Cwitec “TX16Wx”

Kontaktが6に先日アップデートされた一方で、フリーのサンプラーソフト TX16Wx がバージョン3に到達しKontaktに匹敵と称されるまでになっています。

TX16Wx Software Sampler – sampler plug-in for creative musicians
 TX16Wx Software Sampler – sampler plug-in for creative musicians

Mac, Win、64bitに対応。VST, VST3, AU, AAXに対応。
SFZやEXS、AKP形式のサンプルフォーマットのインポート可能。WAV, AIFFは当然としてOgg, FLAC, Yamaha OSのオーディオファイルの読み込みに対応。
マルチティンバー、マルチアウトプットに対応。
DAWのインターナルバスを通じてサンプラーに直接録音が可能(試してない)。DFDの再生モードに対応、と。

フリーではどうもFXやマトリックス、タイムストレッチ、ラウンドロビン*注再生の機能が利用不可っぽく、99€のPro版を購入することで機能無制限となるようです。

*注 ラウンドロビン:典型例としては、ある音程で鳴らすサンプルを複数用意して取っ替え引っ替え鳴るようにするケース。生楽器っぽさが増す。

» TX16Wx Professional – TX16Wx Software Sampler

TX16Wx Software Sampler
 TX16Wx Software Sampler

さっそくザクザクと試してみたところ(今回が初体験)、インターフェース部分はUVIやHaLion、Kontaktが混ざり合ったような印象。
英語や略語が多くて「使いやすそうではあるけどピンとはこない」というのが第一印象。特にボタンやフェーダーなど、最初に何をしていいのか少し呆然とします。いちおうマウスオーバーでヒントが表示されはします。
もっともUVIもHaLion, Kontaktも、いざ使い込もうってときに”わかりやす”くはないので、初見の人にとってはわかりやすさ的には大差ないと言えそう。

音はすんなり出ますし、Envelopeもいじりやすく、フィルターもオーソドックス。
このEnvelopeが案外面白くて、アタックやディケイ、リリースタイム、グライドタイム、スタートディレイなどを猛烈に長くできます。Kontaktだとたしか値のMaxが20秒程度で、アンビエントものの制作に使おうとすると少し短いなと感じるんですが、TX16Wxの場合は2分近くまで伸ばせます(1.67mって2分だよね?)。
それからEnvelopeもAHDSRでなくADDSRになっていて、ちょっと変わったEnvelopeを作ることもできそう。たとえばシンセブラスのスウェル(一度デクレシェンドしてからクレシェンドするようなスウェル)を作ろうかってときには役立ちそう。

操作上の難点が幾つか。
多機能であるがため画面内が満杯になってしまうのですが、そうすると、試した限りパネル(ラック)が表示された箇所でのマウスでのスワイプによるスクロールに対応していないようで、スクロールバーのとこまでマウスを持っていってスクロールしないといけません。
それから画面左側に表示されるFile Panelではディスク間の移動がやや面倒で、Finderからのドラッグによるディレクトリ移動に非対応、したがってスクショに見えるような /Volumes からディスクをたどっていく必要があります。ノートPCやMacBookをふだん使いするユーザーにとっては、容量のかさむオーディオデータは外付けのデバイスに置くのがおそらく標準と思われるので、ディスク間の移動がしにくい設計はよくないと思います。

TX16Wx Proにしないと使えないオイシイ機能も多いのですが、ざっくりとサンプラーで音を鳴らしたい人にとっては軽量で扱いやすいと思います。
特にMacではフリーのサンプラーソフトが非常に少なかったので助かるんじゃないでしょうか。GUIである面が活かされればもっともっとよくなるような予感がします。

Yamaha TX16W | Vintage Synth Explorer
 Yamaha TX16W | Vintage Synth Explorer

ちなみに80年代に登場したヤマハのサンプラーがTX16Wという名です。