Logic Pro : プロジェクトファイルの軽量化

保存したプロジェクトファイルのサイズを見るとギガ超えしていて「まいったなあ」って場合の対処法。すなわちプロジェクトファイルの軽量化。
ポイントとしては、

  1. 新規プロジェクトファイルで、オーディオファイルをプロジェクトに取り込んだ後に保存すると、オーディオファイルのバックアップがプロジェクトファイルのパッケージ内に保存されてしまって見えないまま残存してしまう可能性があるので、なるべくオーディオファイルを取り込む前にプロジェクトファイルを保存する
  2. プロジェクトオーディオウィンドウ(Cubaseでいうプール)にあるファイルを消す場合、編集メニューからの削除だとリストから消えるだけなので、オーディオファイルメニューからファイルを削除することでMacのゴミ箱に移動する
  3. プロジェクト管理整理を用いて、編集履歴やよけいなバックアップを削除して保存することで劇的にサイズが小さくなる。整理コマンドを選んだ直後のファイル削除確認画面はキャンセルしてもOK(プロジェクトファイル自体は充分に軽量化される)
  4. 残骸がどうしても残るときは、少し危険だがパッケージ内容を表示して消す

以下、少しだけ詳しく

テンポラリーのプロジェクトファイル

Logic Pro Xのプロジェクトの保存形式には、パッケージファイル形式とフォルダ形式があります。

  • フォルダ形式は旧バージョンから脈々と受け継がれてきた方式で、プロジェクトで使用したファイルがほぼ全て(後述)見えている
  • パッケージ形式はプロジェクトで使用したファイルがプロジェクトファイル内に収納される

パッケージ形式では、楽曲で使用するオーディオファイルがパッケージ内に収納され、見えなくなります。
現在のLogicはデフォがパッケージ形式で、Logic起動時の「新規プロジェクト」つまりテンポラリーファイルは、「ミュージック」フォルダの「Logic」フォルダに一時的にパッケージ形式で保存されます。
プロジェクト名を決めて保存する際、

  • パッケージ形式で保存する場合オーディオファイルが依然パッケージ内に格納されたままで保存される
  • フォルダ形式に切り替えて保存する場合オーディオファイルはAudio Filesフォルダに移動される…と思いきやAudio Filesに複製される形、つまりフォルダ内のlogicxファイル自体も依然パッケージ状態でその中に同じオーディオファイルが重複して格納される
フォルダ形式での保存状態
フォルダ形式での保存状態
パッケージ形式での保存状態
パッケージ形式での保存状態
パッケージ形式のファイルの内部
パッケージ形式のファイルの内部

フォルダ形式の場合のプロジェクトファイルも実はパッケージ形式なのです。
上のスクショではパッケージ形式のプロジェクトファイルをパッケージの内容を表示して見せたもので、Mediaというフォルダがいるかどうかだけが違い
「整理」が失敗した場合はこうした残骸を手動で除去してやらない限りずっと居座り続けることになります。

簡易保存画面(Vマーク箇所で画面切り替え)におけるパッケージORフォルダの選択、アセット(付属ファイル)の管理状態の選択画面
簡易保存画面(Vマーク箇所で画面切り替え)におけるパッケージORフォルダの選択、アセット(付属ファイル)の管理状態の選択画面
通常の保存画面(Vマーク箇所で画面切り替え)におけるパッケージORフォルダの選択、アセット(付属ファイル)の管理状態の選択画面
通常の保存画面(Vマーク箇所で画面切り替え)におけるパッケージORフォルダの選択、アセット(付属ファイル)の管理状態の選択画面
デフォのアセット管理方法は「プロジェクト設定」で設定しておく
デフォのアセット管理方法は「プロジェクト設定」で設定しておく
あとからアセット管理状態を変更するときは「代替プロジェクト」の「統合」で行う
あとからアセット管理状態を変更するときは「代替プロジェクト」の「統合」で行う

⚠️ Logicのデフォルトのプロジェクトファイルの保存先はミュージックフォルダの中ですが、デフォルトのプロジェクトファイルの保存先を変えた場合、デフォルトの保存形式が必ずパッケージ形式以外に固定されてしまう場合があります。この場合、変更した保存先フォルダのエイリアスをミュージックフォルダに作成すると、以降、フォルダ形式の保存に固定することができます。たぶん、保存先を変更することが想定されていないLogic側のバグと思われます。

⚠️ Logicの機能である代替プロジェクトはプロジェクトファイルのパッケージ内のAlternativesに保管されています。それぞれの番号は、Resourcesフォルダ内のProjectInformation.plist内で代替プロジェクトの名称と紐付けされています。

プロジェクトオーディオでの削除の2パターン

冒頭に書いたとおり、リストから消すだけでプロジェクトファイル内もしくはプロジェクトフォルダ内には残る、編集メニューからの削除と、リストから消した上でFinder上のゴミ箱に移動する、オーディオファイルメニューのファイルを削除の2種類あります。
別に無駄に2つあるわけじゃないので、使い分けに気をつけたいところ。

活用したいのは編集メニューの使用されていない項目を選択。曲に使用していないファイルおよびリージョンが選択されます。
旧バージョンでは、グループ化表示メニューのグループを作成)されたファイルおよびリージョン群の項目選択状態がリセットされないバグ、つまりプロジェクトで使用しているのに選択されたままになっていて、勢いでゴミ箱に捨てて削除してしまうと二度と取り戻せないというのがありましたが、現バージョンでは直っています。

⚠️ 次の項にも関連しますが、Kontaktなどにカスタムでオーディオファイルを使用している場合、プロジェクトオーディオからファイルをなくすと「整理」の対象になります。KontaktであればMonolith形式のファイルで別途保存することで紛失を防ぐことができます。もしくはプロジェクトオーディオからはファイルを消さない、もしくはこうしたサードパーティのソフトに使うファイルをBouncesフォルダに移動しておくなどの手法があります。

履歴削除と整理による軽量化

Logic Pro Xのオーディオデータ編集時のアンドゥ履歴を消去する設定
Logic Pro Xのオーディオデータ編集時のアンドゥ履歴を消去する設定
Logic Pro Xのプロジェクト管理>整理
Logic Pro Xのプロジェクト管理>整理

オーディオ編集の履歴は環境設定オーディオオーディオ・ファイル・エディタで保存ステップ数や消去タイミングについて管理します。
プロジェクト自体のバックアップ履歴は同じく環境設定一般プロジェクト処理で設定、プロジェクト内での編集履歴はメインメニューの編集取り消し履歴で管理します。

超いまさらなことですが、どの曲/プロジェクトであるかに関わらずLogic自体の動作の設定はアプリケーションメニューの環境設定で、製作中の曲/プロジェクトに対してのみの動作の設定はファイルメニューのプロジェクト設定で行います。
たとえば前者であれば使用するオーディオI/Fの設定、後者であればサンプリング周波数をいくつの状態で作業するか。

整理における重大な注意点があります。
整理対象はプロジェクトファイル内もしくはプロジェクトフォルダ内のすべてのファイルなので、もし「現在制作中の曲に必要なデータではあるがプロジェクト内では使っていないもの」がプロジェクトフォルダ内に置かれていると削除対象になる可能性が大きいです。

  • 制作時に参考にした曲のデータ
  • 別所でレコーディングしたときのNGテイク
  • 別のDAWやオーディオ編集ソフトで制作/編集した際の元データ
  • Logicで使用しているサードパーティのインストゥルメントプラグイン用のデータ
  • 同じフォルダに保存している別のLogicプロジェクト内で使用しているデータ

幸い、確認画面が出るのでそこで対象から外せばよいのですが、いちいち確認が面倒ならこのいずれかの方式を取るとよいかと思います。

  • プロジェクトフォルダの上にもう1階層プロジェクト名のフォルダを作ってそこに置いておく
  • バックアップとして置いておけばいいものであるならばアーカイブしておく
  • プロジェクト内に、直接使用していないデータのみをただ貼り付けただけの代替プロジェクト(つまり倉庫プロジェクト)を作っておく
  • 削除対象になりにくいBouncesフォルダに保管しておく(第三者にわかりにくいのであまりオススメしない)

それでも残る残骸は手動で除去

うちの環境で起きたことなのですが、1時間あまりある映像の一部のオーディオのみが必要で、まだテンポラリー状態のプロジェクトに映像を取り込んでオーディオデータを分離させ、その後やっとプロジェクトを保存したとき、プロジェクトファイルが膨大なサイズになりました。
通常は整理で残骸は除去されるのですが、別名で保存してもコピーを保存しても残骸が除去されませんでした。

人力で消すのもあり
人力で消すのもあり
代替バージョンをいったん作る
代替バージョンをいったん作る

この場合の対処は手動で除去するか、それがもし怖ければいったん代替バージョンを作って元のバージョンを消すといいようです。
手動での除去とは具体的に、プロジェクトファイルを右クリックしてパッケージの内容を表示し、Alternativesフォルダの000のUndo Data.nosyncを手動で捨てることを指します。

いずれもプロジェクトファイル自体が辻褄合わなくなって破損するおそれがあるので、念のためバックアップを残しておいたほうがいいでしょう。