「喋りすぎ」
来月告知になるだろう曲のベースを今回自分で弾いて、その後ボーカルレコーディングしました。
しかし当初からどうもベースのフレーズがしっくり来ず、最後に全部録り直しました。
僕はたまに「喋りすぎ」と評することがあって今回のベースもまさしくその一例だったのですが、この「喋りすぎ」が実際どういう状態を指すのかは自身でも明確に把握できていませんでした。
この機会に振り返ってみたら、たとえば曲の方向性を左右してしまうような音程を特定のパートが独善的に鳴らしてしまう、曲の重心を変えてしまうようなアクセントを特定のパートが独善的に鳴らしてしまう、各パートの力関係を無視したフレージングが行われる、てのが該当するっぽい。
意図的にペンタトニックの世界に抑え込んでいた曲が、アレンジの段階でこれ見よがしに感動的旋律のストリングスを加えられて台無しになるみたいな局面は、意外と多かったりします。
解釈の余地を楽しむ作品に勝手な注釈が付けられて博物館に展示されてしまうようなもん。
それはそれとして、今回、改めて各パートの譜割りとのマッチ/ミスマッチを整理して結論出したのがこのスクリーンショットで、ポイントは4拍目に音符があることと、その直前の16分音符が打たれてないこと。
たかだかそれだけで、ずいぶん印象も自己評価も違ってきちゃうわけですね。
ついでに、気に食わなかったテイクとしっくり来たテイクとを譜面にして並べてみました(↓)。音源は出せないので想像でカバーしてください。
ドライブ感、グルーヴ感があったのはNGテイクのほうなのだけど、OKテイクでは4拍目に楔を打った効果がかなり大きい。歌詞を見ても焦燥感を演出すべき箇所じゃないので、4拍目をしっかり打って腰の重さを感じるようになったOKテイクのほうが相応しく聞こえたのです。
ついで。7小節目の2拍目からボーカルがガバッと空く部分で、OKテイクでは少し毒っぽいフィルを入れて穴埋めしています(変則ブルーノートにも気付いてほしいなあ)。NGテイクだと前後のリフが定まっていないせいで、この箇所もリフの延長にしか聞こえず退屈でした。
リフを固める大事さはそこ、つまりリフであることとリフでないこととの対比を演出材料に使えることですね。
こうした穴埋めを何(楽器や効果音その他)で行うかは、センスが問われますね。正直、ベースで入れた今回の例を正解とは自身思ってませんが。
もう1つついで。8小節目の譜割りはグルーヴとしてオイシイんだけど、あまり頻度の高くない譜割りなので場合によっちゃ意味深に響いちゃいかねない。
いずれにせよ、ボーカルを含めた他パートとの噛み合わせは推敲時にチェックしなければなりません。
録り直しがしにくいご時世でもあるので、制作段階で通常より数割増のナーバス加減で確認していく必要が当面ありそうだなと、改めて思った次第です。