Omnisphere をHALionのシンセ的に使えるかどうか

完全に個人的趣味の記事です(久しぶりだわあ)。
なにせHALionが重いので、同じようなことを Omnisphere で作って多少ストレス軽減できるのだろうかというお試し結果報告。

Auron2つがレイヤーになってます。右側Program欄参照。
Auron2つがレイヤーになってます。右側Program欄参照。
こちらはWavetableのAnima。他にB-BoxとTriumがレイヤーになってます。
こちらはWavetableのAnima。他にB-BoxとTriumがレイヤーになってます。
FlexPhraserがいわゆるアルペジエイター。
FlexPhraserがいわゆるアルペジエイター。
配線はここで設定。
配線はここで設定。
エフェクターも右側Program欄で指定して表示するといくぶん早い。
エフェクターも右側Program欄で指定して表示するといくぶん早い。
FlexPhraserがいわゆるアルペジエイター。
FlexPhraserがいわゆるアルペジエイター。

作り込んだらキリのなさそうな仕組みで、それだけに今どきはプリセットを選ぶ人がほとんどでしょうね。
プリセット作成で小遣い稼ぎする人も意外といますが、HALion用のプリセット音色作って販売してる人、今まで見たことないなあ。

アナログ、ウェーブテーブル、グラニュラー、サンプラーなどが組み合わさって1つの音色パッチとなっています。
FMやPDはないようですね。加算合成もModel Cとしてのみ、かな。

Included instruments and effects in HALion | Steinberg
Included instruments and effects in HALion | Steinberg

アナログ、ウェーブテーブル、グラニュラーとサンプラーでのレイヤー、んで、LFOなどを配線してエフェクターをそれなりに噛まして、ってOmnisphereも同じやん。
そう感じたところから今回のお試し記事がスタートしとります。

ユニゾン発音はそれなりに自由度高い。厚みは少し疑問。
ユニゾン発音はそれなりに自由度高い。厚みは少し疑問。
エフェクトはソフトに備わっているものに限定されます。
エフェクトはソフトに備わっているものに限定されます。
グラニュラーシンセも自由度高い。わかりにくさが玉に瑕。
グラニュラーシンセも自由度高い。わかりにくさが玉に瑕。
アルペジエイターはあらゆるソフトにおける課題の一つ。
アルペジエイターはあらゆるソフトにおける課題の一つ。
配線のわかりにくさはHALionとも大差ない。
配線のわかりにくさはHALionとも大差ない。
レイヤーはMultiで重ねる(=MIDIchをまとめる)手もあり。
レイヤーはMultiで重ねる(=MIDIchをまとめる)手もあり。

今日の日記に至るまで実は既にこの件は何度か試していました。
言うまでもないことだけど扱う人(自分)の能力以上の音は出ないもんですね。あいたたた。

エフェクトに関して言うと、Rolandの音源やこのHALionで見かける非常に美味しい存在Step Flangerは、まず他ソフトで見かけません。
Reaktorで組んでみようと思ったこともあるんですが、あの感じになかなかならず早々に諦めました。Feedbackの扱いが厄介。今もう無くなっちゃいましたがSFXMachineってのがこういうの作るのラクでしたねえ。

それから…Omnisphereにおけるアルペジエイター。ベロシティはマウスで上下にドラッグ、音符の長さは⌘キー押しながら(だったかな)マウスで左右にドラッグすることで調整できます。LogicのArpeggiator同様の操作で、編集も追加もラク。
HALionにおけるflex phraserは、性能いいのだけど、うちだとイジると百発百中でDAW巻き込んで強制終了します。
作り込み中に落ちるので途中の音色はたしか保存されず、一からやり直し。腫れ物か尖ったナイフか。愛だけでは支えられません。
理想的なアルペジエイターは今の時代、和音弾いただけでフレーズループになる仕組みじゃないですかね。その仕組みを作ろうと思ったらぞんがい時間がかかるので、ファクトリー体制の会社じゃないと難しい、そんな世知辛い思いが作業中に脳内をかけ抜けていきました。

さて、基本機能面でカブる部分はご覧の通り多く、あくまで機能面でOmnisphereをHALionのオルタナティブなものとして扱うのは容易と考えます。
もちろんそれぞれに一長一短あって、

  • 起動までの速さはOmnisphereに軍配
  • 負荷は大差なし
  • 画面同士の構造のわかりにくさも大差なし
  • 音キレの良さはHALionのほうが上
  • コントローラビリティ(オートメーションのしやすさ)もMacroを備えたHALionのほうが少し上(ただし単純にEGをいじりたい程度の操作をしようとしたらOmnisphereのほうが断然わかりやすい)
  • エフェクトはHALionのほうが汎用度高い

そんなとこ。

細かい点いえばHALionのシンセ音は、だいぶ前にCubaseのアナログシンセを引き合いに出して鋭さが足りない、それもリアリティとして鈍くしてるってより単純にレートが低く感じるとしていたわけですが、何年も経ったいま圧倒的に良くなっています。

波形にもよるでしょうけど単純計算で描かれる波形よりも概ね、高域に向かって自然に減衰していて非常に心地よいです。
「らしい音」はここがキモとも言えそう。
では、「らしさ」の点でOmnisphereがオルタナティブたるかを判断するならば、質感にやはり大きな違いがあって、波形によってギャリギャリしたノイジーな音になることがありますし、そもそも全体的に中高域〜高域にかけて耳にイタい印象があります。僕は、ですけど。

似た雰囲気は出せるけど、達人級に使いこなさない限りやっぱ別物よね、という結論に至りました。

せっかくなので、ミックスで少し似た質感にできないかなとやってみた手法を少し。
いったん問題のノイジーな高域をEQで上げます。次にスレッショルドに応じてノイズを加えられるRoth-AIRを挿します。
先ほどギャリギャリと評した高域のノイズって要はDAWで設定したサンプリング周波数との兼ね合いで現れる最小公倍数的な周期の高速ノイズと考えられるんで、逆にこれを散らかせば誤魔化せるだろう、って考えです。
根本的な解決でなくいわゆる「お直し」の手法だけども、これで一応は馴染ませられました。
あとはだから、ノイジーになる高域と相対的にやたら整って聞こえる中域とのバランスを整えられれば、雰囲気としてはだいぶ近付けられるんじゃないかなあ、と思ってます。

わざと高域を上げる
わざと高域を上げる
上がった高域に一種のディザをかける
上がった高域に一種のディザをかける

Omnisphereに関しては既報の通り、もうじき配布となる2.6の無料アップデートで、アルペジエイターの実用度が上がる見込みですんで、その機能次第ではHALionの出番が格段に減る可能性ありますね。
ただしそれにあたってはウェーブテーブルにもう少し野蛮な音が増える、もしくはカスタムのウェーブテーブルがインポート可能になってくれると有り難いですし、ギャリギャリとした質感が軽減されるといいなという気もします。