【採譜】Pedrito Martinez Group – La Havana

Pedrito Martinez Group の2012年のライブ映像の1曲目。休憩中にざっくりと構成を取りました。
倍速フィルとか、そういうのを分析してみようと思ったのがきっかけですが、思いのほか、演奏中のコミュニケーションの面で特筆すべき点が多かったので記しておきます。

ラテンなので倍速の譜面で拾ってます。

いちばん興味深いのが、映像だと6:50辺り、譜面だと2枚目のCho直前(Chorusは日本でいうところの「サビ」)、途中から聞くと拍頭が全くわからんと思うので…いっそド頭から聞いたほうがいいと思いますが、どうもピアノソロ後半で3連4つ割り(後述します)から明けた辺りでピアニストが拍を見失った(正確には拍のオモテとウラをひっくり返しちゃった)っぽいんですね。Timbaのいちばんスリリングな部分が露わになった瞬間です。とはいってもほとんどの人はわからないと思います。よーく見ると、カウベルの人の足のリズムの取り方とピアニストのそれとが微妙にズレて少し困惑してる気配がありますし、ピアノソロ終わりのガヤ(何て言うのかわかんないので勝手にそう命名してる;譜面に書き損ねた)中にコンガとカウベルが顔を見合わせて笑ってたり、ピアニストが少しキョロキョロしてたり、Cho直前のキメで拍頭を取り返してからピアニストも苦笑いしてますんで、十中八九やらかしちゃったと見ていいでしょう。
大事なのは、ただでさえややこしい曲なのに”取り返してる”ってトコ。こういうトラブルを「バッカでぇ〜」と笑ってたり、そこからのリカバリーをただ「おー、すごい」とだけ見てたら大事なヒントを見過ごしちゃいますよね。取り返すために演奏中にどうやって意思疎通しているか巻き戻して見てみるのが賢明でしょう。大きいキメを目印としてアレンジに加えておいて、こういった万が一の自体に備えるのももちろん大事。備えはもちろん大事ですけど、一方で、安全装置を増やせば増やすほど曲の面白みもなくなるというのも事実。なので、演奏中に目配せや演奏内容でもってコミュニケーションを取ってるってことになるわけですが、そうした彼らに出来て自分(たち)にはまだ充分できない(かもしれない)ものを実例から感じ取るのが妥当かと思います。

演奏中のコミュニケーションってとこでいうと、譜面にも記してますが、大きな展開の前に目立ったフィルが入っていて、なおかつ”きっかけ出し”をカウベルかコンガかいずれかが出してるのがわかります。途中でボンゴからカウベルに持ち替えてるのはスタイルって面もありますが、ヌケのいい音だから合図に’もって来い’って理由もありそうですね。

冒頭に記した倍速フィルはこの曲にはありませんでしたが、その代わりというか、ピアノソロの譜割りにはラテンらしく面白いものがちょいちょい見付けられます。3つ割りが何度か登場してますがこれは言わば初級で、1ページ目最下部に登場するような3連の7つ割り、それも前の小節へ1個分先取りした7つ割りはなかなかキテますし、2ページ目の上のほうには24分音符(というのがいちばん伝わりやすいと思うのでそう書きますが)1個分モタらせた3連の4つ割りが登場しています。後者は私もたまにやる…というほど近年はラテンものを一緒に出来る人がいないんですけども、それはさておき、24分1個分モタらせた2拍3連だと3連中の3個目の音がちょうど8分ウラのタイミングに来るわけで、次のフレーズにつなげやすくなるメリットがあります。“譜面に書くにはあまりにも難しい譜割りだけど、有用な譜割り”が存在する一例と言えるでしょう(そういうのがそこそこ数多く世の中にあると思うんで、シンプル・イズ・ベストって言葉を妄信しないようにしています)。

あと、もう1点。これはわざわざ書くことでもないんですが、自分が弾く楽器でないものに目を向けると、色んな発見があったりするので結構面白いです。

スタジオ版はこちら↓。