Jamahook : AIによる素材レコメンド

インサートスロットに挿すことによって調性を判断しつつテンポ等の情報を参照することで、(おそらく)Loopmastersで扱われているサンプリング素材をレコメンドしてくれる Jamahook というソフト。
AIって言葉、あちこちで使われすぎて概念がボヤケてきた感もありますが、サイトでの説明によれば、

How does the artificial intelligence behind Jamahook work?

Jamahook uses a unique algorithm created by the Fraunhofer Institute to understand the content of whatever it hears – the tempo, harmonic makeup, groove, rhythm, feeling, mood, genre, instrument, and more are analyzed. These qualities are used to match a set of loops that will fit with your track and expand your range of musical ideas.

概訳:Jamahookが聞いて判断しているのはテンポ、ハーモニー、グルーヴ、リズム、フィーリング、雰囲気、ジャンル、楽器など。トラックに合うような素材、あるいは意外な素材をチョイスする際にAIが用いられています。

Jamahook – The Sound Playground – World’s First Sound Matching Plugin.

とのことで、調性の検出程度であればAI要らずだけれども「提案の幅」に知の蓄積が用いられていると見られます。
どのくらい凄いのかはしばらく使い続けてみないとわからないってとこありますね。

デモ版を試してみたところ、マッチングのプロセスでそこそこ時間を取られるものの、予想していたより質は悪くない。
デモ版なのに、サジェストされたサンプルをDAWにペタペタ貼れる…え、いいの?

4小節ないし8小節分を聞かせると、Harmony, Rhythm, Drumsの3つのカテゴリーで素材を提案してくれます。カテゴリーを切り替えるたびにマッチングのプロセスが走るのが少々難ですかね。
楽器、ムード、ジャンルの3つのカテゴリーでフィルターすることもできます。
「⠿」(ドラッグアイコン)をドラッグすることでDAWのトラックに貼り付けられます。手順としてはシンプル。

ユーザーの観点からすると、Loopmastersでの取り扱いサンプルに限定されるとはいえ、ちまちまと手持ちのサンプルを探すプロセスに比べて便利であることに違いはありません。解析にかかる時間と見た目くらいでしょうかね、ユーザーの食指に影響しうる要素としては。
ただサンプリング素材を販売する競合他社としては「しまった!」って感じかもしれません。手持ちのサンプルを管理し、DAW内で動作するものにはSononymやATLASなどありますが、素材をレコメンドして販売する際に他社をシャットアウトするってのは地味に攻撃力が高い。その界隈に身を置いているので、担当の方からのため息がまた聞こえそうだなと感じてます。