Krotos “Concept”

Reformer ProやIgniterなどで知られるKrotosからSynthesis in Motionと銘打たれたシンセ Concept が登場したってことで、デモ版を落としてちょっと触ってみました。

Krotos "Concept"
Krotos “Concept”
Screenshot of www.pluginboutique.com

Krotos “Concept”(Plugin Boutique)

単純にシンセとしては特に驚くほどのクオリティではないというのが正直な感想で、おそろしく機能を削ぎ落としたPigmentって感じ。
際立って凄い音が鳴るというものではないけれども、プリセットを次々と見ていくと「こういう音もこのくらいの仕組みで出るのか」といった感心は得られます。
in Motionと銘打たれただけあって、見えているパラメーターほぼ全てがモジュレーションに対応するというふうに、ルーティング命。
なので、突飛な発想、複雑な仕組み次第では予想外に面白い音を鳴らせる可能性はあるでしょう。

「単純にシンセとしては」と記したものの、Side ChainでAudio Inputを使用した場合、がぜん面白くなります
Audio Inputで入力されてくる音声の音量またはピッチに追従してフィルターの開閉やLFO速度、エフェクトのMIX度合いを変化できるようになるので、たとえばですが聴衆の盛り上がりに連動して曲に変化を与えるなんていう、通常ならMax4Liveなんかで行うギミックがぼんやり実現できます。

うちのLogic環境では、オーディオトラックに既存のオーディオデータを貼り付けてそれをSide Chainソースとしたり、いったんオーディオトラックに録音してからそれをSide Chainソースとした場合には当然きっちり反応してくれましたが、ライブでSide Chainソースを活かすには旧来のBus経由じゃないとダメでした(そういうもん?)。
ただ、Logicにおけるサイドチェーン対応Audio UnitsインストゥルメントおよびMIDI制御エフェクトの動作には「?」ってとこがいまだに結構あるので、問題の根っこはAudio Units側(Core Audio)か、もしくはOSの問題かも。

Bus経由でなら生でSide Chainソースを活かせた
Bus経由でなら生でSide Chainソースを活かせた
Ableton Liveでの場合
Ableton Liveでの場合

あと、気になる点としては、Ableton LiveではAudio Units版ConceptがSmartelectronixという(久しぶりに聞くなあ)メーカーのフォルダに現れる(StudioOneだときちんとKrotosフォルダに現れる)のと、Macのおそらくグラフィックパワーが膨大に食われる瞬間がたまにあるのと、Logicではデモ動作時間15分を過ぎると現れるダイアログが執拗すぎてLogicのキーボードショートカットを妨害するようになるのと、そんなとこかな。
いずれも、バグであれば今後のマイナーバージョンアップで改善されそうな軽微な点。

Audio Inputを受けてEnvelope Followerライクに動作するシンセは、Logic純正のもの以外でぱっと思いつくのはUnfiltered AudioのLIONくらいで、個人的には精度や可能性の面で考えると、これらと比べると劣って見えるConceptの出番はあまり無いんじゃないかと思いました。