Spitfire Audio “BBC Radiophonic Workshop” – あの頃のSFサウンド

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Spitfire Audio “BBC Radiophonic Workshop”

わりと続けざまな感じで、Spitfire Audioから新作BBC Radiophonic Workshopなるサンプルライブラリーがリリースされています。

BBC RADIOPHONIC WORKSHOPの詳細情報ページ
SPITFIRE AUDIO社製 ソフト音源 「BBC RADIOPHONIC WORKSHOP」の製品詳細情報ページです。
情報
  • 要Spitfire Audio App
  • 27.8GB
  • 定価$199、イントロ価格$159

初見の方にはわからない言葉が多いかもしれないので、もろもろ補足しますと…

BBC Radiophonic Workshopとは

BBC Radiophonic Workshopというのは主に放送用途の音効を1958年から行ってきた部門で、電子音楽やFound Sound(特に素材と意識していなかったのに加工次第で大きく変貌する可能性のある、そこらの物体の発する音)の類から斬新な音作りを行ってきたことで知られています。

マーク・エアーズが救った音源|映画保存協会(FPS)
映画保存協会は映画フィルムを文化財として保存する活動に取り組んでいるNPO法人です。

今なお放送されているらしい「ドクター・フー」の元々のテーマ音楽(作曲はRon Grainer)の電子音楽への編曲が代表作とされていますね。テルミンライクな旋律をフィーチャーした定番の一つ。
そんで、当時の発掘素材および、新しく再び顔を合わせた面子による追加素材などが収録され、Spitfire Audioによる「Solar」なる仕組みでもって、現代的な加工も行えますよ、というのが売りと見えます。

Spitfire Audioは以前、Bernard Hermann Composer Toolkitをリリースしてましたね。BBC Radiophonic Workshopの系譜に連なると思われる現代の名だたる作曲家のツールキットも手掛けてますね。古今東西の音響史を紐解くようなプランがあるのかも。

BERNARD HERRMANN COMPOSER TOOLKITの詳細情報ページ
SPITFIRE AUDIO社製 ソフト音源 「BERNARD HERRMANN COMPOSER TOOLKIT」の製品詳細情報ページです。

実際には、そうした作曲家たちを存じ上げないと食指の動きにくいところではあります。本製品に関してもそうでしょう。まして、今さら60年以上前に遡って何をできるのかってとこもあり、そこいらは上のWalkthrough動画で確認してみる他ないでしょう。

Spitfire Audio App, Solar, eDNAとは

Spitfire Audio Appというのは、コンテンツマネージメントソフトですね。KontaktでいうNative Accessと考えるとよいかと。

Solarというのは、Kontakt向けに開発されたeDNA(A/Bの音を組み合わせ加工する仕組み)を受け継いだ独自プラグインで、このアプリケーションは他のSpitfire Audioの独自プラグイン同様、インターフェース中央(ちょっと上部)に大きなノブがあり、アーティキュレーションなどのエディットをインターフェース下部で行う定番の構成となっています。Jupiter by Trevor Hornでおそらく初めて導入された製品で、その後、Mercuryが登場。本製品は第三弾と考えられます。
Solarに搭載されるエフェクトはKontakt由来な感じが物凄くするので、NIの技術的なサポートをもしかしたら受けているかもしれません。


2/27追記

NFRをいただいちゃったので、簡単にレビューします。
まず、DAW上ではSpitfire Audio > Solarの中にインストールされます(DAWによっては異なる可能性あり)ので、探さないように。
マニュアルはMercuryのものを見るようにとのことが、日本語版は手に入りませんね…。

そう難しいものでもないので、マニュアル無くても大丈夫だとは思いますが、近く、日本語対応されたSpitfire AudioのWebサイトからダウンロードできるようになると思う(実は一通り私が翻訳したもの;膨大な量なのと、原本が既に間違いだらけだったりするので、お持ちのソフトウェアと説明に食い違いがあったらすいません)ので、それまでは辛抱ください。

機能性についてはSolar準拠なので特に言及すべきことはありません。
サウンドは、さすがに文化も時代も違い、私自身もビンゴな世代じゃないため「心躍る」とは言いにくい。
基本的には、あの時代のサウンドに初期衝動を与えられた人のためのものかなとは思うのですが、素材は大量に収録されていて、現在の環境で再現できないものも多く、絶妙なピッチの揺れを持ったものなど現代の制作にとっての示唆がないわけではありません。工夫次第で大化けする可能性だってあります。
本ライブラリ以外のサウンド、特に現代的なシンセや高品質なオーケストラサウンド等との取り合わせも(当然)まだ試されていないため、特殊な、あるいは個性的なサウンドを自身の環境で作り上げられようって方向けかと思います。