Yum Audio “Ember”
Lo-fiエフェクトをひたすら作ってきたYum Audioですが、ここに来てシンセのプラグインを発表しました。
トライアル版で精査してみないと確実には言えませんが、製品紹介動画を見た第一印象としては、おそらくこれまでのLo-fi加工技術を存分に活かし、オシレーターから信号経路まで十分な環境再現が行われているように見受けられ、他の同様のシンセよりもディープな仕上がりを感じさせます。早い話、ペチャッとした質感ではなく、みずみずしさが保たれているというか。
機能、操作性
てことで、トライアル版をDLして試してみました。
サウンドの不安定さが全面的にフィーチャーされ、予想通り各セクションにYum Audioの歴代製品の機能が組み込まれているようです。これにより、個々のセクションにおいては特段驚くほどでもない音なのに、適切に噛み合ったマスター出力が思いのほか生々しく聞こえるという結果が得られています。
個別の歴代単品エフェクトプラグインに対しては、実のところ「Lo-fiのリアルってそんな単純なもんかね…」と思っていたのですが、こうして本製品で総合的な結果を耳にしてみれば、かえって自分の不見識を恥じるばかり。もっとも、ボンネット下で各アルゴリズムに相互干渉が仕組まれてる可能性もないではないのですが。
インターフェイスはCradle製品を連想させるような彩り、縁取り、飾りつけ。
デフォルトの表示だとうちではウィンドウサイズが小さいですね。125%の表示でまあまあという感じ。
うちではほかの製品も、同様にウィンドウサイズを小さく感じることが多いのですが、その最大の原因はノブ等コントロールの大きさに対するフォントサイズ、およびその可読性と見ています。
基本的には、一つのソフト内でフォントサイズの大きさは一定に保っていてほしいところ。慣れればどうってことないにしても、トライアル版の初見の状態で「見づらい」のはあまり嬉しくない。
OSCsのスコープ部に見える波形の振幅がマスターボリュームと直接結びついてるの、個人的には受け入れにくい。
仮にマスターボリュームが絞られていても、ここにはどのような波形が待機状態にあるのかがしっかり見えていてほしいですね。
総合的に見て、初のソフトシンセにしては随分手の込んだものに仕上がってるように思います。
Lo-fi化くらいエフェクトでどうにかなるじゃんって考えを見直すきっかけにもなりそう。
やり過ぎか?と感じるプリセットもありましたが、楽曲中に混ぜ込むならこのくらいがいいのかも。