一時、大流行した Simmons (シモンズ)のシンセドラムサウンド。六角形のフォルムに憧れを持った人も少なくはないかと。
VSTインストゥルメントやサンプルライブラリーで販売されてたりもするんですが、買ってがっかりすることもあります。
単品で収録されてると思ったらフレーズでのみ収録されてるとか、ちょっと再生ピッチを変えただけで質感がおかしくなるとか。
当時の合成メソッドでよりハイファイなサウンドで再現されたものだとベストなんですが、元のサウンドクオリティを超えることは十中八九ありません。
それがいいじゃないかという人もいるのだけど、いまKORGのM1とかRolandのD-50なんかがハイファイな音で再生されたらどんな音になるのかなと僕は日頃思ってます。ほぼ無理だけど。
じゃ、いっそ自分で似た感じの音作っちゃえと。
ザップノイズ
Simmonsのタムの音を何度か聞くとわかるんですが、ノイズ部分とシンプルな下降音と2つの成分に分かれるんで、ノイズ部分から再現していきます。
特徴的なのはアタック部分のガッという大音量で短いザップ音。

VAのNoiseのみONにして、振り切れた感を出すためにオシレーターのFILTERをフルテンのTubeにしました。
デフォだとステレオで発音されちゃうので、オシレーター名の右側、[S]ボタンの隣の◯◯をクリックして◯にしておきます。
Low Cutをちょっとだけ上げました。
初めはEG(AHDSR)を0.03sのHoldだけに設定していたんですが、今ひとつだったので結局0.06sの減衰音にしてます。
ディケイノイズ
MSEGを使ってザップノイズとまとめちゃってもいいんでしょうけど、MSEGは制御性が低いのでザップノイズとは分離して別のオシレーターで作ります。
EG(AHDSR)をもう1個新しく追加して、ディケイもリリースも同じ0.8sに設定したものをNOISEのVolに結線しました。
ドラムなど本来デュレーション(音符の長さ)と関係の薄い楽器をシンセで作る場合、特別な意図がない限りサスティンは0でディケイとリリースは同じ値に設定するのが理想です。そうしないと、打ち込んだ際のノートデュレーション次第で音の形が変わってしまうから。
特別な意図とはスウェル奏法、ブラシ奏法、トレモロ奏法など連打や持続音を模する奏法。
一方ディスコサウンドやEDM等におけるキックのようにノートデュレーションでグルーブをコントロールしたい人のためにGATE機能をあえて使う場合もあります。
下降音
かこうおん。三国志演義の武将(夏侯恩)ではなく。何言ってんの、俺。
ノイズと違って音程感のある成分は、サイン波に近いけど少しそれより音が太く、時間経過とともに細っていく印象があります。
Alchemyで模倣するには幾つかやり方がありそうですが、Symを使うことにします。

スクショのAHDSRの黄色箇所を上下ドラッグすることでカーブの具合を変えられることは既に何度か書いた通りですが、今回もいろいろ試してみた結果デフォルトがベストで、その代りディケイタイムがそれなりに設定されていないと雰囲気が出ないことがわかりました。
エフェクト
要らねえかなとも思いましたが雰囲気付けだけ。
Distortionで少し歪ませて(気持ちとしては低域にエグみを持たせたかったけど、今回はここまで)、Phat Compressorで回路っぽさを出して、薄めのリバーブを載せました。
あと、ポリフォニックでなくモノフォニックにしてます。

簡易で使うならこのくらいがいいとこじゃないかと。
何せ実物を持っていないので本来のSimmons音源がどういった風にパラメーターを持ってるかわかりませんが、
- ノイズ成分と音程成分との音量バランス
- ディケイの長さ
- Symのエンベロープの深さ
- 下降のレンジの広さ
くらいのパラメーターを調整できるようにPerformanceノブにアサインしたら扱いやすくなるんじゃないかと思います。
動画あったけど、よくわかりませんでした。