SRM Sounds “Max Richter Piano”

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SRM Sounds “Max Richter Piano”

Max Richter所有のスタインウェイDをサンプリングしたKontaktライブラリー”Max Richter Piano”がSRM Soundsからリリース。製品紹介動画を見てもわかる通り、非常に繊細ながら伸びやかで調和の取れた美しいサウンドです。

MAX RICHTER PIANOの詳細情報ページ
SRM SOUNDS社製 ソフト音源 「MAX RICHTER PIANO」の製品詳細情報ページです。

屋根を上げた状態と完全に閉じた状態と2種類を収録していますが、作家の個性も鑑みると、ベロシティの強い音まではサンプリングされていない可能性がありますね。
本製品は元Spitfire AudioのWill Evansとの協力で作成されたもののよう。道理でユーザーが使いやすい音に仕上がっているはずです。
細かい仕様、価格はリンク先で。

241204追記

機能、操作性

有り難いことにNFRを頂戴したのでレビューします。

Max Richter Piano – SRM Sounds
Max Richter Piano – SRM Sounds

上に記したとおり、ピアノの蓋を開けて通常通りのマイクポジションで収録したOpenと、ピアノの蓋を閉め、カバーをかけてさらにピアノの下からマイクで収録したCloseの2種類(おそらく後者の3マイク信号をまとめ、Pultec EQで調整したものが製品ナンバー#002に当たる無償製品Dark Modeではないかと思われる)。
この2つは想定よりも少し雰囲気が異なり、単にしんみりと穏やかに奏でるならば前者、少し儚げに奏でるならば後者が適する印象です。

トータル98GBあって、ロード時間はそれなりにかかります。
2種類のインストゥルメントとも、3つのマイクシグナルをミックスして使用できます。つまり、3つのマイクで収録したそれぞれのサンプルをたっぷりロードするということ。
Spitfireの名を上にも記しましたが、Spitfireの多くのNIライブラリー製品と同様、マイクシグナルを絞り切ると、そのマイクシグナルに属するサンプルがパージ(つまりメモリから破棄)され、ノブを上げるかシグナルをOnにすると再度ロード待ちが発生します。
基本的に3つのマイクシグナルのバランスはデフォの状態が最高に心地よいのですが、もし自分好みのバランスを作ろうとか、曲中にバランスを変えようとかいう場合には、この仕様は少々ジャマかもしれませんね。

残念ながらnki内の構造を見られないので、リバーブがコンボリューションかraumのアルゴリズム由来かは不明。

ピアノアクションの発する各ノイズはすこぶる良好。
ただし、マイクシグナルのノブに追従するため、マイクの音量を絞ると聞こえなくなり、ノイズだけ鳴らすみたいなことは不可。

サウンドについては、「テクスチャーの中で目立つためのものでも、派手な演奏のためのものでもありません。より繊細な物語を紡ぐため」「意図的に低いダイナミクスに焦点を当てています」と動画の中で語られているとおり、中程度(mf)以上のサンプルは収録されていません。
物足りないのでは?と思っていましたが、ノイズフロアを徹底的に抑えて弱めのベロシティ「のみ」に徹底的に注力すればここまで聞かせられる音が得られるのかとその後深く納得しました。端的にいえば、強いベロシティが必要ならこの製品を導入するのにそもそも向いてない。
正直、弱いベロシティのピアノを楽曲でフィーチャーしようとして理想的な結果が得られたこと一度もないのです。プチノイズ、衣擦れ、謎のエラー! ベロシティギャップ! これらに悩まされたから尚更なんでしょうけど、惚れ惚れする打音、適切な各マイクシグナルがもたらすバリエーション豊かなボディ(音の本質部分)、弱音だからこその伸びやかなサスティン、ハンマーアクションの微かなノイズなど、いわゆるピアノアンビエント的な繊細な味わいに耽るなら現段階ではほかの選択肢はなさそうに思います。フェルトピアノもありだけど、もっとストレート。

こうした用途に限るものと考えれば、サンプルパージの挙動は無関係であるし、Sound on Sound誌に記されていた「MIDIラーニングに非対応」の面も含め、奇抜な使い方ができないことは的外れでしょう。つくづく誠実なインストゥルメントであると評価すべきです。
サンプルレコーディング/エディットの緻密さは操作性の豊かさに勝る――それをまざまざと見せつけ、量産されるサンプルライブラリの業界に一石を投じたようにも思えました。