W.A.Production “ImPerfect”
W.A.Productionの ImPerfect ですね。
デモ版を落としてザクッと試してみました。
プリセットを無視してパラメーターをさっといじった第一印象は、期待値下げめで触ってなおこれか、というところ。
EG周り、およびFilterのエンベロープの極端な深さに軽くイラッ。
ところがプリセットを切り替えていくと「こんな音が出るのか、サウンドデザイナー頑張ったな」と、だけどよく見たらサンプラーのファイルつまりPCMが鳴っていますよと。
つまりOSC1、OSC2といったシンセ部分は音程のアピール用であり、ImPerfectはPCMをさっと読み込んでざっくり鳴らすためのサンプルプレイヤー+αのユーティリティと考えるのが正解なのでしょう。
そう考えると、そのままじゃ四角四面な鳴り方になってしまうPCMデータに対して、フィルターのほか、ウィンドウ右端のWACKY, CRACKY, SHAKYといったパラメーターで揺らぎや味付けを与えるという意味で、ImPerfectという名を冠したのかもしれない。そう理解できます。
ただ、それにしても定価が$8というのはちと高い気がします。
Logic環境の人は純正EXS24に放り込んでLFOを設定すれば一切よけいな出費なくSHAKY同等の機能は実現できますし、Alchemyを使っても同様に、むしろもっとImPerfectに近い効果を簡単に得られます。
もちろんそれが苦手って方も当然いらっしゃる。そこ狙い?
ともあれ僕の感覚としてはこの機能だとよくて¥2,500くらい。いまセール価格でおよそ¥1,500ってのは妥当もといややお得で、だけど先述のごとくあくまでLogicやAbleton Liveみたいに純正のサンプラーが備わっているDAWを使ってない人向けかなと思います。
StudioOneのシンセ並みのシンプルさには魅力もあり、PCMを使った音の鳴らし方のヒントを得る教科書代として入手するのもアリかなと思いました。
W.A. Production製品の印象を問う検索ワードがよく記録に残っているので、この辺りに書いておきます。
多くの製品をリリースしているW.A. Productionですが、率直に言って印象は良くありません。
まず製品名から機能がわかりにくい。また、同系統の製品なのか、どこに違いがあるのかわかりません。
最大のネックはUI。
回すノブのように見えてトグルスイッチであったり、インタラクティブな描画に見えて内容が正しくない。そうしたものがかなり多く、スクリーンショットだけに興味を惹かれて買うとたぶんガッカリします。購入前にデモ版のチェック(うちでも記事を書く前に大概チェックしますが)をお勧めするのはこれが理由。
またマウスをクリックして操作する際の当たり判定が地味に厳しい。ボタンの形状になっていればわかりやすいのですが、ただ▲になっているものは予想以上に狭い範囲に当たり判定があるため、解像度の高いディスプレイを使用していたりノートPCのトラックパッドで操作していると少しイライラします。
MIDIユーティリティ系の製品に関しても触れておきましょう。積極的にMIDIユーティリティ系の製品に取り組んでいる点はとてもよいのですが、操作時の手数がちょっと多すぎな印象がありますね。ぶっちゃけ他社製品のほうがマウスのポインタの移動距離が短かったりクリック回数が減るように工夫されていて扱いやすいです。
そうした中で、幾つか独自の発想で”推せる”ものとしては、以下。
- Outlaw : 操作に馴染むには時間がかかりますが、慣れるとふだんDAW上でせわしくボリュームオートメーションを書き込んでいる手間が格段に減ると思われます。万能ではありませんが、ギターやボーカルのボリューム操作にはオススメです。
- The King 2 : あと一歩という感じではありますが、アタックやリリースタイムの設定が苦手な人にとってのマルチバンドコンプが必要な人には便利かなと。使うトラックがノイジーな場合は工夫が必要です。
- MIDIQ : 一見、スケールが苦手な人向けの補助ツールに見えて、かえって混乱を増やすビジュアルなため、ハッキリ言って助けにはなりません。ただ、まだ曲を作り始めていない段階で曲作りのネタとしてコードをもらうには、悪くないチョイス。