Rhizomatic “Synestia” – トランス作家必携アイテム

Rhizomatic “Synestia”

Absynthの開発者、Brian Clevingerによる新会社 Rhizomatic Softwareから、Plasmonicに続く新しいプラグインエフェクトSynestiaがリリースされています。
一般に、社名に信念が現れるものでRhizomeというのは地下茎という意味。もう少し哲学寄りな解釈を交えるとアイディアが派生していくような意味でしょうか。

情報

  • Windows, macOS対応
  • VST3, AU, AAX
  • 定価$119、イントロ価格$79

機能、操作性

デモ版をダウンロードしました。

Rhizomatic "Synestia"
Rhizomatic “Synestia”

見るからにAbsynthのデザインの流れを継いでますね。

ここ数ヶ月ほど、SoftubeのEchoes(うちでは取り上げませんでしたが)をはじめエコーマシン、レゾネーターが幾つかリリースされてきてますが、Synestiaは、出音としちゃこれらと一線を画しています。ベクトルが少し異なってるせいもあるんでしょうけど。
起動直後にエレピ音色を適当に弾いただけなのに、デフォルトプログラムで処理されたサウンドの魅力たるや…。サウンドの奥行き、広がりと、機能の奥行き、広がりが瞬時に把握できます。

基本的には、入力信号をトリガーとした、フィードバック多めなショートディレイと、それをマルチセグメントEGやLFO等のモジュレータで音量を変化させるもの。そういう認識でいいでしょう。
FMやモジュラーシンセのように各モジュールの入出力を結線し、マルチFXとして自分好みのエフェクトバスを作れる(インターフェース中央左側)ため、自由度がかなり高い。

とはいいつつ、レゾネーターと音程(周波数)とが直結した存在である限り、それが束縛となって、思ったよりバリエーションを出しにくいのも事実。
でも言い換えれば、デベロッパー名義では推しにくい出音のプリセットでも、ユーザーなら束縛もなく自由に組み立てられるってことでもあります。つまりユーザープリセットを作ってシェアできるゆとりが随分大きい。

さて、真っ先に用途として思い浮かぶのがサイケトランス。
アトモスフェリックな要素(パッドやドローン)としてもナイスなサウンドを聞かせてくれそうですし、もし上手くコントロールでき、レイテンシーが完全にゼロであるなら、ある種伝統的手法であるスーパーショートディレイのディレイタイムをステップ調で変化させるあの感じのサウンドが容易に作れることになります。
エフェクトなので環境によっては取り回しが面倒である一方(サイドチェーンは搭載されている)、エフェクトだからこそ長大な抽象サンプルをロード待ちする時間は不要になります。
またインターポレーションの惰性がないならば、一音ずつバウンスインプレイスするやり方も不要になります。もう少し早く登場していてくれれば…。