Roland Cloud “Tone Explorer”
1年ほど前に、Rolandの50年の音源制作の歴史をまとめ、Roland Cloud内のシンセ類をひとまとめに扱える母艦のようなGalaxiasが登場していました。Roland CloudのUltimateメンバーシップを登録していれば(米国内のみ?)使用できるという触れ込みでした。
新しく紹介されたTone ExplorerはGalaxias InstrumentsおよびZenologyを必要として動作するようで、ざっくりと説明を見たところ、フレーズに対して音色を提案してくれるAIベースの機能と見られます。
以前リリースされたReveal SoundのSpireの音色作成AIを連想させますが、細かい相違についてはまだちょっとわからんですね。
Reveal Sound “Spire” 1.5.17 – AIによるプリセット生成機能…だが
衆知の通り、RolandはUMGとともにAIに関するスタンス(マニフェスト)として、あくまで人間の創造活動を支援すると表明してますんで、本機能に関してもそれを逸脱するものではないと言えるでしょう。
RolandとUMGのAIマニフェスト
現在、さまざまな形でAIに対する警戒が強まっていますが、Synthtopiaのコメ欄に見られる「学習材料がヘボけりゃ意味がない」というのは、そういった中じゃかなりマトモなレスポンスだと思います。
Roland Intros AI-Powered ‘Tone Explorer’ Technology
とはいえ、機能の精度を上げるのは素材云々だけでなくAIのチューニングによる面も大きいわけで。ツボさえ押さえたものが揃っていれば、そこまでハイクオリティな学習素材ばかり用意しなくてもいいと思ってます。
あと、マニフェストでああ謳っているのであれば、マトモな会社であれば著作権的にマズいことはしませんし、音色の提案ごときを蟻の穴と見なしてAIによる侵食を心配する必要も現状はないでしょう。AIによる提案を蹴るのも採用するのも判断するのはユーザーで、決定権はユーザーにあります。
制作における面倒事をなるべくAIにアウトソーシングしようというのが現状、音楽ソフト界隈における標準的な考え方ですが、そのぶん「えっ!」と思うことも生まれにくいとされてきましたが、ぼちぼちその考え方を改める時期に来てるだろうことも想像できます。ただ、Tone Explorerがそこまでのものになるかは、現段階でハッキリしていません。