはオーディオソフトのデベロッパーなので、Sonovoxが正解のようですね(cf. DISNEY SOUND EFFECTS IN EARLY MOVIES – YouTube)。下の動画で使われているもので間違いないでしょう。
要は、以前うちでも取り上げた接触型Talkbox ESX-1の原型にあたるもので、喉にスピーカーまたは振動スピーカーを当てて口腔内に響かせたものを指向性の強いマイクで収録していると思われます。
ESX-1があまりに高いので振動スピーカーを探した(といってもTalkboxも同じくらいする)んですが、振動スピーカー自体がそこそこ高いので諦めました。EmVoiceに収録されたTalkboxも、ほしい音色から若干ズレてたんですよねえ…。
Production Expertの記事はこの映像から何を学び取れるかがテーマなのでして、これについては下記の通り。引用翻訳を一応つけますが、ちゃんと全文読みたい方は元記事をお読みください。
What struck me the most was the adage of getting the sound correct, before it hit the microphone. Rather than trying to ‘fix-it-in-the-mix’, their ethos was to create the soundscape and capture it with one or two microphones using human skill to play all the elements together in one pass perfectly in sync with the pictures.
Just because the technology was limited, they were not limited by their creativity. In fact, they had to be even more creative to produce a credible and believable soundtrack using as few passes as possible using the technology at their disposal.
訳: マイクに入る前に正確な音を出すべしとは、けだし金言。ミックスで完成させるのでなく、人間の技術ですべてを一度に完璧に同期させ、1つや2つのマイクでサウンドスケープを完成させる、これこそがエートスでありました。
技術が限られていたからといって創造性が制限されたわけではなく、むしろ自分たちが自由に使える技術を使い、最小限の持ち回りで、求めるものに見合うサウンドトラックを作成する、そのために彼らはより一層創造的でなければなりませんでした。
Creating Sound Effects At Walt Disney 80 Years Ago Could Teach Us A Thing Or Two | Production Expert
🆓 OSC Audio “Thru-Zero E-Piano”

OSC AudioというデベロッパーからThru-Zero E-Pianoってフリーの音源がリリースされているらしいです。

ちなみにOSC AudioはOpen Sound Controlとまったく関係ありません。設立から間もないとありますが、どういった開発者(たぶん個人)か、どういうテリトリーか情報が乏しく、何かあっちゃ困るので、取り上げるにも個人的に若干勇気の要るデベロッパーです。
Pianobookでのアカウントを見るとDescent SamplerベースのVIを開発してるようなのですが、今日Thru-Zero E-Pianoを取り上げたのは、Spitfireのプレイヤーに似過ぎでは?と思ったから。共通項としてPianobookがありますけど、スキンもしくはフレームワークに共通のものを使ってるんでしょうかね?
↓こちら、ちなみにDescent Sampler用の開発ガイド。
Decent Sampler Developer Resources
ついでなので、Pianobookが取りまとめている開発ガイドも。
Resources