Toontrack “Underground EZX”
絶好調ToontrackからEZ Drummer、SD3用のEZXライブラリー、Underground EZXがリリースされてますね。Toontrack製品は、値段が安くないわりに結構売れてるんでしょうね。きちんとした母艦を作ってから拡張音源をリリースするという、ベタといえばベタなビジネスではありますが、信用がないとできない方法だよなあという思い。
Undergroundってのは日本でのかつてのインディーズに近いですかね。しつこいかもですが、海外でのIndieとは(カブる面もありますが)少しベクトルが異なります。
自分も一時期はアングラのバンドに属して活動していた時期があるのですが、良くも悪くも実験的、冒険的です。
外ヅラを気にすることなく、ただ音として表現していくみたいな。
海外、特にUK辺りだとさらにプライドが加わり、そこでの多くの冒険的な手法がメインストリームの方々にインスピレーションを与えて、トレンドとしてうねっていく感じ。別にそこで「パクられた」みたいな感じになることも、あるのかな、あまりそういう印象もないけど、「まあ、そういうもんよね」くらいで流されてるように自分の目には映ります。
ただ、(Toontrackが主戦場とする)ロック系においては、技術よりもう少しマインド主導の趣が強いかも。この表現がどのくらい伝わるかわかんないけど。
Sonicwireの記事のほうにも記したのだけど、割れたシンバル、ゴング、タム代わりのマーチングスネア(深胴かどうかはハッキリしない)といった、通常のToontrack製品には入りづらいものがキットの一部として取り入れられています。このスタンスに、ちょっとした抜け穴というかガス抜きというか、窮屈な音楽生活における突破口を感じますね。きちんとした製品できちんとした音楽を作るのももちろんいいんだけど、特にベッドルームプロダクションだと枠内に収まっちゃいがち。
まあ、かといって拡張ライブラリーとて、ベッドルームプロダクションの域内のものなので、何の疑いもなくこれが枠を超える作品にゆくゆくつながってゆくとも言い難い。だけども、製品にこうしたものが入っていることで、マインドに対して働きかけるものが少しはあるかもしれないねと、個人的にはそういう思いでいます。
なので、サウンドとしては高価な吸音設備の施された高品質なドラムセットってのとは違います。だからといって品質の低いドラムサウンドってのとも違って、高精細にこのスタジオ環境におけるこのドラムのサウンドがキャプチャされています。品質って何だろうね、と思い返すには充分な現実。
そして、面白いなと思ったのがMIDIグルーブで、結局この高精細なドラムサウンドで超タイトな演奏(打ち込み)をしても「あ、はい」でしかないわけですね。叩きムラや揺れも取り込むことでやっとパンクらしさのようなものが再現されるんだってことがわかります。
ふと考えるとBFDのドラムサウンドって、スピード感があって良かったけれども、ドラムとしてさまざまなジャンルに対して潰しの効く音だったかというと、これまた少し違う(嫌いという意味ではない)。あれの持ち味を有効に出すには、演奏(打ち込み)テクニックが多少なりとも必要だったのだなと。