Convolution Reverb をステレオ化に活用

コンボリューション・リバーブ(Convolution Reverb)またはサンプリング・リバーブ(Sampling Reverb)とは、特定の場所の残響の特性を記録して、あらゆる音源に対して反映させられるようにしたもの。
きわめて短い音つまりパルスを特定の場所でパーンと鳴らすことで、その場所での残響成分の分布や残響の持続時間を記録(サンプリング)し、そのデータをたとえばDAWでドラムのフレーズ再生する際に反映させてやると、その特定の場所でドラムのフレーズを鳴らしたように加工することができる、と。
残響を拾うマイク位置の遠近や高低、マイク特性など、同じ場所でもバリエーション多く採取できる一方で、それが如実に表れすぎて潰しが利かないとか、微調整が利かないといった負の側面もあります。
記録する方式をIR、つまりインパルス・レスポンス(Impulse and Response)といって、フリーなり有償でわりとあちこちで配布されていますが、データによっては特定のソフトでないと動かないものもあります。

記録を反映する演算は畳み込み、つまりコンボリューション(Convolution)。だからコンボリューション・リバーブというわけですね。

Logic Pro XにはSpace Designer、Cubaseにはrevelationやrevelrence、ReasonにはRV7000 MkII、ProToolsにはSpaceという純正のコンボリューション・リバーブが備わっています。Ableton Live自体にはありませんが、Max 4 LiveにConvolution ReverbおよびConvolution Reverb Proという形で提供されていますし、有償プラグインとしてはAudio EaseのAltiverb、HOFAのIQ-Reverb、フリーならばRosen DigitalのPulseってのも。
プラグインのソフトウェア音源、NI KontaktであればInsert EffectsまたはSend Effectsの箇所にConvolution、NI Guitar RigであればReflektor、Spectrasonics Omnisphere 2であればInnerspaceなどがそう。
Logic Pro XのSpace DesignerはたしかLogicのバージョンが7,8辺りで登場したもので、当初は再生時の負荷が半端ありませんでした、軽量動作を目的にSpace Designerへの入力をモノラルに切り替えたりサンプリング周波数を下げたりできるのですが、劇的に軽くなるところまではいかず。
複数のSpace Designerを使ってもサクサク動くようになった今だからこそ、多くのコンボリューション・リバーブ用プラグインが揃っているといえるでしょう。

 

さて、Audio EaseのAltiverbを見ると、周波数と強さと時間の3つの軸で立体的に特性が示されていてわかりやすいですね。
ここで、時間のとこで切るとその断面が周波数分布図になるんで、時間を止める操作があるならフィルターとして使うことできると考えられます。
そのソフトウェアの演算の仕方によるわけですが、極めて短い残響時間に設定するなどといった手法で、似たような効果が得られます。
ただまあ、許容できないレベルのレゾナンスがつくようなのはマズいんで、なるべく解像度の高い記録を、解像度高く原音に対して畳み込みしてくれさえすれば、結果に期待できると思います。

質感調整もそうなのだけど、左右chの広がり…というと正確ではないので「左右での分布の違い」と言っておきますが、それによって、モノラルの入力信号の定位を広げられることにもなります。
モノラル音源をステレオ化する部類のエフェクトとしてStereoizerってのも世の中にはあるのですが、僕の知る限りランダムなタイミングで逆相が発生するので、市場に流通させる製品に使用するのは少し辛い。
ランダムに発生する逆相って現状は対策も対処もしようがないので、精神衛生を考慮してもコンボリューションを利用するほうが効率いいと思います。

左右バランスを整えづらいのが決定的な難点。
左右のバランスが整った、いい具合の響きのポイントを探すのは恐ろしく時間がかかるので、少し忙しさが落ち着いた時期にお気に入りのものを探して印を付けておくといいんでしょう。