Orange Tree Samples “Rosewood Grand 2.0” – 変幻自在なピアノサウンド

Orange Tree Samples “Rosewood Grand”

各種ギターの秀逸なサンプルライブラリーで知られるOrange Tree Samplesから、グランドピアノのライブラリーがリリースされています。

情報

  • Kontakt Player 6.7.0+対応、NKS対応
  • 55.4 GB(NCW圧縮により23.3 GB)
  • 定価$149、イントロ価格$99

まずは、長大な動画を飛ばし飛ばしでもいいので、ピアノサウンドのバリエーションを確かめてみてください。
最高級の、または希少なピアノをサンプリングしたライブラリーは数多く、あるいはPianoteqのように奇跡的な物理モデリングを行えるものも多いのですが、シンプルな構造でここまでバリエーションを持てるライブラリーは初めてかなと思います。

ヤマハC7をキャプチャしたTuned、チューニングを微調整してウネりを出したと思われるBloom、フェルトをフィーチャーした暖かいサウンドのFelt(RoomとUnderneath; 後者は先日取り上げたMax Richterのライブラリーでも使われたコンセプト)、従来のものながら新技術を盛り込んだClassicの4つのサンプルセットを収録。
動画で確認できるように、即戦力的プリセット(snapshot)も多数収録されています。
55.4GB程度で済むの?と思ったら、NIのThe Maverickで5GB、KeyscapeのLA Custom C7で15GBってことなので、むしろエグいサイズ。実際に弾いた感触と突き合わせてみないとわかりませんが、破格なコスパといえます。

ピアノ音源、ピアノライブラリーの際に私が必ずチェックする共鳴についてですが、マニュアル内の解説を見ると、打鍵による音を鳴らすことなく、サスティンペダルを踏んで弾いた際の共鳴のみを独自技術によって抽出することで、ペダリング時のリニアな効果をも可能にしているとのこと。

インターフェース左側に最大3チャンネル分のマイクシグナルを読み込み、右側のTriangular Blend Pad(三角ブレンドパッド)でバランスを整える仕組み。つまり演奏中にバランスを操作できる(可能性がある)ということですね。

ビブラートとストラミングが個人的には今イチと感じてきたOrange Tree Samples製品ですが、ピアノに関してはそれらを気にする必要がありません。
奇しくもと言っては失礼かもしれませんが、会心の作と評価して差し支えないんじゃないでしょうか。