sonible “smart:comp”

先日 proximity:EQ+ が意外とよかったと感想を書きました。
気を良くして(?)同じメーカーの新製品 smart:comp も試してみます。30日間のデモ。期待に胸膨らむ

…と、記事を書いてる間にPlugin BoutiqueとAudio Plugin Dealsの両方で販売開始したようで、

  • メーカーサイトでは定価€129 のところイントロ価格€89
  • Plugin BoutiqueとAudio Plugin Deals双方でイントロ価格$89
  • Plugin Boutiqueでは他のsonible製品を所有していればさらに値引きで$64.50

で手に入れられるっぽい。メーカーサイトのユーロ表示がタイポなのだろうか…?
ともかく先日のうちの記事に関わらず、今以降でもPlugin Boutiqueで何かしら購入したついでにproximity:EQ+を無料で手に入れてさえいれば、¥7,000弱で買えるってことになりますね。
お得というか、なりふり構わずというか。

それはそれとして、この紹介動画見て機能わかります?

画面内の表示と音がリンクしてなくて僕は全然わからなかった。
期待と裏腹に胸しぼみました
動画見てもわかんないからデモを落とすのだけど、これってヒネた見方をすると詳細を伏せることによって体よくメールアドレスを集めてるといえるんじゃないですかね…。そう考えるとあまり印象良くないな。

さて、機能の確認。
機能の中核はタイムドメイン(時間軸に対する周波数領域の変化)コンプレッサーと独自のSpectro-Compressionとの2つの仕組み。
このSpectro-Compressionとは、2048バンド(「2000以上」としているので2048だと思う)に対して、プリセットもしくはLearningによる分析に基づいて重み付けを与えた上でコンプをかける、いわばマルチバンドコンプってことになりますかね。
僕が使うSootheのマルチバンドコンプ版といえます(しつこいかもですが、コンプは圧縮でダッキングは引き算なので結果が異なります;意図的に混用しているメーカーもあるので注意いただきたい)。
だとするとマルチバンドコンプを信用しない方々にはまるで刺さらないコンセプトかもしれません。
だけどまあ「存在しない名機の特性を再現したもの」と(だいぶ端折って)解釈すれば、気持ちがなびかないこともないですね。

AI云々は、入力された信号の分析ともともと機能として持っている入力に対する設定値との照合処理において使われてると思われます。

結果的には、一種のマッチEQのようにコンプレッサーがかかるってことですね。
それ、マッチEQで良くね?と思いましたが、マルチコンプならではのアーティキュレーションが効果として得られる、もしくは今まで聞いたこともないエンベロープが得られるならば、まったくナシでもないかも。

日本人女性ボーカル(ほぼ素人)に対してかけてみた
日本人女性ボーカル(ほぼ素人)に対してかけてみた
英語女性ボーカル(プロ)に対してかけてみた
英語女性ボーカル(プロ)に対してかけてみた

曰く、通常なら時間がかかってしょうがないコンプレッサーの設定を、自動検出と自動適用によってなるべく手短に済ませることができると。
Spectro-Compression機能はオフれるので、単純な全自動コンプレッサーとして使うこともできます。
あとは、だから、それが理想通りにかかるかどうか。
試してみたところ、ミックスバスやマスターには正直厳しく、辿々しさ感じられる音になったものの、個々のパートには思ったよりイイ感じでかかります。
ただしちょっと邦楽っぽくはないかなあ。
バタくさいってほどでもないけど。
それと、AIの宿命である「学習材料が更新追加されない限り進歩しない」点にメーカーが対応できる体力を持っているかどうかは気になります。

AIの学習材料とカブる部分が多ければ(つまりオーソドックスな処理をしたいときならば)恩恵に授かる面はたしかに大きいと思います。

「音」に関するソフトウェア、プラグイン、素材の総合ダウンロードストア、SONICWIRE