Spitfire Audio “Impressionism”
年末に向けて新着ソフト(アップデートもか)が駆け込み乗車のようにやってきてます。珍しく毎日のようにこちらも記事したためてる次第。
さて、Spitfire Audioから印象派アートにちなんだ新作ライブラリーImpressionismがリリースされ、珍しいことにNFRをいただけました。せっかくなので取り上げます。
印象派絵画とは、モネ、マネ、ルノアールに代表される、写実主義とは対象的に全体にふわっとして強めな彩度で描かれるアレですね。「睡蓮」とか「散歩、日傘をさす女性」とかああいうの。登場から150年とのことで。
機能、操作性
内部の基本的な仕組みがKontaktに非常に似たSpitfireエンジンですが、インターフェースは概ね一貫しており、中央に大きなノブ1つ、その左にフェーダーが2つ、下部にアーティキュレーションリストが並び、タブを切り替えてシグナルミキサーやエフェクトその他の拡張機能を開く形。
なので、何か一つライブラリを持っていれば、ほかのライブラリの操作に慣れるのも速い。
IMPRESSIIONISMにおいては通常ダイナミクスとエクスプレッション辺りの操作に使用するフェーダーの一つがDIVERGEなる特殊機能に割り当てられています。
このフェーダーが、華やかにサウンドを様変わりさせる機能。当然MIDI CCで操作できます。
インターフェースがほぼ同じだけどフェーダーに割り当てられた機能が違うってのは、こういう部分で操作を間違えやすくなるので、良し悪しですね。
収録された楽器の種類は多いものの、中心的なのはハープ、ビブラフォン、フルート、ストリングス、サックス。
IMPRESSIONISMの製品名とも呼応するように、いずれもまったりとした奏法が収録されており、指定したスケール、または奏でた和音に則ってこれらが気ままに鳴ります。
DIVERGEのフェーダーを調整すると、同時に鳴らされている各楽器のアーティキュレーションなどがまとめて変化してゆき、それらの取り合わせによってさまざまな情景が描かれていく、そう理解しておくとよいかと思います。
下部にアーティキュレーションリストに代わって表示されている抽象的なアイコン群は、このプリセットに含まれた楽器群およびそのテクニック(奏法)とのさまざまな取り合わせ、あるいは鳴らし方のバリエーションに当たるようです。スナップショットみたいなもの。
思ったほど素敵に響かないケースもないではなく、ユーザーとしては、どのオクターブでどのような積み方で白玉和音を鳴らすかが、活用可能性を左右すると言えそうです。
動画でも確認できるように、ストリングスのトリルのフィーチャー度が比較的高い。また無調整のクラスターもフィーチャーされており、明確な仕上がりイメージを持ってソフトをいじってるときにこれが鳴ると、個人的にはちょっとジャマかなと。
単音でゆったり弾き続けていると、なんだか70〜80年代前半のTVや映画のタイトルやシーンで聞けるような、怪しいユニゾンメロディみたいなのもあっさり生み出せちゃいますし、また指任せにやんわり弾いてると順当に穏やかで時にメルヘンチックなメロディが生み出されます。
なので、いわゆるシネマティック系のガツガツとした派手な音は鳴らないものの、ふわっとした映像やサウンドロゴみたいな抽象サウンドが必要とされる場面では相当活躍するんじゃないかなと思います。