Reveal Sound “Spire 1.1”

Spire とは

EDM系、特に(今の) Progressive House 寄りの方々がよく使う印象のある Spire を今さらながら導入してみた。
以前一度だけDemoを使用したことがあって、その時は特に印象なしだったのだが、ちょうど今お仕事で作ろうとしてるジャンルには導入したほうがいいかもなってことで、改めてじっくりと(とはいえ導入して3日くらい別件で忙しくて触ってなかった)。

シンセにこだわりのある人向け

一通りパラメーターをいじってみての感想としては、シンセの音作りにこだわる人のためのパラメーターをよくこれだけきっちり備えたもんだという印象。

Logic Pro X : 置換される Garageband Instruments

Phase SyncのOn/Offはもちろんのこと、Poly/MonoでのGlideモードのこの挙動を待望していた人も多そうだし、Waveform表示の正しさ、FilterのSerial/Parallelの操作しやすさ、Unison発音時の(ステレオ感を含めた)細かい設定、内蔵エフェクターの過不足ないパラメーターとバリエーションなど。
色んなソフトシンセ触ってきたが、大体このうちのどれかが欠けていたりわかりにくかった。
DAWからオートメーションもさせやすく、Good。

惜しいかな、オシレーターのWaveform選択やフィルターの種類選択、内蔵のエフェクターのMode選択などは縦にズラッと長いプルダウンになっていて一覧性が低い。
プリセット音色だけ使う人は平気だろうけど、一から音色を作りたい人にとっては、必要なものにアクセスするための操作が増えてストレスになる。
一覧性の低いプルダウンにアイディアを反映させているのはたとえばMassiveのWavetable選択画面など。これは横方向にもリストを拡張させていてリーチしやすくなっている(なのでSkitchみたいにプルダウンメニューをスナップショット取れるソフトに向いてないのだけど)。波形が1個見切れているって記事を書いたときのスクショをそのまま転載しておく。

https://www.makou.com/hidden-waveform-in-massive/

Hidden Waveform in Massive

Hidden Waveform in Massive

StepperはMassiveでいうところのPerformer、AlchemyでいうところのMSEG(Multi Segment Envelope Generator)、UVI FalconでいうMulti Envelopeに比べると、非常に素早くエディットしやすい仕組みになっている。
16セグメントを2段に分けて表示してるのもなかなかクレバー。この工夫をプルダウンメニューのほうにも活かしてくれるといいのだが…。

サウンド

出音のクオリティ面で称えるべきは、サンプリング周波数の高い再生環境で鳴らしてもきっちり高い帯域が生成されること(ただしWavetableのサンプリング周波数は44.1kHzくらいか)。
トレードオフとして、高負荷の懸念があったり、他ソフトシンセとクオリティ的に共存させにくくなる懸念もあるが、ここ一番ってときに使うことで有効に活かせると考えればこれほど都合のいいものはないともいえる。

フィルターは奇抜さこそないものの汎用度の高いものが揃っていて、scorpioモードは揺れた効果と質感が独特で使いでがある。

内蔵エフェクターはShaper, Phaser, Chorus, Delay, Reverbと固定(on/offは可)で、種類としては多からず少なからずだけど、操作パラメーターが実用的でスマート。
ShaperのDriveはディストーションではないが、サウンドを引き締めるのに便利。
Reverbもちょうどいい粒度。プリディレイにテンポシンクが付いてるのも初めて見た。
いずれもあまりに都合がよくて、DAW側のエフェクトなんか使ってられるか!って気分になるのだけど、僕の仕事みたいにstem(multitrack)の形式で曲を納品しなきゃいけなくなったときに、はてさてどうしたもんかと思ってしまう。
Serumみたいにエフェクター部分だけリリースしてもらえたら有り難い。

今のところは褒め称えるばかりのレビュー内容になってしまったが、しばらく使ってると不満点がもっとゴロゴロ出てくるかもしれない。


追記:しばらく使ってみた上での感想。

サウンドクオリティが高くて申し分ないのだが、前に出過ぎて困るとも言える。
良くも悪くも、隠し味という手法があまり要らないEDMには向きか(これがEDMに対する悪口ではないことは、ふだんこのサイトをご覧くださってる方々は承知のことと思うが)

各パラメーターのほとんどが1000までの数値で制御されるため、dBとかHzに慣れている人にはモヤッとしそう。
数値すら表示されないMassiveと合わせて感性重視系とまとめていいかもしれない(Logicだとプラグイン画面のパラメーターをControlに切り替えたり、他DAWでもオートメーションの制御点の数値を確認すればある程度は把握できる)。
またMassiveやAlchemy、Serum等でノブに示されるのと比べるとパッチングの仕組みは視認性が低い。

Filterが各オシレーターで共用されているのも少し残念。

プラックサウンドは凄まじく作りやすく、プリセットも充実しているため、プラックサウンドを鳴らすためだけに導入してもよさそう。
それくらいX-Comp機能は強烈で、SerumのMulti Compや同メーカーのOTTも同様の機能だが輪をかけて凄い。

決定的に僕自身がSpireに対して「この用途でSpireを選ぶことはない」と考えるのは、シンプルなサウンド、たとえばサイン波や三角波などを使いたいとき。
シンプルなサウンドをSpireの機能をくぐらせて鳴らす期待値は非常に高いのだが、既述のようにWavetable内の波形はいくぶん粒が粗く、EDMのベースのような引き締まった音に仕立てにくい印象がある。

操作性 ★★★★☆
レスポンス ★★★★★
音質 ★★★★☆

Reveal Sound “Spire 1.1”” に対して1件のコメントがあります。

  1. sappho192 より:

    確かに私の周辺にあるTranceあるいはProgressive Houseの作曲家たちは、以前まではSylenth1を使うのが大勢だったが、今ではSpireを書くことが大勢ですね。1.0に比べてインターフェースが微妙に改善されたようですね。良いレビューありがとうございます。

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