Logic純正プラグインのみでマスター出力してみる

Adaptive Limiterで音圧を上げられないといった検索語句で訪れてくださる方がけっこう多いのですが、(自分なりの)結論から言うと、MIDIインストゥルメントやオーディオトラック、あるいはRewire同期したもの、サードパーティプラグインが混在した楽曲で、純正プラグインだけをマスタートラックに挿して一度にマスター出力するのは厳しいなあと思っています。
レイテンシーの問題もありますし、正確を期すためのオフラインバウンスにプラグインが対応していない可能性とか、要するに現実的じゃないよね、ってとこです。

そこで、こういう方法を試してみました。
公開前の曲を実験台に使っちゃったので、音を示せなくてあかんのですが。

帯域ごとにCompressor挿してみるテスト
帯域ごとにCompressor挿してみるテスト

同一トラックを4つのオーディオトラックに貼り付けて、それぞれ200Hz以下、200〜1000Hz、1000Hz〜6400Hz、6400Hz以上で鳴るようにEQを設定しました(この周波数の値は曲によるし、4つじゃなく、3つに分けようが5つに分けようが、有効な状態を見つけるとよろしいかと)。要するにアイソレーションというかマルチコンプというか。LogicにもMultipressorがありますが、帯域ごとの加工がもう少し自由になるように人力で分けたということになります。各バンドのQレンジは24.0dB/Oct。おかしな音になるかと思ったら何の問題もありませんでした。

コンプを差し、元の曲が打ち込み+アコースティック両用の強めの曲だったので、Studio FETで(やや歪みっぽくなりますが勢い重視で)Output DistortionをSoftに設定。中低域のみ、低域からのサイドチェーンをやや拾う感じで設定。
また中域のみDirection Mixerでやや広がりを追加。

マスタートラックにはAudio UnitsのGraphic EQを差して16kHzのみ1dBブースト(おまじない)。次にAudio UnitsのHi Passを差して10Hz以下をカット(おまじない)。Multipressorを差してバランスを微調整、Adaptive Limiterを差して(ISPはOn)叩きつつ0.5dBの余白を追加する設定にしてみました。

結果としては、少なくともMultipressorとAdaptive Limiterだけでどうにかしようとするより歪み感も少なく、そこそこ納得できる音になりました。
20分程度でざざっとやっただけなので全体的にコンプで潰した感が出てしまいましたが、時間をかければそこそこいい感じになりそうな印象です。
特にAdaptive Limiterは強めにかけるほど音の元気が無くなりがちなので、低域を活かしたままトラックダウンできるというのはデカいと思います。

余談ですが、オーディオトラックに差すコンプは自分がいるトラックをサイドチェーンソースに選ぶことも可能なので、必要ならば試すのもよいかと。

興味あればお試しください。