LiquidSonics “Lustrous Plates”

つい最近その名前を出したばかりのLiquidSonicsから同社のFusion-IR | Synthesisつまりハイブリッドなアルゴリスム式と思しき Lustrous Plates という、プレートリバーブのプラグインエフェクターが。

Reverberate 3

価格は$199と意外といいお値段で、Slate DigitalのEverything Bundleにはデフォで備わっているとのこと。iLokが必要です。
14日間フルで使えるデモ版は製品ページのずっと下のほうにあり、微妙に変則的ですがお使いのOSを選んでからその下のDownloadという文字をクリックしてゲットします。

LiquidSonicsによるとFusion-IRとは、インパルス・レスポンスにおける粒度に注目した方式らしい。それはアルゴリズムでは?とも思いますが…。

They couldn’t fool anybody that has used the original.

This effect is what happens when one tone-sweeps a reverb; all the modulation is blurred into a single capture with impoverished definition.

概訳:本物の響きを知ってる人にはバレちゃうわけです。(中略)スウィープ信号への反応を思い描くとわかりやすいでしょうか。揺らぎが集合体として1個のデータにまとまっちゃうのですよ。

Convolution Reverbs – Why Fusion-IR technology is difffernt – LiquidSonics

使用感としてはReverberationとEQがパネルで分かれちゃってる点を除けば使いやすい部類のものだと思います。
いわゆるTimeまたはLengthといった残響の長さに関する設定値はありませんが、Time DamperやDispersionがむしろリアリティを保った調整に役立ってくれます。立ち上がりとテイルとの間の違和感っていうと、スプリングリバーブが顕著ですよね。ビョンビョンの響き具合とその減衰速度とのを僕らは意外と直感で判断できてしまいます。Fusion-IRの説明しようとしてるのはその辺りのことじゃないかと。
残響も無理なく散っている感じ…あ、でも敏感な人は残響の中のモジュレーションっぽさを感じ取れちゃうかもしれません。

プレートの素材バリエーションは7つ用意されていて、それぞれ質感の違いがくっきり。

Chrome: A rich, full bodied plate with a classic plate multi-band decay profile

Silver: A light, airy plate with de-emphasised low-mids for enhanced clarity

Steel: Similar in nature to the chrome plate with a reduced low band decay time

Rhodium: Bright and rich, with a very neutral decay profile

Beryllium: A very reflective, lustrous metal inspiring a plate with a bright tone

Corbomite: A very dense and heavy plate

Iridium: Very dense, with a highly emphasised low decay profile

Lustrous Plates reverb plugin AAX, AU, VST – LiquidSonics

実物を測定したとの書きっぷりですが、Corbomiteは架空の物体(コーボマイト – スタートレック Wiki – Memory Alpha日本語版)なので何かの間違いかも。

同じように金属板の素材を選べるものとして、かれこれ2年前、リバーブレーター・ソフトが大流行した際にPHYSICAL AUDIOのPA1を取り上げました。

Dynamic Plate Reverb – Physical Audio
Dynamic Plate Reverb

比較するとLustrous PlatesのほうがModulationをフィーチャーしているだけあって残響が多層に感じます。複数のリバーブ感というか。
プレートリバーブ自体が埋もれにくいリバーブ方式ではあるのですが(ボーカルトラックと相性がいい理由の一つ)、Lustrous Platesだとなお埋もれにくそうで、分厚い曲に飽和を与えない程度の残響を作りたい場面ではベストマッチと思われます。

ソフトウェアのプレートリバーブ特有のデジタル臭さ(損失のなさ)は依然あって、繊細な生音に使うには少々躊躇します。

負荷は、FabfilterのPro-Rほど重くなく(グラフィックエフェクトのブラーの負荷かと)、Logic純正のChromaverbと同じかそれより少し重いくらい。
したがって、ふだん作るジャンルによっては制作用のテンプレ設定に組み込んじゃっていいだろうと思います。