Strezov Sampling “Arabian Ethnic Orchestra” – アラビア音楽エッセンス

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Strezov Sampling “Arabian Ethnic Orchestra”

民族音楽好きの心くすぐる、アラビア音楽専用のKontaktライブラリー、Arabian Ethnic OrchestraがStrezov Samplingからリリースされています。
好評を博したJade Ethnic Orchestraからのシリーズで、まだまだ紛争の傷跡残るシリアでの収録。

アラビア音楽のサンプル素材は断片的なものが多く、体系的にまとまったものとしては、もしかしたら初かもしれませんね。

ARABIAN ETHNIC ORCHESTRAの詳細情報ページ
STREZOV SAMPLING社製 ソフト音源 「ARABIAN ETHNIC ORCHESTRA」の製品詳細情報ページです。
情報
  • Kontakt 6.7以上、Kontakt Player対応
  • NKS対応状況不明
  • 60GB
  • 定価€399、イントロ価格€299

機能、操作性

NFRをいただいたので、もろもろ確認させていただくことに。

インストール

まず記しておくべきはインストール手順。
Native Access経由でダウンロード、インストールが済み、nicntファイルがあるので、Kontakt上ではインストゥルメントラック上にバナーが表示されます。

少々面倒なのは本製品から導入されたチャレンジ&レスポンス認証で、おそらくWindows環境では難なく認証が済むと思うのですが、macOS環境だとコピペできなかったり、直接の入力もできない可能性が高い。
サポート(正確にはBlog)を読むと、非英語圏ではUSキーボードに変えてみて!と書いてありますが、現在のmacOSではなかなか難しい。

最も確実なのはIMEを間違いなく英語入力として設定しておくことですね。macOSだとよく見てないとIMEが勝手に切り替わってたりするので要注意。
なお、入力欄を上下にドラッグすることで数値が動きますが、バチッとした値にするのは至難の業なので非推奨。

5回の試行回数を使い尽くしてロックされちゃった場合には、Strezov Samplingのサポート、もしくはSonicwireで購入されたならSonicwireのサポートに連絡して、ロックを解除してもらいましょう。
その際には製品名とStrezov Samplingサイトのアカウント名の連絡をお忘れなく!

サウンド

それなりに重いので、お持ちの中で最も古いKontaktでBatch Resaveすることをお勧めします。

売りとなっているチューニングについては、メニューから選択可能で、なかなかいいです(マカーム – Wikipedia)。
.sclファイルで共有いただけたらもっとありがたかったですね。
幸いスケール名称でWeb検索したら互換性のあるものが見つかりそうですけども。

通常のいわゆるキースイッチ方式のNKIもいいんですが、そこまでアラビア音楽の知識が深くない人にとってはImprovisationのパッチかPhrasesのパッチが重宝でしょう。
逆にキースイッチ方式のNKIが備わっていない楽器もあるので、そこには注意が必要(Strezov Samplingの製品ページでマニュアルが見られるので、巻末に掲載されたInstrument Listで確認可能。ただし、NKIの名称が実際とは少し違う点にも注意)。

Phrases等はテンポ同期するようになっており、Kontakt内のいわゆるTime Machineエンジンに従っています。
ただDAWのテンポ(もしくはKontakt内のテンポ)設定次第では、若干ジャギーに聞こえるのが難点。
たぶん、収録で取り込まれた初期反射が影響していると予想されます。
特にボーカルはタイムストレッチ等による違和感の出やすいものなので、新技術でも開発されない限り、多少の違和感については妥協せねばなりませんね。
曲中で使う分にはそこまで気になるものではありません。

Loopsのバンク切り替えについてはキースイッチが対応していないようで、たとえば拍子が途中で変わるような楽曲で使う場合には工夫が必要かもしれません。
スクショのように、同一CC#をこの場合あえて各リズムに重複して設定し、From%とTo%とで影響範囲を分割する手もあるかなと思いますが、少なくともうちではまともに機能しませんでした。
同一NKIを複数起動するほうがラクかも。
ちなみにいわゆる変拍子的なループはDawer Hindiの7/8のみのようです。この辺りも、自分で使用するときには工夫が必要そうですね。

あとはSparksと称されるFX。これは、製品紹介記事の書きようだと2種類のNKIがあるように思えますが、単一のNKI内に2つのバンクがある構成。
いわゆるスティンガーのようなワンショットSEの類で、多かれ少なかれアラビア音楽のエッセンスを残しつつ、ものによっては強めのエフェクト処理がなされています。

大体はこんな感じで、収録環境や経緯も踏まえて考えるに、内容的には(Jadeよりも)価格相応な感じがします。
なんとなくフィーチャーしようと思う程度の方には若干TooMuchで、ガチでアラビア音楽を作ろうという方には物足りない。そのどちらでもない、文化に対してそれなりの好奇心があったり、ある種の字引として備えておきたかったり、フィーチャーするならするで打ち込みでなくきちんと演奏された血の通った音が欲しい…といった方々に役立つように思いました。