Logic Pro : InterpolationとThin Out

前の記事でInterpolation(インターポレーション)に触れたことで、Thin Out(シン・アウト)についても触れる必要があるかなと思ったので、これも記しておきます。

ドローによる補間

Logic Pro XでMIDIコントロール・チェンジやピッチベンドをMIDIドロー機能で入力すると、自動的に補間(インターポレーション)されて滑らかな値変化になります。
通常のオートメーションと同様にShift+Controlでカーブを変形できるのでなお便利。

イベントリストやステップエディタでどうなっているのかというと、イベントリストでは制御点のみ、ステップエディタでは値が細かく密集した形で入力されていて、この不整合に微妙にムズムズしますね。

MIDIドローでの入力
MIDIドローでの入力
イベントリストでの表示状態
イベントリストでの表示状態
ステップエディタでの表示状態
ステップエディタでの表示状態

処理の重いソフトウェア音源を使っていると、この「一見補間なのに実際は密集したMIDIメッセージ」を処理しきれず、たとえばピッチベンドの音が上がりきらないORタイミングが遅れるようなことが起きます。

シン・アウトが必要になった

少し古いバージョンのLogic Pro X使用時のシン・アウト

MIDIメッセージを間引いてくれるシン・アウトという機能は、Logic Pro XではMIDIイベントを削除重複したオブジェクトによって行うことができます。

この入力状態が…
この入力状態が…
「重複したオブジェクトの削除」で
「重複したオブジェクトの削除」で
シンアウトされる
シンアウトされる
見づらいようなら、「レーン」欄のペン幅とスタイルを変更するとよい
見づらいようなら、「レーン」欄のペン幅とスタイルを変更するとよい

すると、このように密集した値が間引かれ、ソフトウェア音源側の処理負荷を軽減できます。

この機能はLogic 9から既にあるのだが、Logic Pro Xになって補間がより細かくなり、その影響を受けてソフトウェア音源が情報を処理しきれなくなりやすくなったと考えられる。

10.4.5辺り以降のLogic Pro Xでのシン・アウト
新しめのLogic Pro Xではグリッドを設定してから
新しめのLogic Pro Xではグリッドを設定してから
*イベントリストの*機能メニューの「クオンタイズ」を使う
*イベントリストの*機能メニューの「クオンタイズ」を使う

ステップエディタのレーン・インスペクタのグリッドを適宜設定してからイベントリストの「イベントをクオンタイズ」を使います。ステップエディタの同じメニュー項目はおそらくバグで機能しません(Appleに報告済み)。

おまけ

最大値への引き上げ

MIDIドロー上でポインターツールでは入力済みの値を最大値まで上げられない問題があります。
たとえばモジュレーションを全開にしたいのに126で止まってしまう問題。

LX: MIDI Draw Bug [FIXED] – Logic Pro Helpに記されているように、ポインターツールでなく鉛筆ツールだと最大値まで引き上げられるっぽいのですが、ちょっとコツが要りますね。
イベントリストやステップエディタで補正するのが無難でしょう。

ジャンプの入力

スタッターみたいに瞬時に値を飛ばすのは、リージョンオートメーションを使うのがラクです。

Optionドラッグで近接位置にドラッグコピーできる。
Optionドラッグで近接位置にドラッグコピーできる。
ノートではないMIDIイベントを含む
ノートではないMIDIイベントを含む
クオンタイズをうまく使えば、値のジャンプも設定はできる。
クオンタイズをうまく使えば、値のジャンプも設定はできる。
スナップのオフセットを0にしてもよいが、たぶんかえって手順が煩雑になると思う。
スナップのオフセットを0にしてもよいが、たぶんかえって手順が煩雑になると思う。

かつては先行する制御点を後続の制御点の位置までドラッグすることで、スクショのようにジャンプする値を入力できたのに、現バージョンではできなくなっています。
その代わり、先行する制御点を後続の制御点位置までOption+ドラッグ(つまりコピー)することでジャンプする値にできます。
または一時的にオートメーションスナップをオフにすると値のジャンプを入力しやすくもできます。

ちなみにステップエディタはデフォルトでリージョン内のMIDIノートを表示するのですが、レーンセットを削除を行うことで旧来の表示になります。