Impact Soundworks “Shreddage 3 Argent”など

Impact Soundworks “Shreddage 3 Argent”

Bundle of Doom - Impact Soundworks (VST, AU, AAX)
Bundle of Doom – Impact Soundworks (VST, AU, AAX)

最近Tokyo Scoring StringsのバージョンアップがなされたばかりのImpact Soundworksから、お得意のKontakt向けギターライブラリー”Shreddage 3 Argent”とベースライブラリー”Shreddage 3 Darkwall”、あとそれがセットになった”Bundle of Doom”がリリースされています。

BUNDLE OF DOOMの詳細情報ページ
IMPACT SOUNDWORKS社製 ソフト音源 「BUNDLE OF DOOM」の製品詳細情報ページです。
情報

  • NKS, Konakt Player対応
  • 35GB
  • 定価 $258、イントロ価格 $199
    • Shreddage 3 Argent 単品価格 $159、Sreddage 3 Darkwall 単品価格 $99

動画サムネイルでわかる通り、いわゆる多弦ギター/ベースをフィーチャーしたもので、ギター、ベースとも標準的な楽器の低い方に3弦追加したものであり、とにかく低音重視な代物となっています。

Doom(ゲーム)のメタルでタイトなギターサウンドがYouTube動画でも頻繁に話題になっているのをご存じの方も多いかなと。演奏技術はさておき、何せ元が多弦楽器の発する低音であるため真似るのが非常に厳しい。単純にピッチを下げてもベロンベロンになりやすいですしね。個人的にはそのベロンベロンのほうが好きなのだけど。

Keepforestの超最近の新作AppexもDoomのギターサウンドを意識したもの。だけど、ISWの製品よりもう少しデジロック寄りというか、EDM、Bigbeatな感じもありつつ。有り難いことにNFRをいただいたので、近いうちそれもレビューしようと思ってますが。

APPEX - MODERN TRAILER GUITARの詳細情報ページ
KEEPFOREST社製 ソフト音源 「APPEX - MODERN TRAILER GUITAR」の製品詳細情報ページです。

幾つかのデベロッパーがDoomのギターサウンドを意識しているのは確かなのだけど、Doomってゲーム自体は2000年より前に作られたもので、今話題になっているのは2016年にMick Gordonが音楽を担当してからのいわゆるリブート版とされているもの。
2020年に続編が登場しているそうなのだけど、いずれにしてもそれから随分時間が経って立て続けにインスパイアなライブラリーが登場したんですね。
偶然なのか何なのか、ChatGPTに尋ねてみた(正確には、ChatGPTが情報源をWebから釣り上げてきてくれた)限りでは、Mickとゲーム会社との間でちょっとした対立があってその話題の影響じゃないかってことでしたが、実際にそれで製品が連チャンで出てくるとは考えにくいので、単なる偶然なんだろうと思います。

機能、操作感

こちらの製品もNFRを頂戴できたので昨晩軽く動作チェックをしました。
Shreddage 3に限らず、Kontaktエンジンによるギターライブラリ、非Kontaktエンジンによる単体のギター音源は、ギターをふだん弾かない人からすれば思うように和音を奏でられないのが少々厄介なとこで、理想としてはデフォルトの設定がキーボーディスト用であってほしいところ。
が、ギターサウンドとしての事実性のほうを重視しており、単純にMIDIキーボードから鳴らした場合や打ち込みで和音を積んでみた場合には、鳴らない音がどうしても出てくるわけですね。理想としてはいま書いた通りなのだけど、これはもう仕方ないと割り切るほうがよさそう。だけど事実性のほうを重視するのであれば、デフォの音色は「らしさ」の出る歪みが前提でもいいんでないの?とは思います。

プリサンプルという良し悪し

サウンド面は、いま書いたことからも察せられるように、歪んでない状態では正直リアリティを欠きます。
いや、ここはホント難しいとこで、近年サンプリングのリアリティ確保にあたってプリサンプル(ISW製品では特に;プリピックとも呼んでいる)を重視する傾向が強い。これは実際に音が鳴る前の演奏準備に当たるごく短時間のノイズを指し、たとえばギターであればピックを弦に当ててから弾くまでの時間、バイオリンなどであれば弓を弦に当てて動かし始めてから実際に音が鳴るまでの時間がそれです。これによりリアリティは抜群に向上するのですが、MIDIキーボードで弾いた場合には常時レイテンシーが発生する感覚でありレスポンスがいいとは言い切れないのです。これを軽減するためにプリサンプルをカットするとこれはこれでリアリティを削るようなもの。
弾いてすぐに音が出るのもリアリティであるし、プリサンプル込みで音が鳴るのもリアリティであるし、それを一挙に解決する方法は基本的には無く、やむなく、MIDIキーボードで演奏する際にはプリサンプルをカットし、DAWで打ち込む際にはプリサンプルをOnにしてなおかつトラックディレイでタイミングを調整するというのが実際の運用になっています。
早い話、しょうがない
本製品を含む特にギター系の音源においては、歪ませるとプリサンプル部分も(結果)しっかり音が出るようになるのでレスポンスがよくなったように錯覚する、というのがちょっとしたトリックになっています。
いずれの日にか、これが自動的に処理されていくようになると思うので、それを待つべし。

一応こういうのもあるので、紹介しておきます。

プリセットに頼るべし

Shreddage 3の技術は非常によく出来ていると思うのですが、それでもまだやっぱり経験が浅い人にとっては扱いが難しいかもですね。
こういうときはプリセット(Kontaktではスナップショットと呼ぶ)に依存するのが一番です。Kontakt内蔵のエフェクトを組み合わせつつ、扱いやすいように各パラメーターが調整されたものが準備されているので、当分の間はこれを活用していくのがいいでしょう。

ちなみに、先ほど挙げたKeepforestのAppexと、こちらのShreddage 3とどちらが使いやすいかというと、リフと先鋭性を欲するならばAppex、演奏(打ち込み)の自由度を欲するならばShreddage 3って感じです。
つまりリードを取らせようと思うとAppexはあまり便利ではない。一方でサウンドに粗暴な感じを求めるならShreddage 3じゃお行儀が良すぎるって感じ。
ギターサウンドとしての印象でいうとAppexのほうが作り込まれていて使い勝手がよく、Shreddage 3のほうは作り込みが必要になる印象です。
価格はどちらもそれなりに高いので、導入検討されている方がいらっしゃったら参考にしていてだけたら幸い。