Universal Audio のWebに載った Joe Chiccarelli のインタビューが面白かった

Audio Legend Joe Chiccarelli Shares Production Wisdom and Technique with Universal Audio | Universal Audio
Audio Legend Joe Chiccarelli Shares Production Wisdom and Technique with Universal Audio | Universal Audio

とある仕事がらみで Joe Chiccarelli のキャリアをさらっていたら、Universal Audioのブログに掲載されていたインタビューに突き当たりました。
現在のデザインだと日付が表示されていないようなのですが、10年前にあたる2012年の7月に載ったものらしい。
10年前の記事を新鮮な気持ちで読むのも何だか不思議な感じがしますが、海外作品でプロデューサー兼エンジニアと人が評されるのが何故なのか、よくわかりました。間違っても、そう称すればカッコよく見えるからって薄っぺらな理由ではなく、エンジニアリングするにあたって不可避なことに真っ向から向き合っているからそう称されるわけですね。

Joe Chiccarelliのキャリア自体はWeb上でもあちこちで読むことができ、グラミー賞、ラテングラミー賞を何度も取ったというところまではわかります。ところが、具体的な評が今ひとつ見当たらない。上記の記事に目を通したきっかけはそこで、読んで納得。仕事人としての評価の趣が強いようです。

気難し屋で知られるフランク・ザッパのメインエンジニアをひょんなことから仰せつかり、おそらくそれが音楽の仕上げ方に対する基礎を作ったのでしょう。むろん気難し屋に付き合えば評価が得られるみたいな安直な話ではありません。
記事に記されているように、プリプロの段階から音楽作りの中にまで足を踏み込み、アーティストとああでもないこうでもないとあらゆる手法を試す。ゴリ押すのではなく、お互い納得ずくで緻密に音楽の部品を組み立てていく。ときには下準備をすべて捨て、ときには家から持ってきたものをそのまま使う。
…もちろんこれは彼が特別なのではないし、洋楽だから特殊なのでもないでしょう。国内でもそうした直向き(ひたむき)な姿勢で制作に向き合う方は大勢おられます。

10年も経てば色んな事情も変わってきて、彼や彼らが情熱を傾けてきたやり方が必ずしも全てにおいては通用しなくなってきてると思います。供給ペースの短縮によって、頭を悩ます時間も確保しきれなくなってきてますしね。
UADのソフト類や名機のシミュレーションソフトって結局、昔のような音を作るときにだけ必要なものでしょう? そんな考え方も頻繁に(YouTubeのコメ欄等で)目にします。とはいえ、思った通りに音を組み上げたり、より理想のサウンドに近づけるのには時間がかかるって現実はまったく変わっていない。むしろ、できることが増えたお蔭でいっそう時間がかかるようになってもいるんですよね。