Nord “Nord Electro 5D SW”

手に入れたいなとあたふたしていた Nord Electro 5D SW が東京の楽器店から届きました。
年末の繁忙期に東奔西走してくださったお店の方に感謝。
ケースがまだ入手できないので当分は初代のNord Electro(以下’NE’)に使ってたやつを使い回す予定。

何せ初代以降、Nordの音が格別に向上した印象もなく、買い換え意欲はさほどありませんでした。
安価なフル鍵が欲しいってことでSV-1を入手したり、曲作り用にPCMの軽めの音が欲しいってことでFA06を入手したり、保守的な音ばかりライブで使いたくないってことでMininovaを入手したり、と地味なクロニクルはあるにはあります。

演奏もするし曲作りもするって人にとって都合のいい代物はなかなか無く、作曲用と演奏用と別々に持つのが結局は最適なんだろうと。
完全に曲作り用途であればワークステーション型を選ぶのも手なんでしょうが、どうも僕は食指が動きません。

長年鍵盤抜きで打ち込み仕事をしてきたので実は鍵盤が無くともそんなに困らないんですね。
にも関わらず今さら欲しいなと思ったのは、Logic Pro Xになってピアノロールが見づらくなった上、たまにC3だのC4だののキーラベルが表示されなくなって一層わかりづらくなったり、スクリーンキーボード使用中にうっかりRキーを叩いて録音スタートしてしまったり(そのくせ⌘+Sでの保存は利かない)とストレスが溜まったせいかもしれません。
あと波形レベルでの音作りにこだわり始めてスクリーンキーボードの効率の悪さを実感してしまったせいか。
初代NEはUSBこそ付いているものの、MIDIキーボードとしては機能しない(はず)というのも理由の一つです。

さて、以下、感想。

初代以降は片手で数える程度しか触ったことも見たこともないので、それを振り返ったり公式のサイトを見ての比較となります。

鍵盤とタッチ、その他部品

まず鍵盤数73は変わらないのだがNE5DからはSW(セミウェイテッド)の鍵盤でも最低キーと最高キー両方がFからEに変更となってました。
わりとEキーの曲を演奏する機会が多い自分にとってこれは助かります。

セミウェイテッドの鍵盤の形状とタッチがよく、オルガンのグリッサンドがメチャメチャやりやすい。
Roland FA-06の妙なタッチセンスで身についてしまった手の癖もこれで直りそう。
かなり前に勇み足で購入したハーフムーン・スイッチを今回やっと取り付けて、まあまあいい感じです。
Nord Electroのケースは昔からけっこうみっちりしたサイズで、ハーフムーン・スイッチを取り付けたままの出し入れは窮屈。ノブの部分があまりしっかりしていないので、何度か出し入れするうちにもげます。注意。

NE4D以降からのドローバーはぬるっとした動きこそないものの、ボタン操作でのイライラを完全に払拭していると思います。

オルガンモデルやエフェクターのバリエーション追加などの影響で、おそらくNE3以降では、まるで2進数のようなLEDの点灯方式を採用しているようです。
つまり上の写真の左上部のように5つの選択肢があるときに、ランプが上2つ点灯しているときにはVXというモデルの選択状態を示します。
長年使っている人には慣れっこかもしれないが、自分には少々抵抗がありました。

NE5Dで搭載されたディスプレイはスタイルこそやや前時代的で、かつライブ・プログラム選択時の表示内容にも疑問があるが、ディスプレイ自体の有ると無しは大違い。
これまでのものと比べて大きめな画面のディスプレイを搭載したことによってLIST VIEW/EXITというボタンも追加になっているけれども、あまり正直言ってあまり便利ではないので出番がなさそう。

セットリストの管理については後述します。

音色

音色は既に記したように初代からやはり格段によくなっている感じはないのだけれど、バンドの中で他のキーボードと併用した場合にせよ、DAWでレコーディングした場合にせよ、異常にヌケて聞こえますので、PAやレコーディングエンジニアに余計な心配をかけずに済んでよさそう。
少なくとも初代は音ヌケが良くなくて、ピアノはチャリチャリとした腰の据わらぬ音でしたから。
ピアノとオルガンの音量差はまだ若干目立ちますね。ボリュームペダルが原則オルガン専用なのでライブでの仕様時にはあらかじめきっちり仕込んでおく必要があります。

シンセは膨大な量登録されていて呼び出せばすぐ使えるのですが、アタックとリリースという気休め程度のEGしか備わっていないので派手なレイヤーは作成できません。EQこそ使えるものの、フィルターはベロシティ連動のみ。
メモリサイズはおそらく増えているのだろうけど、そのぶん、やり繰りを考えるのはしんどいかなと思いました。

オルガン音色

以前よりもだいぶ良くなりました。
が、レズリーも筐体が響くような感じではなく、僕の好みとは違いました。
ちょっと音源が近過ぎて聞こえるので、充分に雰囲気を感じつつ弾きたい人は別途シミュレーターを通したほうがいいかもしれません。

セットリスト管理

セットリストの管理はどうもNE5D単体では行えなさそう。
ノートPCとUSBケーブルを常時持ち運ぶことになるのかなあ。

結論

率直に言って、Nord製品に限れば、NE5Dを買うならもう少し頑張ってStage買ったほうがいいです。
Stageと比べると軽量で鍵盤数が少ない一方、シンセサイザーとしての機能やモジュレーション等操作子が省略されているのがElectroのラインですが、5代目にして性能が高まってきた、それだからこそ、省略された操作性に対して僕らが不満を感じやすくなってきているんでしょう。
早い話、「これだけの音が出るのにモジュレーションホイール無しかい」といっそう感じやすくなってしまっていると思います。

過渡期であるというよりも、ニーズを読み違えてるかもしれませんね。