iZotope “VocalSynth”

ただのボーカルエフェクト系のプラグインであればスルーしてたとこですが、iZotopeだってのと、十何年も前のmda-vst.com以来まともなTalkboxエフェクターを見かけていない(それ、TalkboxじゃなくてVocoderやないか!みたいな)のとで、 VocalSynth トライアル版をひとまずダウンロードして動作を確認などしてみました。

結論としては、簡易版的な位置づけのものにしては出来過ぎかなと。
インターフェイスはNative Instrumentsを意識しすぎな感も…。

ぱっと見で中段に4つのパラレルなモジュール、そしてそれぞれにノブが3つほど。上段にいわゆるオートチューン、下段に5つのエフェクターと、かなりシンプル。
これまで幾つかレビューという名目であれこれ意識して見てきて、シンプルでわかりやすいインターフェイスは難しい、というのを非常に強く思ったものですが、この点でVocalSynthは冗談みたいにわかりやすく、模範的といってよいかと思います。

拡大してもらうと随所に▼があってプルダウンの多さがわかります。
プルダウンを開くと選択肢が少ないってことがよくあってそういう製品には騙された(おっと…)感を覚えてしまうんですが、Vocal Synthはscaleを除けばいずれも10個くらいの選択肢があり迷う喜びがあります。
一方で選択肢が少ないものはノブになっていて、騙された感が全くない。この設計はとても大事。

随所にdry/wetのバランスがあるのも有り難い。
ふだんLogicを使っていて、純正エフェクトにdry/wetが無いときにBUSを用意せざるを得ず、そのたびにイラッとしてしまう自分は、こういう何でもない設計にもウヒョッとします。

各モジュール

最上段のpitch correctionはほんと簡易的なもの。でありながら最低限最大限の効果が出るので、「困ったらこれを使おう」という気には充分なります。
中段polyvoxは見たままなのでスルー。
vocoderは入力された音声のピッチを拾ってくれるので、サイドチェーン信号を用意しなくてもまあ使える、というのがなかなかありがたい。かかりはLiveのVocoderの感覚に近いので、これでわざわざVocoderだけのためにLogicを終了してLiveを立ちあげなくてもよくなるのが嬉しいところ(といっても、LiveのVocoderのあのかかり方は他に代えがたい部分もあるのだけれど)。
compuvoxはiZotopeの紹介ビデオだとわかりにくいのですが、Sonic ChargeのBit Speekみたいな合成音声っぽく加工するもので、たぶんこれがいちばん楽しい。特にbatsというパラメーターを全開にしたときのなんとも言えない気持ち悪さはたまらんです。
課題のtalkbox。ここは期待し過ぎてしまった面もありますが、vocoderと違ってうまいこと子音の効果が弱まっていてtalkboxらしい味わいが出てます。もうちょっとオエッとするような声でもいいと思いますが。talkboxごときにといっては言葉が悪いですが、先述のバリエーションが豊富ですね。
各モジュールとも、サイドチェーンで音程をコントロールでき、レスポンスもとても早い。仮にReaktor上で同様のものがあったらたぶん重くて話にならなそう。

下段のエフェクターはコーラスとかリバーブとかそういう汎用的なものではなく、かといってマニアックでもない絶妙なチョイス。distortionはなかなかパリッとしたかかり方になりますし、filterにはscreamという選択肢があってわかってらっしゃるし、transformは何者かというといわゆるラジオボイス加工できるもの、shredはグリッチというか音飛びっぽくするもので、delay…これだけはベタですが、でもwidthがあるのでステレオ感を簡単に調整できてよろしい。
この手のエフェクトを施そうとしたらこれまではSpeakerphoneを使うなり何なりしていたのだけど、こういうオルタナティブなものが出てきてくれたのは負荷コントロールができて嬉しい。
ただ、そうなると不満になってくるのは、加工に欲が出て、たとえばfilterとtransformの間にサードパーティ製エフェクトを挟もうとしたら、実現方法としてはVocal Synthを二重にインサートするしかなくなる点。もっとも、これはVocal Synthに限られずマルチエフェクター全般にいえることなので、いつかこうした欲に簡単に応える仕組みが登場してくれたなら、個人的にはブラボーを叫びたいところ。

用途としては…?

出番や用途という意味の実用面では限られてきて万能ではないのは事実。
が、それこそ用途を達成するのに一手間二手間かかっていたのが軽減されるのはとても有り難い。
6/16のキャンペーン終了までに手を出すか、もうちょっと悩んでみようと思います。

操作性 ★★★★★
レスポンス ★★★★★
音質 ★★★★☆