UMGの方向転換

どうしても気になる話題として追っかけちゃうので、ここんとこAIをテーマとする記事が多くなっちゃってすいませんね。
Hypebotによると、UMGのCEOがAI界隈への関わり方について方針転換を示唆しているみたいな話。
UMGといえばAIマニフェストの発表で個人的にも別格扱いしている企業です。
要は、AI企業に振り回されっぱなしだが、創造的ツールとして積極的に受け入れ、大手プラットフォームや先端企業と提携し、知財保護を優先したり、無許可使用を積極的に検出し、エコシステムの構築を目指すといった戦略を立てている、と。
元記事に見えるreactionとinnovationですが、AIへの嫌悪感、拒絶、防御的姿勢がreactionであり、そうした消極的姿勢、受動的姿勢よりも能動的な姿勢に移るというのがinnovationってことかと思います。
よくわからないから近づかないでおこうとか、よくわからないけど敵っぽいから利用者含めて罵っとこうみたいなのもreactionといえるでしょう。
と、関連雑記
実際のとこですが、打ち出した方針、そして打ち出したタイミングは合理的じゃないかなと。
これまでしきりに倫理という言葉で線引きをしてきて何だか曖昧な印象もあって逆に漬け込まれてるような印象もあったので、論点の切り分けとして納得させられるとこが大きい。
とはいえ、UMGはある意味後発で追っかける立場ってことになりますし、教材面で言えばUMGと提携した範囲に限られるわけですし、長期的な計画を描かざるを得ないなど、なかなか難しさはありそう。
利用者心情としてもクリーンなものより面白いものに飛びつきがち。
(リスキーなものを使いづらい)企業領域と(娯楽として自由にありたい)一般ユーザー領域との間で別な文化になるような気も…、いや、これはAIに限らず、今までもそうか。
現状、法整備が追いついておらず解釈も揺れているのがネック。著作権、著作隣接権、人格権との突き合わせがもっかの課題となっていて、AI企業側は合法を主張しつつ教材の吸い上げを行っているわけですね。ここに楔が打たれない限り、UMGの戦略の厳しさは変わりません。
チャッピーにこの辺り踏まえて、法整備の方向性の現状などたずねてみたところ、次のようにまとめてくれました。
| 領域 | 期待される方向性 | 実現時期(予想) |
|---|---|---|
| AI学習の透明性義務 | どのデータを使って学習したかを開示する義務。EUのAI Act(2026〜)で導入予定。 | 2〜3年以内にEU→日本・米国へ波及の可能性。 |
| トレーニングデータ使用料の制度化 | 楽曲・声の学習使用に対する“使用料”を徴収・分配するモデル(例:AI版JASRAC的制度)。 | 5年スパンで実現可能性あり。 |
| 人格的要素(声・スタイル)の保護強化 | アーティストの声・スタイルを無断で再現する行為を明確に違法化。 | 米国・日本で議論開始、2030年前後に具体化か。 |
| AI生成物の著作権制度 | 人間がAIと共同制作した作品における権利関係の整理。 | 英国・日本で議論中、比較的早期に整備される可能性。 |
いかんせんチャッピーなので鵜呑みにしきれませんが。