Impact Soundworks “Shreddage 3 E-Upright”

Impact SoundworksのKontaktライブラリーシリーズであるShreddage 3にエレクトリックアップライトをフィーチャーした、Shreddage 3 E-Upright登場。
今回もNFRをいただいたので、レビューしていきます。
機能、操作性
Shreddageシリーズというのは、ギター類、ベース類をKontaktで生々しく打ち込めるようにと共通のプログラム”Shreddage”を搭載したKontaktライブラリーシリーズです。先日はマンドリンのライブラリーもリリースされており、この先もジャンル問わず続々と撥弦楽器全般を取り扱っていくことになると思います。
個人的に実はShreddageのプログラムにそこまで魅力を感じていないのですが、業界初(らしい)のエレクトリックアップライトをフィーチャーし、それも5弦という珍しさ、それと想定の数倍ナマナマしいサンプルが収録されている点で、本製品についてはけっこう高く評価してよいかなと思っています。
強めに弾いた際のフラットワウンド弦の独特のモコッとしたアタック感やビビり、ピッチの変化がナマナマしく非常に良いです。
ピックアップとDIの質感もとてもクリアで良い。安いエレクトリックアップライトの音をこれまでも生で何度か耳にしてきていますが(いや、安いというよりは自分も含めて演奏技術の問題だろうとは思っているのですが)、たいてい籠ってしまって気持ちが乗らない。だけど、これだけクリアに聞こえると曲作りの際のモチベーションも上がりますし、ミックスもラクになって良い。
要するに出音に関しては文句なしです。
問題はやはりShreddageのインターフェースの部分で、開発、デザインされた方にとってはワークフロー的に最適な姿なんでしょうけど、自分とは感覚がどうも合わないのです。
特にPERFORMANCE STYLEの項目が直感的でない。「こういうフレーズを美しく鳴らしたい」ってときにこのメニューで右往左往したくない。もちろんデフォのStandardがベストプラクティスなのですが、もう少し欲を出してオイシいフレーズを奏でさせようと思ったときには、どれを選んでよいのかがわからない。MIDIラーンやオートメーションに対応していないので、曲中、バッキングとソロで切り替えるのも難しそう(用途別にMIDIchを分けてマルチティンバーにする方法もありはするが)。
アンプシミュやエフェクトに関しても決して悪くない音だと思いますが、結局Kontakt自体に搭載されたエフェクト以外を内部で使うことができない以上、サウンドの作り込みに関しては基本的にDAW上で行うことになると思います。手間自体は大した問題でもないのですが、どこかで表現上これがボトルネックになることがあるんじゃないのかなというのが僕の意見です。
ただ、まあいずれにせよ、音自体はとても好みです。サンプルなのに演奏が雑ってふうに捉える人がもしかしたらいるかもしれませんが、曲の中で使うと雰囲気が全く変わると思いますよ。