Best Service “Chris Hein – OCTA”

老舗Chris Heinが、過去の製品群の選りすぐり64楽器(シンセとパーカッションを合わせると100楽器)をKontakt内の8チャンネルに立ち上げて演奏可能とするOCTAを、3年がかりで開発し発表しました。
Chris Heinの製品、これまでたくさんリリースされていますが、いずれも一時代、二時代ほど昔のいでたちで、たとえ音は良くとも「きちんと動くのか?」という心配がつきまとい、導入判断しにくさがありました。

情報

  • Kontakt Player対応
  • DLサイズ : 24GB弱(展開後のサイズは不明)
  • 定価€299、旧製品所有者は1/31まで€239

8方向のXYパッド、シーケンスエディタ、ミキサー、キーレンジエディタ、エフェクトエディタなど、少々やりすぎなくらい大規模な機能増強が行われており、個人的に非常に驚いています。

BEST SERVICE社製 ソフト音源 「CHRIS HEIN - OCTA」の製品詳細情報ページです。

実際に触らないとわかりませんが、スクショや動画で拝見する限りでは(ネガティブな推測として)、音色(ねいろ)自体は旧態依然のものであって現代的なサンプリング技法(たとえばラウンドロビンやリリースサンプル、あるいは特定条件下でサンプルセットが切り替わる仕組み)は適用されておらず、平たくいうと、ハードウェアシンセに拡張カードを挿したくらいのサウンドの印象を受けます。とはいっても、一般にその手のワークステーション系キーボードの価格がとんでもない金額であるのに比べると、1/10〜1/20程度の価格で入手でき、解像度の高いディスプレイでマウスで自在にエディットできるわけで、手短に大量の音色を使いたい人にとってすごく便利だろうとは思います。自分が今もアコースティック系の音色を優先する作風であったならほぼ確実に選択肢に入れるはず。
もう一点、実際に触らないとわからないこととして、MULTIと書かれてはいるものの、KontaktのMulti Instrumentではなく単純に複数の音色をまとめて鳴らせるという意味でMULTIと掲げているのではないかと。キーレンジエディタが備わってはいるけれども、単一MIDIチャンネルでレイヤー方式ですべてが鳴り、XYパッドでバランスを整えるという、だいぶ重い構造になっているのではないかなと思います。もちろん最大限軽量化しているとは思うのですが、PCスペック(メモリ、処理速度とも)がそれでもネックになってくるような気がします。

不安な点はありますが、スリットドラムやハンドパンなど希少で存在感ある楽器が多々盛り込まれ、気軽に鳴らせる仕組みになっているのはかなり魅力的ではあります。