ドラムの打ち込み ほんのりガイド

ドラムパートを自前で作るにもどうしたらいいかわからない、って方が意外と多いようです。
そこで、このくらいを押さえとけばいいかな、って点をまとめておきます。例外は触れるとキリがないので端折ります。

ドラムパーツ

  • よく使う(「3点」と言ったりする)
    • バスドラ(キック):ズン、というアクセント
    • スネア:ダン、というアクセント
    • ハイハット:チッ、という刻み
  • おいしい部分で使う
    • シンバル(クラッシュ):ガシャーン、という大きなアクセント
      • ライドシンバル:ハイハットの代わりに使うおとなしめのシンバル。クラッシュという呼称には通常含まれない
    • タム:おいしい部分で高低を駆使して表情を作る

フレージング

1曲の中で延々繰り返すパターンと、曲がサビなどに展開するときに一時的にフレーズが変化するフィルと、フィルの終わり合図に入れるシンバルとざっくり理解しときましょう。

ドラムパターンとドラムフィルとシンバル
ドラムパターンとドラムフィルとシンバル

基本パターンと変形

下の最初に示した基本パターンを自分好みに変えるところから始めてみます。

基本パターン
基本パターン
少し変えてみる
少し変えてみる
さらに変えてみる
さらに変えてみる

まずは基本パターン通り打ち込み、しっくりくるまで少しずつ変えるのがラクです。

今どきはスネアを2拍4拍に入れるのが標準で、例外はめったにありません。
つまりイジるべきはバスドラで、ノートをズラしたり減らしたり増やすなどして調整するといいでしょう。
メトロノームのように一定の間隔で刻み続けるハイハットには、音が長く伸びるオープンと短く切るクローズとの2種類の奏法があり(Logicだと「ドラム名」を表示するとオープンとクローズが別々の音程に割り当てられているのがわかる)、どう使うかで案外大きく雰囲気が変わります。
ハイハットの代わりにライドシンバルを用いることがあり、ライドシンバルにはオープンとクローズがないので鳴らしたら鳴りっ放しになります。今のところは、表情の違いに用いるくらいに考えておくといいでしょう。
ちなみに、速いテンポだとフレーズの細かさが粗くなる傾向があります。生身の人間の体力的に辛くなるからでもありますが、細かなフレーズだと疾走感が薄れるせいでもあります。

基本パターン
基本パターン
ハイハットオープン
ハイハットオープン
ディスコパターン
ディスコパターン

音符の長さ

打ち込む際、音符が長くても短くてもドラムの音は変わりません。実際のドラムがそうなので。
ただしハイハットはオープンとクローズとを両立できない楽器なので、オープンのあとクローズの音符を打ち込んだら、そのタイミングでオープンの音が止まるようになっています。ハイハット以外のドラムパーツで鳴っている音を突然止めることは基本的に無理です。

強弱

Logicのドラム音源でのシンバルの音量調整はこれ(このウィンドウ内でシンバルを選択しておくこと)
Logicのドラム音源でのシンバルの音量調整はこれ(このウィンドウ内でシンバルを選択しておくこと)

大事なノートは強く、大事でないものは弱く…って考えでOK。
奏法やフレーズバリエーションが把握できるまで、強弱のこだわりは後回しにしたほうがいいです。

「しっかりシンバルを打ちたいのに音がでか過ぎてイヤだからベロシティを下げる」考え方はよくない。なぜならベロシティは音の大きさじゃなく音の強さ(正しくは速さ)だから。したがってベロシティを下げると音の元気がなくなっちゃう。
音量を下げるにはソフト音源側を調整する必要があり、その手法はソフトによって異なります。

フレーズの繰返し

繰返しに乏しいフレーズは単に落ち着きなく聞こえる
繰返しに乏しいフレーズは単に落ち着きなく聞こえる

ドラムに限らず、時間をかけて作っているとフレーズが退屈に思えて色々変化を付けてしまいがちなのですが、多くの場合、曲がとっちらかって聞こえてしまい、逆効果です。

他のパートとの連帯感を目的とするならばよいのですが、そうでないなら繰返しと変化との両者の間にメリハリを持たせたほうが効果的でしょう。

フィルは凝りすぎないが吉

構成が大きく変わるときには長めのフィル、小さな変化に留めたいときには短めのフィルにするのが一般的。
フィルのフレーズは、フィル前の流れを意識しすぎると次の展開とのつながりが不自然になりやすいので、フィル後に曲がどう展開するかを考えて作ったほうが苦労しないでしょう。
またこれもドラムに限らずですが、パターンやフィル単体で聞いてダサくても、曲全体が整って聞こえるかどうかで判断したほうがいい

よくあるバリエーション

曲中で部分的に、半分のテンポにフレーズを引き伸ばしたり、逆に倍のテンポに圧縮する手法がよくあります(下のスクショ)。本来のテンポよりまったりした雰囲気や、殺伐とした雰囲気にする手法です。

元になるフレーズ
元になるフレーズ
半分速のフレーズ
半分速のフレーズ
倍速フレーズ
倍速フレーズ

スネアをバシバシ強く叩く代わりに、縁を叩くリムクリック(リムショット)を使ってバラード等の穏やかさを表現する手法があります。リムクリックはほぼ全てのドラム音源に用意されています。
なおリムショット、リムクリック、サイドスティックと人それぞれソフトそれぞれに呼称の揺れがあるので、打ち込む際には耳で実際に音を確認することをお勧めします。

本来片足で担当するバスドラを、両足で交互に高速で踏むツーバスってのもロック系でよく使います。このジャンルが好きなら欠かせないはず。

ドラム譜

以前こういうのがTwitterに上がってたので参考にどうぞ。

不可能なフレーズ?

打ち込みフレーズが物理/肉体的に可能なフレーズかどうか厳しい目で見る方もおられますが、物理/肉体的に可能なフレーズにこだわると逆に曲の勢いが死にやすい(共鳴等の音響現象までは再現されにくいため)ので、それだったら曲の勢いを重視したほうがいいです。

まとめ?

だいたいここいらまでが基礎知識というかお約束の部分なので、これらを裏切れば風変わりなものが作れるとも言えます。