ステムを想定したトラック命名規則

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ステムを想定したトラック命名規則

そういえば、この辺りの話を書いてなかったなと思ったので。
かなり遡ってDJMAXに楽曲提供を始めたとき、トラックごとにオーディオを書き出して渡してくれと言われて、面倒だなと思ったもんです。まだステム書き出し的な機能がDAWに搭載されていなかった頃だったので、センドバスも含めて1トラックごと書き出すのに結構な時間がかかりました。
音ゲーでステムを渡す機会はほぼなくなったのですが(楽曲で市販のサンプルを使用している場合、”第三者への譲渡不可”という利用規約に触れてしまうせい;ほんとはもう一歩踏み込んだ話だけども)、そのとき以来の習慣として自分がやっていることがあるので、それを記しておきます。あくまで私がやっていることであって、共通ルールではありません。

トラックの命名

今どきのDAWでは書き出し時にトラック名を拾ってくれるので、結局のところ、トラック名の命名とファイル名の命名とは同義です。
トラックの並びは各々の好みに合わせるといいと思いますが、私の場合は最初に歌やメロディのトラック、次にハモりがあればハモりのトラックを並べます。続いてドラムやパーカッション、ベース、ピアノ、リズムギター(リードギターもあれば、混乱しないようにリズムギターの次に置く)など下モノに当たるもの、あとは上モノを置いていく感じです。早い話、自分とその曲にとって重要度の高い順に並んでいると言えそう。
ある程度楽器の種類ごとにトラックにも色をつけています。構成の目印にはマーカーを使います。

ドラムは、分けるならDrBD、DrSDなどと、Drを接頭辞としてその後に各ドラム名称。パーカッションも同様にPcTamb、PcCg(コンガ)などとします。ハンドクラップはDrCpにしてます。エフェクト類も同様にFXRiser、FXBombとかになるかな。
ギターは、歪み系とクリーンを分けるならGtDist、GtClnなどと書いたりしますが、私はふだんそんなにGtのトラック数を使わないので大体Gt1個で済みます。せいぜいAcG(アコギ;AGtと書く場合も)と明示的に区別するくらい。

要は「このトラック、何だっけ?」とならないようパッと見でわかる程度に表記を短くし、類似トラックと区別したり存在を際立てたいときに修飾辞を補うって感じ。
ゆくゆくステムとして他人に渡すのであれば、ファイルを再生しなくてもそれが何であるかわかる状態になっていれば向こうもラクだろう、って考え方。
なので自分だけしかわからない語彙は避けたほうがよさそう。

ファイル名

上に書いた通りで、ステム書き出し時にさらに補うとしたら、ファイル名冒頭に数字を振ります。
これはまだ自分でも揺れているんですが、2mixやマスター、オフボーカルには冒頭に00か#を付けるかも(長くならないように#のほうが多いかも)。こうするとFinderやエクスプローラで見たときに2mixやマスター、オフボーカルが最初に来ます。
同様にほかのファイル群もアルファベット順で並ぶより、ある程度役割や重要度順に並んでくれたほうが、これを別のDAWに取り込むときに並べ替える手間も減るし、ステム受け取ってからさらにアレンジを加える場合にどれを不採用にするか判断しやすいし、作業に取り掛かる前やDAWの起動最中でも全体像を把握して作業方針を考えるゆとりができる、といった目論みです。

あとは、ある程度役割ごとに10の位で区別したナンバリングにし、飛番をあえて設けます。ステム納品後にドラムパートを追加する必要が生じる場合もなくはないので、それに備えて空けてあるってことです。

ミックスバス(Logicではトラックスタック)に関しては、納品時に求められる場合もあるし、分けたまま欲しいという場合もあります。さらに、DAWによってはミックスバスをバラして書き出すものもあれば、ミックスバス(トラックスタック)内の下位トラックにリージョンがなければ書き出されないという場合もあります。この辺りは使用するDAW次第。

※上の例ではドラムにまとめてマルチバンドコンプを掛けているため分けたくなかったのでDrとDrFillの間に飛番を設けていなかったけど、分けてほしいと言われてしまったので結果新たに桁を設けて対応したもの。こういうケースもちょくちょくあります。

書き出し用のプロジェクトファイルを別途用意するかどうか

うちではバージョン管理の一環として、最終版と書き出し版とをLogic Proの代替プロジェクトで分けています。
ただ最終版のはずなのに手直しが必要になるといったケースでは、Logicの代替プロジェクトの管理方法は不便。ほかのDAWのように「最近開いたファイル」一覧内で各プロジェクトファイルのバージョンを選んで開けたりするといいんですが(そうしないと、何らかのプラグインに不具合があってプロジェクトが開けなくなったなどの場合の対応がすごく面倒になってしまう)。
Logicの場合は内部ブラウザでプロジェクトを選択してから代替プロジェクトを選択することができるのですが、先に空のプロジェクトを開いてBusやらマスターやらコンダクタートラックを慎重に設定して開かなくてはいけない上、そもそもこれを保存する際に結局別プロジェクトとして分離保存することになってしまうし、正直その工程内で何か別の問題が発生する可能性もあるので、あまり大掛かりに使うのはリスキー。例えば開けなくなったプロジェクトファイルを救出する用途くらいでしかなるべく使いたくないですね。

類例として、MIDI(SMF)を書き出す必要がある場合もいったんリージョンをまとめる必要があったりで、ちょっと手数が面倒。
譜面を書き出す必要がある場合もいろいろ記号を書き加えたり2カッコ的な整形をする際にリージョンの場所をズラす必要があるので、代替プロジェクトを別途用意する必要があるでしょう。
Logicには代替トラックやキー情報を複数保存して切り替えられる仕組みが備わっているものの、代替プロジェクトも代替トラックも代替キー情報もと入れ子状態になったものを履歴として用いるには視認性がよくないし、結局自分の記憶力頼みになってしまって、忙しいときには特に不便です。

なのでLogicにおかれましては、いま書いたように、プロジェクトを開く前にプロジェクト内の特定の代替プロジェクトを選択できる仕組みを備えていただきたいところです。

悩ましいこと

ちなみに、スクショでSを冒頭につけてあるのはセンドバスを書き出したもの。Logicの場合、センドバスを右クリックして「トラックに追加」するとアレンジウィンドウにセンドトラックが現れ、ステム書き出し時に「すべてのトラックをオーディオファイルとして」するとセンドバスもステムとして書き出される(はず)。ただし、書き出し時にエフェクトをバイパスしちゃうとWet100%のセンドバス(大体Wet100%だと思うが)が無音になってしまいます。悩ましいですね。

サイドチェーンをバリバリ使っている場合、使用しているDAWや書き出し方次第で、サイドチェーン入力がオフられた状態で書き出されるおそれがあります。最近はほとんどありませんが、あえてちょっと古いバージョンのDAWを使っている場合はこの点が面倒ですね。
Sootheなんかを使用してボーカルの通り道を空けている場合も同様。むしろSootheを通さずにステムを書き出すほうがいい。というか、どうしてもそうでなきゃいけない理由がないなら、Sootheに関してはバイパスすべき。

ある程度トラックをまとめることで有効になっている手法を用いている場合、たとえばキックとベースとを一本にまとめて歪みを加えて汚してる場合なんかは、ステムで書き出すとそれぞれきれいな音になってしまう可能性があります。
これはもう割り切るほかありません。どうしてもその効果が譲れない場合にはステムを渡す相手に伝えておくといいと思いますが、先方が聞き届けてくれる可能性は五分五分くらい。

BPMやフォーマット情報、確認

これつけると結局ファイル名が長くなってしまうので、できれば上位のフォルダにつけておいたほうがいいと思います。bpm100_2448など。

ちなみにこうした場合のハイフン(-)とアンダースコア(_)の使い分けですが、各々一貫していればいいかなと。

書き出したものは、いったん空のプロジェクトファイルに持ち込んで確認します。
昨今ステムを片手間(自動)に書き出せるようになったのはいいけど、そのぶん油断して書き出し時の設定をミスるリスクが上がってますんで、前にもまして手元での確認の重要度が上がったと言っていいでしょう。

蛇足

最近この手のトピックで書くのは、「めいめい好きにやればいいじゃん」と思ってわざわざ書かなかったけど、ある種の終活の一環として書き残しておいてもいいかなと思い始めたから。