【採譜】 Ivan Lins – Samba do Avião (Jobim)

Ivan Lins カバーによる Antonio Carlos Jobim の” Samba do Avião “、邦題「ジェット機のサンバ」(ダサい…)がいいなと思ってコード進行を採譜。
今どきCDでしか手に入らないみたいですね( Ivan Lins – Jobiniando (CD, Album) at Discogs(https://www.discogs.com/Ivan-Lins-Jobiniando/release/7389078))。

気が進まないけどYouTubeにアップされているのをぺたり。

ひとまずこのように採りました。
構成面はさておき、原曲に比べるとハッキリしたドミナントモーションが挿入されていて、あと音色センスも相まって随分AOR色(ブラジルなのでMPBと言ったほうがいいのかな)が強くなった印象です。
こちらは別バージョン関連でまたあとで触れます。

原曲(Jobim版)はiTSにあります(Inédito – アントニオ・カルロス・ジョビン)。
ちなみに歌詞とその内容はこう。

Bossa Nova歌詞の日本語訳とか、その他何でも。

出だしのハーモニーが聞き取りにくいなあと思って他の資料を探してはみたものの、出だしがカットされてたり聞こえにくかったり、アレンジ(リハモ)されちゃってたり。

余談。坂本龍一がJobimをカバーして話題になったわけですが、どちらもポピュラーミュージックにしては7,13の和音をよく使うって理由で納得したもんです(もう少しフュージョン寄りになるとVI on Vみたいな形が多用される)。
無論それは和音に限った話。リズム面、構造面、文化/社会的な面など御大の知識関心は計り知れないので、和音の点だけどうのこうの言ってもしゃあないんですけどね。

もう1つ余談。上のリストの最後に挙げたUM CAFÉ LÁ EM CASAの動画チャンネルは、Nelson FariaがJoão BoscoやIvan Lins, Hamilton de Holanda, Michael Pipoquinhaらを招き、カフェのカウンター席ででデュオ演奏する動画をアップしているチャンネル。大御所Hermeto Pascoalの近影も見られるので、お好きな方は夜っぴて鑑賞いただくとよいかと。

さて結局オリジナル版の出だし部分はよくわからないので「こうかな?」くらいな感じでこちらもコード基本で採譜しました。
最後のほうに少しだけ出てくるイントロのリプライズの譜割りをイントロに反映すればよかった!と思ったのだけど気づくのが遅かった、無念。

4度を重ねた4重和音が6,9thの和音になる形を基本とし、一部、この和音の上から3つ目の音を半音上げて7,9thの形で平行移動してるんじゃないかと推測します。ラテンやブラジル系は7,9thよく使いますんでね。

ここまでやったので、おそらく2005年にIvan LinsがTVに出演して演奏したものと思われる動画後半のイカすギターソロもせっかくだから採譜してみます(装飾音符は途中で面倒になったので端折りました)。

研究してる方は多数おられると思うので駄弁は控えるとして、この界隈のボサノバらしさが出るのは7#9で3度がルートに来る形。メロディが寄り添ってるせいもあって、通常やっつけ気味に使われることの多いパッシングディミニッシュよりも強い存在感があります。
ディミニッシュとして書いちゃうと(個人的に)弾きにくい和音の積みになるのでC#7/Fという形で記しました。
Jobimテイスト強めのユニットで演奏するとなるとピアノが単音ラインになりがちなので、ギターがきっちり音程を押さえてくれないと、この部分、ただ気持ち悪いだけの響きになりそう。
毎度のことですが僕はギタリストを信用してないので、リハでしっくりこないときはJobimテイストを犠牲にしても響きを優先して鍵盤で厚めに音程を押さえるようにしています。

Ivan LinsのTVライブ(多分)でのギターソロに関しては、手数多めというのもあるけれど、F#7#9の裏コードが活用されたアグレッシブな内容になっていて興味深いです。メセニーっぽいラインもちょいちょい見えますが、影響元がどちらかはわかりません。