シンセ方式ごとの音色の典型例など(ビギナー向け)

どのシンセを使えば…ってときの目安になればってことで、各方式ごとの音色の傾向をまとめます。
例外的な話はなるべく割愛し、長くならないよう例示も少なめ。

アナログシンセ(Subtractive)

「あー、アナログシンセだねえ」と言ってもらえるのはどういう音か。

典型的なアナログシンセ音
典型的なアナログシンセ音
  • フィルターがかかり、レゾナンスの効いた音(黄色部分で設定)
  • 2つ以上のOSCをオクターブで重ねて太い音にすることが多い(青色部分で設定)
  • 大きめのビブラートがかかる(赤色部分で設定)
  • モノフォニック(単音)でポルタメント(音程が変わったときにヌルッと動く)がかかる
アナログシンセでのサイン波もどき
アナログシンセでのサイン波もどき

レトロなアナログシンセにはサイン波がないので、ノイズにレゾナンスの効いたバンドパスフィルタをかけ、フィルタを音程に連動させて発振した音で鳴らします。ES2だとそこまでレゾナンスが効かないのでぽわぽわした音になっちゃいます。

ポルタメントとモノフォニック/ポリフォニックとの関係はソフト/ハードによって異なることがあり、仕組みを把握して思い通りのフレーズを弾ける/構築できるようになるまで少し時間がかかります。

モノフォニックの印象が強いので、使うとなると大体の場合モノフォニックで鳴らすことになると思いますが、もちろんポリフォニックのアナログシンセはあります。

Korg Gadget "Pompei"
Korg Gadget “Pompei”
Roland Cloud "Jupiter-8"
Roland Cloud “Jupiter-8”

なおモジュラー方式のシンセは、ロジカルな思考で付き合わないと手に入れても苦労します。だけど一度わかると他のシンセが論外に見え出すかも。

FM

FMシンセ
FMシンセ
  • 掛ける音と掛けられる音との比で分けて考えたほうがいいかも
  • アタックとサスティンとで分けて音色をデザインしたものが多いかもしれない
  • やや複雑な合成方式なので、自由度が少ない
  • 一般にフィルターを持たない

典型例としては、サザエさんのBGMで鳴るメロディの音色。あと80年代後半〜90年代のJ-Popや海外ニューウェイブの音色(なので今のRetrowaveやSynthwaveとも通じる部分がある)。

掛ける音:掛けられる音 がたとえば2:1、3:1といった場合には低い重心の音になり、1:2、1:3といった場合には高い重心の音になりやすい。Ratio部分が不思議な数字になってるときもありますが、偶然の産物というわけではなく音程の周波数比に由来します。

音程比での比較
音程比での比較
音程比での比較
音程比での比較

「アナログシンセに比べて硬い音」とイメージするといいと思います。
しかしながら「こういう音にしたい」と思って組み立てていくのがいちばんシンドイ合成方式です。ひたすらプリセットを集めて使うか、数年がかりで自分なりのメソッドを築いていくか。

打ち込み/演奏時にコントロールできるのはFM度合いの強さ(≒音量)と音程くらいなもの。

アディティブ(Additive)

LogicのAlchemyや、SerumのWT編集画面、IcarusのWT編集画面、Absynthの編集画面等で見られます。

DiscoDSP "Vertigo"
DiscoDSP “Vertigo”

数十台〜千台規模のシンセを同時に鳴らすようなものなので、ものすごい労力とものすごい負荷(処理の工夫次第ではある)がかかります。したがって一から音色を作ろうって人はほとんどいないと思います。
PCMを倍音に分解調整するエディターと考えるとわかりやすい。とんでもない音に作り変えられる可能性があります。

ウェーブテーブル、PD

Waldorf "PPG Wave2.V"
Waldorf “PPG Wave2.V”
Xfer Records "Serum"
Xfer Records “Serum”

ダブステ以降はグロウルさせるためのものという認識ですが、もともとはシンプルに波形が切り替わる風味が重宝され、フィルターも従来は必須じゃありませんでした。実はベルの音もわりと得意。
従来のWavetableシンセやPDシンセ(下記)は80年代後半〜90年代中盤くらいまでオイシく活用されていたわけで、これもSynthwave等に活用できる音源方式といえます。上のPPG Wave2.Vはたしかフリーウェアで、音質が格別よくもないお蔭でむしろそっち系の制作には役立ちます。

2nd Sense "Wiggle"
2nd Sense “Wiggle”

バンドパスがかかったようなクシャッとした倍音状態と、ほかのシンセ音色のような減衰感があまりないのが特徴。
効果音系の音色は、なかなか他のシンセじゃ出せない雰囲気になる。

ウェーブテーブルもPDも、波形の形状を変化させることで音の変化を作ります。

グラニュラー

New Sonic Arts "Granite"
New Sonic Arts “Granite”

PCM(本記事では省く)ありきで飛散したような音が特徴。
ランダム要素がきわめて強く、決め打ちの曲に使うのは難しい。

一時期非常に流行ったグラニュラーは使える場面が限定されます。うまく使えば強力なシンセと言えますが、そこそこパワーを食うのでハードウェアではあまり見かけませんね。


★総じて

愚直な音

基本的にソフトシンセの音はPCの中で愚直に発振されて鳴るため生録りの楽器音と比べるとクリア過ぎて聞こえがちで、わざと音程を少し不安定にしたり、汚したりするなどの小細工を仕込むことが多い。
最初からそれが仕込まれたソフトシンセもあります(でもそれは都合がいいってだけで、ソフトが優れているかとは別の話)。

キーボードの機能との兼ね合いに注意

ビブラートは、Control Change#1のMod Wheelで行うのが主流でしたが、After Touch(Channel Pressure)で行うプリセット音色が近年一般的になってきています。代わりにMod Wheelはフィルターやエフェクトのコントロール等に用いられます。
打ち込む際にはこの設定がどうなっていようが欲しいサウンドになればオッケーなんですが、ライブでキーボード演奏する場合はAfter Touch非対応のキーボードだとビブラートがかけられません。設定を調整する必要が生じます。
ソフト/ハードによってこうしたコントローラーの設定方法は異なるので、既存のプリセットの設定を参考にするといいでしょう。

Reason Studio "Europe"でのビブラート設定例
Reason Studio “Europe”でのビブラート設定例
Logic "Alchemy"でのビブラート設定例
Logic “Alchemy”でのビブラート設定例
Xfer Records "Serum"でのビブラート設定例
Xfer Records “Serum”でのビブラート設定例
Spectrasonics "Omnisphere"でのビブラート設定例
Spectrasonics “Omnisphere”でのビブラート設定例
Lennar Digital "Sylenth 1"でのビブラート設定例
Lennar Digital “Sylenth 1″でのビブラート設定例

種類、負荷について

何種類ものソフトシンセを使い分けるかどうか。Serumが好きだからどんな単純な音でも全部Serumで鳴らすって一途な人もいます。
これ、あながち間違いとも言えず、DAWの設計によっては負荷の低いプラグインソフトを複数使うよりも負荷の高いソフトを複数使ったほうがトータルの負荷が抑えられる場合もあります。なので、これが正しいとか決めるのは後回しにして、何を使ったらどうなるか色々試してみるのが大事じゃないかなと考えます。

DCに注意

ソフト/ハードを問わずほぼ全てのシンセで、元となる波形の状態次第でDCオフセットのズレが発生し得ます。特にウェーブテーブルとPDはこれが高確率で発生し、たとえば和音を鳴らすと音量を絞っても歪んだり音圧を稼ぎにくくなる現象が発生します。
シンセ内蔵のエフェクトを使うとDCがズレた音にさらにリバーブがかかってしまい、ズレを除去できなくなる可能性があります。せめて20Hz以下でローカットしておくといいと思います。

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