Spitfire “BLANKFOR.MS – TAPE SYNTHS”

Spitfire Audio — BlankFor.ms - Tape Synths
Spitfire Audio — BlankFor.ms – Tape Synths

SPITFIRE AUDIO から、シンセ音をフィーチャーした BLANKFOR.MS – TAPE SYNTHS 。
Lo-Fi嗜好に応えるだけでなく、DYNAMICSフェーダーを使用したサウンドバリエーションが魅力の一つとなっています。
ダスティさのもたらすヌケ感、程よく不安定なピッチ、ぬるっとした歪み感などが高品質にキャプチャされ、整いすぎて聞こえるトラックに絶妙な有機性を加えられます。
特にこういったヌケ感というかスリヌケ感は、ソフトシンセとソフトエフェクトでの処理だと限界があるので、きっちり収録してくれているのが有り難い。

情報

  • 定価$49
  • エデュケーション・ディスカウント対象
  • NKS対応

サンプラーの宿命ではありますが、”テープである意義”や”BLANKFOR.MSを起用した意義”はサンプル収集時点で完結(もちろんSPITFIREがこれまで培ってきた録音技術が最大限に活かされています)で、SPITFIREプレイヤーというサンプラーがそれらのサンプルをどう扱えるのか、これが気になるところ。
Kontaktと違ってボンネットを開けて回路に手を加えることができず、サンプラーに及ばぬロンプラーとしての用法に留まってしまうのは、個人的には「玉に瑕」と考えます。
端的にいえば、DYNAMICSフェーダーを使ってシーケンスフレーズが鳴ったり5度上のハーモニーが鳴るように仕込まれたパッチが収録されているのですが(上の動画参照)、シーケンスフレーズを倍速や3連符で鳴らしたい局面や、5度上のハーモニーがディスコードしてしまう場合、ユーザーとしては対応しきれない、または限界があるんですね。歪み感の調整やステレオ感の調整についても同様。ソフトシンセとサンプラーとの境界を突き付けられてるような錯覚を得ました。
「〜っぽいもの」でなく本物を得るためにはサンプラーでいいんだろうか、って辺りですね。…と、あくまでこれは、紹介動画を見た範囲での感想。
こういった辺りを気にしないスタンスの作家さんであれば有益に有効に使いこなせると思います。
インスピレーション元としては充分。