Session Loops “VocalNet” – 危なっかしいボーカル置換ツール

Session Loops “VocalNet”

以前DrumNetを取り上げたSession Loopsから新しくVocalNetがリリースされています。
最近多い、歌を別人に置き換えるもののようで、RVC-Projectをもとに学習されている? いや、違うか。RVC-Projectにまつわるモデルを元に歌を置き換えるもののように見受けられます。

試しに落としてみると、モデルは自分でゲットしてくる必要があるもよう。

安全性に懸念あり

何らかの権利を侵害するものかというと、モデル置き場(Weights.gg)の文化がいまいち把握しきれず、モデル置き場サイトの自治状態(とユーザーの遵法意識)次第という気がします。画像生成AIのモデルデータで起きた騒動(現在進行系?)を彷彿とさせます。

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とはいってもSession LoopsとWeights.ggの関係は不明で、許諾なきモデルを使用しうることに関してVocalNetが責を問われるべきかというと微妙だと思います。

それとは少し別件となりますが、個人的には以下のほうが不安感が強い。
ソフトの動作のためにはSLinkなるソフトが必要で、これはSongNetと同時に半自動的にインストールされるものであり、

  • インストーラーをゲットしてカスタムインストールする際にユーザーが主体的に目にしない限り事前にそれを知り得ない点
  • SLink自体が何をするもので、それがどこかと何かを通信しているのか、わからない点
    • SLink自体が常時起動しているのではなく、SLinkは何かをした(ポートを開けてる?)あと終了し、バックグラウンドで何かが動いてるような動作をする
  • VocalNetで使用するモデルに関して入手方法(既述)が、インストール後に明かされる点

と、個人的に賛同しかねる流れになっており、業界のこの辺りの倫理について自分は専門じゃないので、個人として現状、「利用を勧めない」としか言えません
自宅のPCのセキュリティソフトは特に反応していませんが、だからといって安全とも言い切れないもの。だからこそ理想としてはデベロッパー自身が前もって「最低限このラインまでは責任持ち、このラインから先は自己責任で」と初っ端に明示してほしいとこなんですよね。
なおEULA, Terms, Privacy Policyは末尾の日付のみを確認する限り、3年前から内容の変更なし。

ちなみにモデルをDLしたあと変換を試してみましたが、99%のところで止まってしまい延々と待つような状態。これじゃ置き換え精度も確認できないのでアンインストール、あと残滓ごと削除することにしました。