ステレオ加工する幾つかのギミック 2014

僕がよくやるステレオギミックでもまとめてみようかと。6,7年位前にもまとめた気がしますが改めて。

左右の時間差

Sample Delay

Sample Delay

これはモノラル音源に左右の時間差(lag)をつけてステレオっぽく聞こえさせるもの。設定値によっては片chに寄って聞こえる(Haas Effect)ので注意が必要。注意が必要ってのは、’片chに寄って聞こえる、つまり片chは機能してないに等しいのに両chに等量の音データが存在している’っていう、ある種ムダが発生してしまうから。lagを0.1msecとかすごく小さくしてやるか、40msec以上与えておくとデータ効率はマシになります。
LogicだとSample Delayってので出来ますが単位はsample。44.1kHzの状態だと40msecは40*(44100/1000)=1762sampleという感じ。

コムフィルター’的’

資料:コムフィルタ効果(フランジャー、コーラスのしくみ) – YouTube

コムフィルター(Comb Filter)って書くと語弊があるのでコムフィルターとしますが、左右に逆相の’形’のフィルターをかます手法。この場合、フィルターを与えた後に左右が等量に聞こえるのが理想(DCオフセットを除去するようなもの)。で、楽器の基音に当たる帯域にこれをすると気持ち悪い響きになるのでなるべく避けます。
LogicだとStereo Spreadがそうで、このフィルターが動くのがRing Shifterと思われます。現実にこういう定位の状態になることはまず無いので立体音響に感じちゃうのかもしれませんし、他の音から分離して聞こえてしまうオマケつき。ということで、つまり善し悪しです。

わかる人にしかわからないかもしれませんが、Metasynth(WindowsだとCoagulaか)でいうと、こういう状態にする(右図)わけです。厳密にはこれに等ラウドネス曲線的な係数をかけて赤部分と緑部分の各比重が均等になるのが理想と。
今のところ自分の耳に頼らざるを得ません。楽器の音域と帯域にも関わりますし、フレージングにも影響してきますもんね。

超遅いウネりエフェクト

Live Chorus

Live Chorus

ChorusでもFlangerでも、(エフェクター単体を)ステレオ状態で、振幅をかなり浅く、速度をかなり遅く、Feedbackも低め、Mix率を50〜100%位にしておくと、優しいってより’もやっ’とした定位になって遊離度増します。入力がモノラル音源であれば尚更不可解な響きになります。気持ち悪いですが、コムフィルタの作用でオーディオデータ量が間引かれるので音圧制御が少し楽になります。

オートメーションORトラック複製

オートメーションでパンを動かすのは古くからある方法で記すまでもないんですが、近年の邦楽にあるようにバババッとパンを瞬時に動かすってのはレイテンシーとの戦いの部分もあったりで、再生するたびにタイミングが変わるとか、トラックが増えたら遅れがちになるとか、勘弁して欲しい場面が多いです。
なので、最初からパンを振ったトラックを作っておいて、リージョン切ってそこに置くのが現実解という感じ。ただ、凝るとなるとトラック数が膨大になるので、それを行なった場合に期待される収穫と天秤にかけた上で判断するのがよさそう。

160601追記:
Logic Pro X 10.1以降だとリージョンオートメーションが可能になっていてレイテンシーが大きく改善されたため、パン等をザッピングするためだけに複数トラックを用意しておく必要が無くなっています。

ステレオ・ウィズス(Stereo Width)

LogicだとChorusやDelayが左右のパン目一杯に広げられてしまうのですが、左右の広がりはエフェクターの中で簡単に調整できる仕組みになっていると嬉しい。
とはいえ近年は左右完全分離のミキシングも多いので、気にしなくてよいと言えないもありません。

考えてみると、左右完全分離が一般的であるほど、左右の分離を狭めたサウンディングが効果的に聞こえるともいえます。また完全分離以上の広がりを演出するには通常、リバーブや擬似立体音響を検討する必要が生じますが、広がりのバリエーションを活用すれば、うまく空間の演出ができるということになります。ただし1曲の中でバリエーションを多く投入するととっ散らかってしまうので、せいぜい2,3種類の手法にとどめておくが吉です。

さて、LogicのDirection Mixerはステレオ・ウィズスを固定にしておく分には問題ないんですが、Spreadの値が0.1刻みで0〜2.0までなので、動かそうとするとちょっとジャギー(追記:Logic Pro Xで改善されています)で、ゆえに前述のようなレイテンシーずれが露呈しやすい。なので、図のようにReaktorとかを使えば便利。ID設定しないとオートメーションできないので注意。

ちなみにリバーブのみステレオ・ウィズスを狭めるとか広げるとかってのも結構面白いです。
あと、これも前に書いた気がしますが擬似Spreadというか、ステレオを100%とするなら200%まで広げる方法として、逆チャンネルの逆位相を足す手法がありました。Sound Forgeでいえば右の図のような設定。LogicのDirection Mixerはこの方式じゃないっぽいですが。

ノッチ(Knotch)

参考:【第四回 フィルター】音作りの基本!シンセサイザー使いこなせるって・・・いいよね!Logic標準のシンセサイザーを使おう

Live EQEight

Live EQEight

ステレオギミックとはちょっと違う気がしますが。洋楽とかだとたまに(というか’あからさま’に)ある、特定の周波数をQ幅狭めにピンポイントでカットするってのを何度かやりました。要するにコムフィルターがかかったような音になって、特にボーカルで局所的に施すと(通しで施すとレコーディング失敗したみたいに聞こえちゃうので)、中央定位でも一歩奥まった響きになります。700〜1500Hz位がわかりやすいかも。
さっき書いたコムフィルターを使う=超ショートディレイを設定するのもいいかもしれません。

グレイン(Grain), グラニュラー(Granular)

MStereoSpread

MStereoSpread

Absynthをエフェクターとして挿すとAetherizerとしてデフォで鳴るエフェクト(PatchのTypeとしてはCloudという名前になってる)。LiveだとGrain Delayみたいな。入力された音を粒子状にして再配置する手法で、パンも散らせるので、’もやっ’とはしちゃうけど謎のステレオ感みたいなのを出すことができます。
あとMeldaのMStereoSpreadはグレインの方式ではないっぽいけど、微調整もできるので結構いいかも。

だいたいこんなところですかね。思い出したら追記するかも。