Toontrack “Fusion EZX”

Toontrackから、EZDrummer 3とSuperior Drummer 3用のエクスパンションライブラリー、Fusion EZXがリリースされています。
残念ながらNFRをいただけていないので、製品ページで見られる情報と、動画内の説明をもとに、所感を交えて記していきます。
ちなみに現在Toontrackのキャンペーンも実施中なようで。
一般にFusion(フュージョン)というと、日本だと言わば歌のないAOR、もしくはもう少しテクニック色の強い音楽って感じで、海外だと電子系含めアレコレ色んなジャンルの入り混じったものを指す傾向があり、認識差に気をつけないといけないジャンルの一つなのですが、本製品でいうFusionはまさしく’80から現在に至るJazz Fusionです。
ドラムセットは基本YAMAHAで、あとSakaeとTama。シンバルはZildjan。
誰にインスパイアされたセットかって説明の中では、Steve Gadd、Dave Weckl、Simon Philipsといった名前が上がっています。もちろん彼らも時代ごとにサウンドが大きく変わるのですが、本製品の録音環境がかなり新しいこともあり、全体的に現代的なサウンドに仕上がっているといえます。
ちなみに、Realization Kit, Convergence Kit, Unification Kit, Absorption Kit, Profusion Kit(以上のリンク先はYouTube動画内で紹介されている各Kitのindex)とある中でProfusion Kitの説明文に「this version of the Absorption kit」とあるのは単なる誤植かと思います。
動画内の解説でも触れられているようにダイナミクスの大小がかなり配慮されているようです。
ちょうどいいスネアサウンドを得るためにコンプをかけるとゴーストノートも釣られて上がり過ぎてしまうって場面が今までけっこう多かった。コンプをかける前の時点で、4とか8とかのベロシティ値ですらスネアがそれなりに聞こえちゃっていて、それを回避するための「ベロシティカーブを設定する」プロセスが省略できるとしたら有り難い話です(こういうソフト音源にはリアリティを求める部分と、省力化を求める部分とが共存しますよね)。
タムの音は動画だとあんまり確認できる場面が多くありませんが、いい具合にベンドがかかって(締まって)いて、曲との混ざり具合がよさそう。フラムで叩いたときに「ん?」って感覚が少しあるくらい。
にしても、標準で7タム(オクタバン入れると11、ゴングドラム20″含めると12)はミニマムセットが好きな人には少し邪魔くさいかもしれません。
ライドのカップもしっかり聞こえますね。これまでのEZX、SDXのライドの音はやたら金属的に響くか埋もれるか両極端だった印象があります。

全体として。
SDXが個々のパーツに対して魅力の比重が寄りがちなのに対し、EZXはプリセットで判断されやすいと思います。その点でいうと、ちょっとバリエーションに乏しい印象がありますね。わりと一辺倒に聞こえやすいと思います。リバーブ強いのは調整効くはず。
とはいっても、上に記したようにドライ状態でのスネア、タム、ライドの存在感はJ-PopやJ-Rockの中でも使えそうな感じがしますね(試せればよかったけど、残念)。キックは少し調整が必要そうだけど、EZDrummer 3の構造の中でどの程度調整できるかなってとこあります。
Superior Drummerをよく使う身としては、Fusion EZXのようなサウンドにするために手持ちのパーツを組み合わせるとパーツ同士の空気感が今ひとつまとまらないことが多かった(ミックスでどうにでもなるけど)ので、そうした手間を減らすために導入するってのはありかなと個人的には思っています。