【採譜】Snarky Puppy – Flood

引き続き今度はSnarky Puppy “Flood”をざっくり採譜。
なんでコレかというと、拍子どうやって取ろうかってのと、ギターリフはどう押さえてるのかってのと、YouTubeのコメ欄に「鍵盤が和音弾き間違ってる箇所でMichaelが渋い顔をしてるぜ」ってのがそれたぶん勘違いだってのと。

相当初期のライブのバージョンを元にしました(渋い顔云々のコメントが付いてるやつ)。

拍子どうやって取ろうか

8分音符に焦点合わせて5/8の箇所と7/8の箇所で分けるのが記譜上正しいと思うのだけど、演奏時は半分の拍子5/4と7/4で捉えたほうが合わせやすいと思います(なので5+5/8, 7+7/8と記した)。
ベースのフレーズがそんな感じになってて、ギターのリフ、鍵盤のリフも5/4で考えたほうが弾きやすそう。
ホンセクは5/8, 7/8で演奏しないと馴染ませにくい箇所が随所あり。
要はパート感でリズムの取り方が異なる状態を是としたクロスビート(日本だとポリリズムって言われやすいか…)で小節頭を着地点にするのが妥当でしょうね。

ギターリフ

ネット上だと違う解釈もあったのですが、映像見る限り譜面に記したような感じかと思われます。
What About Me?でも開放弦を使ってましたね。Michael Leagueは元ギタリストなんでこういう発想が余裕…なのかな(いや、リフを誰が作ったか知らんけど)。
スタジオ版のTell Me Your Friendsではイントロでこのリフを鍵盤(Bill Laurance)が弾いてます。

ちなみにこのバンドのライブ、管はだいたい決まった2人ですが、ギターも鍵盤もドラムもパーカッションもそのとき出演可能なメンバーが担当したりして層が厚い(今更だが)。
この曲の中間部のソロを鍵盤がやることもあるみたい。

コメ欄の指摘は

「マイナーを弾くところでメジャーを弾いてて、Michaelがなんともいえない表情をしてる」というコメントがあって複数のThumb Upが付いてるんですが、たぶん鍵盤兼トランペットのJustinがm∆7(9)のコードを弾いてるってだけで、間違ってもいないし、そもそもよく他の動画でもよく見る表情。

後にMichaelが心酔してメンバーに加えるCory HenryやMark Lettieriがインプロで優れたリハモやアグレッシブなプレイを見せたときに、やはり同じ表情を見せますよね。
そしてそれは一見困惑に見える恍惚の表情。

m∆7はポップス系の音楽だとせいぜいクリシェ(クリシェ | 作曲info | 作曲初心者、中級者向け作曲情報サイト)で使われるくらい。
クラシックや、映画音楽のシリアス/サスペンスなシーン、ファンタジーもの、あとはSummertimeみたいなジプシースウィング香るジャズではふつうに使われますけども。
僕自身が注視を始めてm∆7が目に付きやすくなっただけかとは思いますが、ヨーロピアンジャズや近年の次世代ジャズミュージシャンの間でかなり頻繁に使われている印象があります。

冒険をその場で評価する効率の良さ(私見)

m∆7自体は間違っていないんですが、鍵盤はそのかわりE∆7/F#のところでD∆7を鳴らすという、痛いポカをしてます。
なお、ShaunやCoryも決してポカがないわけじゃないんですがリリースの長いシンセ音色を滅多に使わないので目立ちません。
とはいえたとえポカになっても、こういう果敢な冒険は、限度こそあれ歓迎されなきゃいけない。
演奏終わったら冒険内容忘れちゃったってんじゃ収穫がないんで、表情にせよ何にせよMichaelが代表して即座に反応を返し、本人の収穫をしやすくしてあげてるってことですね。
ジャズではいわゆるインタープレイってので冒険しつつ煽り合うんですが、上手くても揮発的なプレイヤーはけっこう多いです。
これが新たなアレンジの提案としてバンドの曲に反映されていくってのがSnarky Puppyの面白さの一つといえそう。