SoundBytes で Reverb 特集

SoundBytes 誌で Reverb Roundup とする特集が組まれています。

ただの特集だってんならここでわざわざ取り上げないんですが、チョイスがなかなかです。

❏ Part 1

  • Eventide SP2016
  • Acon Digital Verberate
  • Surreal Machines Diffuse
  • Toneboosters Reverb 4
  • Tone2 UltraSpace
  • Audiority XenoVerb
  • UVI SparkVerb
  • Overloud SpringAge
  • Bonus Free Reverb PSP PianoVerb

❏ Part 2

  • Rob Papen RP-Verb 2Relab Development LX480 Complete
  • 2CAudio Aether
  • DDMF Envelope
  • RealtimeOnly Reverbical
  • Audiority Polaris
  • Audio Damage Eos2
  • Rob Papen RP-Verb 2
  • u-he Twangström
  • PSP 2445 EMT
  • Bonus Free Reverb: Voxengo OldSkoolVerb

これらはいわゆるアルゴリズミックリバーブ(計算リバーブ)で、基本、空間のサイズや形状、材質などをパラメーターとすることによりそこでの響きを再現するものですが、雑な言い方をすれば、突拍子もないパラメーターや値を設定することで実在する空間では得がたい特殊な残響を得られる代物ってことになります。

SoundBytes 誌では、各ソフトのインターフェイスからパラメーターのバリエーション、動作時の負荷、向き/不向きなどの点でレビューをしていて、英語なのでしんどい人もいるかと思いますが、けっこう読み応えがあります。
Sound Exampleが各1例しか挙がってないので拙速な判断は避けたいとこ。
Part 1, Part 2としてそれぞれ締めの一言二言が記されていていずれも、向き不向きをいかに活用していくかが醍醐味であるっちゅう感じでまとめてますね。無難な締めのようでいて、実際、核心はそこ。

SP2016に漂うスタジオ感も面白いし、Xenoverbの紡ぎ出すヨーロピアンレトロの電子音楽みたいな残響も面白いし、RP-Verb2のしっかり聞こえつつも出過ぎない感じも頼もしい。
リバーブをかける目的にも、とにかく広がりや奥行きを与えて据わりをよくしたいとか、異質な要素を馴染ませたいとか、単なる遊び/イタズラ用途とか、モノラル音源をステレオとして聞かせたいとか色々あるでしょうが、個人的にはどんなに響きが美しくても埋もれやすいもの(単に埋もれるってんじゃなく、サブリミナルな効果すら得られないもの)はNGと考えてます。
ソフトの値段やメーカーの知名度、技術レベルよりも、仕組みOR自分自身の腕の面で、自分の意図を忠実に表せるか、ですよね。リバーブをおまじないとして使うなんてもったいない! 自戒を込めて。
必ず、リバーブをかけたいパートだけじゃなく、他のパートも交えた状態で効果を確認するべきと考えられるので、もし埋もれるようなリバーブであったなら調整または部品交換が必要。隠し味として使いたいのに出しゃばるようなリバーブももちろんダメ。
ですんで、万能ってのはなかなか無いのです。

余談ですけど、こういった音のクオリティを指す言葉で”Lush”ってありますね。シンセの音色名でLush Stringsなどあったり。
これ、なかなか訳しにくい言葉で、葉や草がわさわさ茂ってるところから連想して、細かい粒や断片が密集したような状態を示します。
密集度が高くて粒同士が繋がり合い、あたかも良質の生地のように聞こえるSilkyよりも、もう少し一つ一つの粒が見えてそれが適度に散らばってムラを形成してる状態を想像するとわかりやすいかもしれません。