サウンドデザイナーが Massive X をどう捉えているか

Native Instrumentsのブログに Massive X のプリセットを作成したサウンドデザイナーたちの取材記事が載っています。
今気づいたけど、編者のPeter KirnってCDMにも書いてる人ですね。

ざっくり意訳(あってるかどうかもよくわからん)。

ついに登場したMassive Xは、与えられた音を鳴らすためだけのものでなく新たな音を生み出す可能性を秘めている。Torsten Fassbender、Alex Cummings(ARC Noise)、Carlo De Gregorio、John Valasis、Richard Devineといった、名だたるサウンドデザイナーが待望のMassive Xをどう捉えたか、そしてどこまで可能性は奥深いのかたずねた。
本記事最後にMassive Xのオーディオデモを載せた。

THE MASSIVE X SOUND

まず数多の機材を誇るサウンドデザイナーの耳にどう届いたか。

ARC: すごいね。くっきりしたデジタルサウンドと、ソフトでは得難い有機的でリッチなサウンドが一つになったモジュラーキットだ。音作りの醍醐味たるスイートスポットがそこかしこにある。

Torsten: 華美で堅実で、デジタルなFMのようでもあり、素朴で温もりのあるアナログでもある。

John: Massiveは伝説級の楽器って観点でいうと、Massive Xがいかに特殊か。いわゆる楽器ってより現代サウンドデザインの新たなプラットフォームと言えるだろう。柔らかなパッドや穏やかなサウンドスケープから重低音やリードシンセ、あまつさえグルーブやメロディに至るまで。一個のツールの守備範囲がとんでもない。

Carlo: 確実に音質の標準が塗り替えられたね。開発年月を見せつけられたよう。Wavetableもオシレーターモードもフィルターもエフェクトも全て、最高品質だ。

WHAT TO EXPECT FROM THE SOUND LIBRARY

Massive Xのプリセットデザインにおいては、Native Instruments社内のサウンド・デザイナーといわゆるサウンドデザインオールスター(Richard Devine含む)とが連携した。テーマは、聞いたことない音を作れ。

Carlo: シンセ分野、それと自分たちのお好みで、ってことで自由ではあった。ダウンテンポの音楽を聞いてみたりして、ポリフォニック音色をまず作ったよ。プラック音色とか鍵盤系とか。

ARC: けっこう幅広く作ったと思うけど、チャンキーなサブベースや…ポリフォニック音色は僕もけっこう作ったな。

John: ありったけの機能を使って自動演奏的なサウンドを作る主義でね。プリセットを通して音楽性を一貫させるのに徹底して作り込んだ。僕のプリセットでは、Performer機能を大々的に活用して面白いグルーヴやメロディーが鳴るようにしてる。他にサウンドスケープやSFX…その幾つかは繰り返しもなくひたすら変化し続ける音だよ。膨大なモジュレーター数とパッチング可能性との賜物だね。

Torsten: 実用的なサウンドを作ることにしたよ。これもMassie Xの売りだよってね。イカれたマクロルーティングによって、真っ当な音、扱いやすい音からどうかしちゃった音まで簡単に変貌する、そういうのが便利なシチュエーションだってあるだろう。とにかく全ての機能を盛り込もうとしたよ。ややこしいだけがMassive Xじゃない。

FEATURES FOR SOUND CREATION

Massive Xは深すぎて使い切れないのではと心配される方のために、サウンドデザインチームに、彼ら自身が面白いと感じた部分や、Massive Xを特別たらしめている部分をたずねた。

オシレーターモード:先行のMassive X Labを引き継いでいるのだが、サウンドデザイナーは揃いも揃ってこの機能に熱狂している。Richard Devineはその有機的なサウンドについて「Phase Modulation、wavetableモードやアルゴリズム(Bend, Mirror, Gorilla等)といった音色をいじる機能は好きだね。フィルターやサンプル・ホールド、リング・モジュレーション、フリケンシー・シフター、ディストーションといったものもある」とコメントした。

トラッカーモジュール改:「改良型トラッカーモジュール(MassiveでのKTR FLT、OSCにあたる)は表現に新たな機会をもたらした。これによって、パラメーターをアサインしなくとも、ベロシティや音程と同じようにMIDI信号をスケール展開できるようになった。ベジェ曲線や、定義済みのグリッドに沿ってクオンタイズするなど微調整が可能で、表現の可能性を一気に拡大するものだ」とCarloは言う。

Massive Xを音楽的たらしめているのは、表現上のパフォーマンスを音に対して展開しやすいという点だ、とCarloは言う。トラッカーモジュレーションはあらゆるパラメーターにアサインでき、ボタンを押す動作抜きでパフォーマンスできるということだ。「たとえばね、右上がりのネガティブ・エクスポネンシャル・カーブ(訳注:下図参照)をベロシティとフィルターカットオフに連結させると、大体がずっとフィルターが閉じた状態で、超強いベロシティになったときだけフィルタを開くことができるでしょ。」

MASSIVE X Lab: Sound design | Native Instruments Blog

フィルター:「僕はBlue MonarkフィルターLOVEだね。力強さがあって、ノブをひねれば望み通りの音になる。コムフィルターも、抽象的で奇っ怪な音にするのに最適で、モジュラーシンセの息吹を感じるよ。」とARCは言う。

エフェクト:「ヨレヨレでdubbyなディレイサウンドを得るのにディレイをモジュレートさせるのが楽しい。リバーブアルゴリズムを変えれば全く違う雰囲気を得られる」とARCは言う。

Carloはオーバーホールしたエフェクトをチェックしてみるよう勧めてきた。コーラスだけで10ものバリエーションがある。

モジュラリティ:「簡単で効率的になるようデザインされたインターフェースが印象的だ。手に余る数のモジュレーターでも、ドラッグドロップするだけでどんなパラメーターにもアサインできるんだ」とJohn。

「新しいルーティングセクションは柔軟で扱いやすい。クリックして他のモジュールに接続するだけだから。設定し直しや出力の追加もお手の物。たとえばこの機能だけでwavetableオシレーターをphase modulateその他にアサインできる。これは前のバージョンじゃできなかったことだ」とRichard。

「何だって連結できるんだから凄い。OSC1はフィルターにOSC2はエフェクターに、ノイズはそのまま出力、とね。僕にとっちゃこれがスペシャルだ。」とTorsten。前のバージョンのモジュラリティの完璧なる進化と言えよう。

エンベロープとLFO:Richardのお気に入りの1つ、エンベロープとLFOセクションのスロット数。「9つのスロット中、8つはモジュレーション・エンベロープやエキサイターエンベロープ、スイッチャーLFO、ランダムLFO(ノイズソースとしても使用可)に差し替え可能(訳注:#1はAmp Envelope固定なので#2以降の8つ)。複数のLFOを合体させて有機的なリズムを構築するのが好きなんだ。LFOって、時間ベースで変化する仕組みだからVCAやフィルター、エフェクトにつなげばあっさり可能になる」。モジュレーションは伝播してゆく。「1個のLFOから別のLFOに、そしてそれがソースとなってまた別のLFOに…と」とRichardは言う。

ノイズ:wavetable段の2つのノイズも見逃すなとTorstenが言う。このノイズテーブルを片っ端から試すよう勧めてくる。

パフォーマー・セクション:サウンドデザイナーの何人かは、音を変化させる新たな手法、パフォーマー・セクションをお気に入りだと言う。「洗練されたシーケンス、パターンでもって音に動きをつけられるのがいいんだ」とJohn。

「これを使ったらマルチパートのシーケンス音色を作れたよ。P1をキックに、P2をハイハットに、P3をベースラインやシンセに、って具合にね」とRichard。

「パフォーマンス・モジュレーションをwavetableスキャニングやノイズのピッチなど他の箇所に連結すれば、あっという間に音色変化のアルゴリズムが実現できる」とRichard。他のLFOにだって連結できるのであり、彼曰く「音色内のどこだって変化させられる」。別々のパフォーマーレーンで別々の拍子にしちゃえばポリリズムだって作れる。

MORE SOUND TRICKS

バナナ?ゴリラ?:「Massive Xはこういうもんなのでね、特別なルーティング・トリックがあったりするよ」。Carloはそう言いながら、BananaウェーブテーブルをGorillaプレイモードにしてベンドパラメーターを動かした(訳注:下図参照)。

ARC: NonLinreaLabのキャビネットシミュの全てのシェイピングを、ランダムLFOで予測不能さを、色んなユニゾンモードで猛烈ユニゾンサウンドや謎ヴォイシングコードを試してみて。

Richard: リモート・オクターブ機能(訳注:下図参照)はパフォーマーのスナップショットをMIDIまたはマウスに連動して12個まで呼び出せる機能で、より長く複雑なパターンを作れる。

MASSIVE X Lab: Sound design | Native Instruments Blog

WHERE MASSIVE X COULD TAKE YOU

Massiveは様々なサウンドデザインに対して開かれたもの(Carloはvaporwaveからcinematic scores、neuro-funkのベースからpsy-tranceのリードシンセまでと指摘)だったが、Massive Xはどうか。

ARC: 前のバージョンのMassiveは中域でうにょうにょ動くベース音で馴染み深いのだけど、実際は何だって出来た。Massive Xは輪をかけて柔軟。アンビエントも映画音楽も網羅できるんじゃないかな。低域がふくよかだし、ありとあらゆる強烈なサブベースサウンドにも使えそう。

Richard: 音作りやコントロールの点で考えて、新たなビーストだと思う。1個のパッチの中でどこまで音色を作り上げ変化させられるかって領域にユーザーを誘うものだ。

前のバージョンのMassiveの1000倍手応えがある。GUIは整って理解しやすくなったんで、気持ちよく自分だけの音を作れるようになったんじゃないかな。

John: クリエイトに領界はないわけでね。新世代のサウンドデザイナーやプロデューサーたちが果たしてどう取り入れていくのか。自分もコンポーザーだから、面白いプリセットサウンドが誰かをインスパイアしてとんでもない曲を作らせることがあるのは知ってる。Massive Xはcinematicな楽器と僕は思っていて、だからもし自分のプリセットサウンドがハリウッドの大ヒット映画に使われるなんてことがあれば最高だ。掘り下げて掘り下げて…僕はみんなが自分なりのサウンドを使ってくれるように働きかけてる。音楽を作る人間誰しもが自分ならではの音を作れるのが大事だと思ってる。

Torsten: 純粋に面白いしMassive Xと関われて喜ばしい。フォースがともにあらんことを(May the force be with us)。

MASSIVE X Lab: Sound design | Native Instruments Blog

で。
デモを使った感想を先日書いて(Massive X 触ってみた – makou’s peephole)、小一時間程度の試用だったわりに思った以上にMassive Xを作った方々の矜持を拾い上げることができたっぽいなと思いました(上の訳に自分のバイアスが混入してないとは言い難いが)。
Wavetable部分のエディット可能性の奥深さをはじめとして、守備範囲の広がり、ノイズのバリエーション、Key Track(KTR)の発展たるリマッピング(Logicの機能にも備わってますけどね)といった部分。
Razorっぽさや、できないことについては触れてません。まあ、あまり自社製品に対してネガティブとも取れる情報を出すことはないので当たり前ですが。
「自分で音色作れよ、おめーらよ」と最後で畳み掛けられるのが老婆心か苦言かと思いきや、たぶん単なる「誘い」でしょう。もっとも、自分は比較的自分で音作っちゃうほうなので特に耳に痛くもないんですが。

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